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第12話「世界を救うのは、聖剣ではなく特大カボチャです」
そんな平穏な日々を打ち砕くような事件が起きたのは、冬の足音が聞こえ始めた頃だった。
空が急に暗くなり、腐ったような風が吹き荒れた。
北の空に、山脈ほどもある巨大な影が現れたのだ。
「あれは……伝説の『腐食竜(ブライト・ドラゴン)』!?」
シルヴィアが絶叫する。
通過した土地の生命力を吸い尽くし、死の荒野に変える最悪の古竜。
それが、生命力に満ち溢れたこの農園の匂いを嗅ぎつけ、一直線に向かってきているのだ。
「グオオオオオオ!!」
竜の咆哮だけで、周囲の岩が砕け散る。
ゴードンたちが武器を構えるが、顔は青ざめている。
物理攻撃も魔法も通じにくい、厄介極まりない相手だ。
「どうする……? せっかく作った畑が、全部枯らされちまう!」
みんなの顔に絶望が浮かぶ。
でも、僕は不思議と落ち着いていた。
竜の体が「灰色」に見えたからだ。
あれは、ただ暴れているんじゃない。お腹が空いて、栄養失調で苦しんでいる色だ。
生命力を奪うのは、自分が生きるために必死だからだ。
「だったら、腹いっぱい食わせてやればいい」
僕は一番大きな畑に向かって走った。
そこには、僕が丹精込めて育て上げた、品評会用の「超特大カボチャ」がある。
直径五メートル。中には凝縮されたマナと栄養が詰まっている、最高傑作だ。
「フェン! 力を貸してくれ!」
「ガウッ!」
フェンが本来の姿である巨狼に戻る。
僕はその背中に飛び乗り、カボチャを蔦(つた)で縛って持ち上げた。
重さは数トンあるはずだが、今の僕の筋力(農作業でカンスト済み)なら持てる!
「いくぞ、フェン! 空へ!」
フェンが空を駆け上がる。
迫り来る腐食竜の目の前まで一気に肉薄する。
竜が大きく口を開けた。腐敗のブレスを吐くつもりだ。
「食らええええええッ!! 特製・栄養満点カボチャだッ!!」
僕は全身全霊の力を込め、竜の口の中にカボチャをシュートした。
ズボッ!!!
カボチャは見事に竜の喉の奥へと吸い込まれた。
直後、竜の動きが止まった。
ゴクン。
竜がそれを飲み込んだ瞬間。
カッッッ!!!
竜の体の内側から、黄金色の光が溢れ出した。
カボチャの中で圧縮されていた【土壌改良】と【生命活性】のエネルギーが、竜の体内で爆発したのだ。
灰色だった竜の鱗が、見る見るうちに輝くエメラルドグリーンに変わっていく。
腐臭が消え、代わりに花の香りが漂い始めた。
枯れ木のような翼に、瑞々しい力が戻っていく。
「グ、グルルル……(美味い……! 力が、満ちる……!)」
竜の瞳から凶暴な色が消え、至福の表情へと変わった。
どうやら、満腹になって正気に戻ったらしい。
「満足したかー!?」
僕が叫ぶと、竜はゆっくりと頷き、空に向かって感謝の咆哮を上げた。
その息吹は、通過した土地に花を咲かせる「生命の息吹」へと変わっていた。
世界を滅ぼす竜を、カボチャ一個で浄化してしまった。
地上では、仲間たちが口をあんぐりと開けて空を見上げていた。
空が急に暗くなり、腐ったような風が吹き荒れた。
北の空に、山脈ほどもある巨大な影が現れたのだ。
「あれは……伝説の『腐食竜(ブライト・ドラゴン)』!?」
シルヴィアが絶叫する。
通過した土地の生命力を吸い尽くし、死の荒野に変える最悪の古竜。
それが、生命力に満ち溢れたこの農園の匂いを嗅ぎつけ、一直線に向かってきているのだ。
「グオオオオオオ!!」
竜の咆哮だけで、周囲の岩が砕け散る。
ゴードンたちが武器を構えるが、顔は青ざめている。
物理攻撃も魔法も通じにくい、厄介極まりない相手だ。
「どうする……? せっかく作った畑が、全部枯らされちまう!」
みんなの顔に絶望が浮かぶ。
でも、僕は不思議と落ち着いていた。
竜の体が「灰色」に見えたからだ。
あれは、ただ暴れているんじゃない。お腹が空いて、栄養失調で苦しんでいる色だ。
生命力を奪うのは、自分が生きるために必死だからだ。
「だったら、腹いっぱい食わせてやればいい」
僕は一番大きな畑に向かって走った。
そこには、僕が丹精込めて育て上げた、品評会用の「超特大カボチャ」がある。
直径五メートル。中には凝縮されたマナと栄養が詰まっている、最高傑作だ。
「フェン! 力を貸してくれ!」
「ガウッ!」
フェンが本来の姿である巨狼に戻る。
僕はその背中に飛び乗り、カボチャを蔦(つた)で縛って持ち上げた。
重さは数トンあるはずだが、今の僕の筋力(農作業でカンスト済み)なら持てる!
「いくぞ、フェン! 空へ!」
フェンが空を駆け上がる。
迫り来る腐食竜の目の前まで一気に肉薄する。
竜が大きく口を開けた。腐敗のブレスを吐くつもりだ。
「食らええええええッ!! 特製・栄養満点カボチャだッ!!」
僕は全身全霊の力を込め、竜の口の中にカボチャをシュートした。
ズボッ!!!
カボチャは見事に竜の喉の奥へと吸い込まれた。
直後、竜の動きが止まった。
ゴクン。
竜がそれを飲み込んだ瞬間。
カッッッ!!!
竜の体の内側から、黄金色の光が溢れ出した。
カボチャの中で圧縮されていた【土壌改良】と【生命活性】のエネルギーが、竜の体内で爆発したのだ。
灰色だった竜の鱗が、見る見るうちに輝くエメラルドグリーンに変わっていく。
腐臭が消え、代わりに花の香りが漂い始めた。
枯れ木のような翼に、瑞々しい力が戻っていく。
「グ、グルルル……(美味い……! 力が、満ちる……!)」
竜の瞳から凶暴な色が消え、至福の表情へと変わった。
どうやら、満腹になって正気に戻ったらしい。
「満足したかー!?」
僕が叫ぶと、竜はゆっくりと頷き、空に向かって感謝の咆哮を上げた。
その息吹は、通過した土地に花を咲かせる「生命の息吹」へと変わっていた。
世界を滅ぼす竜を、カボチャ一個で浄化してしまった。
地上では、仲間たちが口をあんぐりと開けて空を見上げていた。
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