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第2話「カボチャハウスと聖なるジャガイモ」
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朝、鳥のさえずりで目が覚めた。
……いや、待てよ。ここは「死の荒野」だ。鳥なんているはずがない。
カボチャハウスの、実に見事にくり抜かれた窓から外を覗くと、僕は我が目を疑った。
「なんだこれ」
昨日、僕が浄化した黒土のエリア一帯に、色とりどりの草花が咲き乱れている。
どこから種が飛んできたのか、それとも土の中に眠っていた太古の種が、僕の魔力に反応して目覚めたのか。
不毛だったはずの場所が、一夜にしてお花畑になっていた。
そこへ小さな鳥や昆虫が集まってきているのだ。
生命の適応力というのは、凄まじいものがある。あるいは、僕の【神農】スキルが、浄化した土地に生命の種そのものを呼び寄せたのかもしれない。
「朝ごはん、どうしようかな」
昨日の夜はカボチャの果肉を焼いて食べた。甘くてホクホクしていて、まるで高級スイーツのようだった。
【神農】スキルの補正がかかっているのか、ただ焼いただけなのに絶品だったのだ。
だが、さすがに毎食カボチャだけでは飽きる。
「確か、こっちのポケットに……」
僕はズボンを探り、シワシワになったジャガイモの欠片を取り出した。これも王都の厨房廃棄場から拝借したものだ。芽が出かけていて、捨てられていたやつだ。
「品種改良、試してみるか」
ただ育てるだけじゃない。僕のスキルには【品種改良(神域)】がある。
僕はジャガイモの欠片を手に乗せ、理想のスペックを思い描いた。
病気に強く、成長が早く、皮が薄くてそのまま食べられて、栄養価満点。さらに、食べた人の体力を回復させる薬効成分も含ませよう。
イメージを魔力に乗せて、ジャガイモに流し込む。
ジャガイモが淡い金色の光を帯びた。
「行けっ!」
ふかふかの土に植える。
【植物成長促進】。
今度は制御して、適度な大きさで止める。
土がモコモコと盛り上がり、緑の葉が茂ったかと思うと、すぐに枯れ始めた。収穫の合図だ。
茎を引っ張る。
ズボボボボッ!
土の中から、拳大の美しい黄金色のジャガイモが、数珠つなぎになって出てきた。その数、一株で五十個以上。
泥を払うと、皮はまるで洗ったかのようにツルツルで、陽の光を浴びて宝石のように輝いている。
「『聖ジャガイモ』とでも名付けようか」
僕は魔術で火をおこし、その場にあった平らな石を熱して、ジャガイモをスライスして乗せた。
ジューッという音と共に、香ばしい香りが立ち上る。
何も調味料はない。けれど、この香りだけで唾液が溢れてくる。
表面がカリッと狐色になったところで、一枚つまんで口に放り込む。
「熱っ、……うまッ!」
カリッとした歯ごたえのあと、中はトロリとクリーミー。
濃厚な旨味と甘味が口いっぱいに広がり、鼻から抜ける香りはバターを塗ったかのように芳醇だ。
飲み込むと、胃の腑からカッと熱い力が湧き上がってくるのを感じる。
旅の疲れも、昨日の心労も、すべてが吹き飛んでいくようだ。
これは、ただの野菜じゃない。
最高級のポーションであり、極上の美食だ。
「これなら、ここでも十分やっていける」
僕は焼き上がったジャガイモを次々と口に運びながら、確信した。
この荒野を、世界で一番豊かな農園に変えてみせる、と。
その時だった。
背後の草むらから、ガサリと何かが動く音がしたのは。
……いや、待てよ。ここは「死の荒野」だ。鳥なんているはずがない。
カボチャハウスの、実に見事にくり抜かれた窓から外を覗くと、僕は我が目を疑った。
「なんだこれ」
昨日、僕が浄化した黒土のエリア一帯に、色とりどりの草花が咲き乱れている。
どこから種が飛んできたのか、それとも土の中に眠っていた太古の種が、僕の魔力に反応して目覚めたのか。
不毛だったはずの場所が、一夜にしてお花畑になっていた。
そこへ小さな鳥や昆虫が集まってきているのだ。
生命の適応力というのは、凄まじいものがある。あるいは、僕の【神農】スキルが、浄化した土地に生命の種そのものを呼び寄せたのかもしれない。
「朝ごはん、どうしようかな」
昨日の夜はカボチャの果肉を焼いて食べた。甘くてホクホクしていて、まるで高級スイーツのようだった。
【神農】スキルの補正がかかっているのか、ただ焼いただけなのに絶品だったのだ。
だが、さすがに毎食カボチャだけでは飽きる。
「確か、こっちのポケットに……」
僕はズボンを探り、シワシワになったジャガイモの欠片を取り出した。これも王都の厨房廃棄場から拝借したものだ。芽が出かけていて、捨てられていたやつだ。
「品種改良、試してみるか」
ただ育てるだけじゃない。僕のスキルには【品種改良(神域)】がある。
僕はジャガイモの欠片を手に乗せ、理想のスペックを思い描いた。
病気に強く、成長が早く、皮が薄くてそのまま食べられて、栄養価満点。さらに、食べた人の体力を回復させる薬効成分も含ませよう。
イメージを魔力に乗せて、ジャガイモに流し込む。
ジャガイモが淡い金色の光を帯びた。
「行けっ!」
ふかふかの土に植える。
【植物成長促進】。
今度は制御して、適度な大きさで止める。
土がモコモコと盛り上がり、緑の葉が茂ったかと思うと、すぐに枯れ始めた。収穫の合図だ。
茎を引っ張る。
ズボボボボッ!
土の中から、拳大の美しい黄金色のジャガイモが、数珠つなぎになって出てきた。その数、一株で五十個以上。
泥を払うと、皮はまるで洗ったかのようにツルツルで、陽の光を浴びて宝石のように輝いている。
「『聖ジャガイモ』とでも名付けようか」
僕は魔術で火をおこし、その場にあった平らな石を熱して、ジャガイモをスライスして乗せた。
ジューッという音と共に、香ばしい香りが立ち上る。
何も調味料はない。けれど、この香りだけで唾液が溢れてくる。
表面がカリッと狐色になったところで、一枚つまんで口に放り込む。
「熱っ、……うまッ!」
カリッとした歯ごたえのあと、中はトロリとクリーミー。
濃厚な旨味と甘味が口いっぱいに広がり、鼻から抜ける香りはバターを塗ったかのように芳醇だ。
飲み込むと、胃の腑からカッと熱い力が湧き上がってくるのを感じる。
旅の疲れも、昨日の心労も、すべてが吹き飛んでいくようだ。
これは、ただの野菜じゃない。
最高級のポーションであり、極上の美食だ。
「これなら、ここでも十分やっていける」
僕は焼き上がったジャガイモを次々と口に運びながら、確信した。
この荒野を、世界で一番豊かな農園に変えてみせる、と。
その時だった。
背後の草むらから、ガサリと何かが動く音がしたのは。
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