「役立たず」と追放された調香師、覚醒した【魔香】スキルで聖女もエルフも完全支配する

黒崎隼人

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エピローグ「香りの果てに」

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 あれから、さらに長い年月が流れた。
 俺が築いた楽園は「森神の郷」と呼ばれ、外界では伝説の理想郷として語り継がれているらしい。俺自身ももはや人の寿命をはるかに超えて生き続けていた。【調香】の力は、愛する女たちとの交わりを通じて俺を不老に近い存在へと変えていたのだ。
 フィリア、ミナ、テトラ、セレス。俺の愛する妻たちもまた俺の力の影響を受け、出会った頃の美しい姿のまま俺のそばにいてくれる。
 俺たちの子や孫、そのまた子孫たちがこの楽園をさらに発展させ、今では数千人が暮らす大きな共同体となっていた。様々な種族が手を取り合い、笑い声が絶えないこの場所は、俺が望んだ以上の理想郷となっていた。
 俺は楽園の管理を息子たちに任せ、今は初代『森神』として静かな余生を送っている。
 今日の午後も、俺は妻たちと共に見晴らしの良い丘の上でお茶を楽しんでいた。

「しかし、レン殿もすっかり好々爺(こうこうや)になったのう。」

 テトラが俺の白い髭をからかうように笑う。

「うるさい。お前だって最近は孫の魔道具作りに夢中で、研究がおろそかになっているじゃないか」
「仕方ないじゃろ!あやつ、わしに似て才能があるんじゃから!」
「ふふ、二人とも、まるで子供みたいですわ」

 セレスがおっとりと微笑む。

「レン、あーん」

 ミナが焼きたてのクッキーを俺の口に運んでくる。俺はそれを甘んじて受け入れた。
 フィリアはそんな俺たちのやり取りを、聖母のような優しい微笑みで見守っている。
 なんという、幸せな時間だろうか。
 追放されたあの日の絶望が、まるで嘘のようだ。
 ふと、丘の下から若い男女の楽しそうな声が聞こえてきた。俺のひ孫の世代だろうか。彼らが吸っている空気も飲んでいる水も、食べている作物も、すべては俺と妻たちの愛の香りが育んだものだ。
 俺の【調香】という力は、復讐のために生まれたわけではなかったのかもしれない。誰かを愛し、何かを育み、そして世界を豊かにするため。そのために、俺はこの力を授かったのではないだろうか。
 そんなことを考えていると、フィリアがそっと俺の手に自分の手を重ねてきた。

「レン様、何を考えていらっしゃるのですか?」
「いや、ただ……幸せだな、と思ってな」

 俺がそう言うと、四人の妻たちは一斉に花が咲くような笑顔を見せた。
 その笑顔から放たれる、極上でどこまでも優しい愛の香り。
 それが、俺が長い人生の果てに見つけた究極の香りだった。
 風が吹き、楽園に満ちる無数の花の香りを運んでくる。
 ああ、今日も世界は、素晴らしい香りに満ちている。
 俺は目を閉じ、愛する者たちに囲まれながら、永遠に続くかのような甘美な午後のひとときに、そっと身を委ねるのだった。
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