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第8話「鍋の向こうの幸せ」
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「リリアナ! 貴様を、セレスティーナ嬢への誣告、並びに王家を欺いた罪で断罪する! 衛兵、捕らえよ!」
アルフォンス王子の声が、静まり返った広場に響き渡った。
リリアナは「いやぁ!」と悲鳴を上げたが、騎士たちに両腕を掴まれ、あっけなく連行されていった。自業自得とはいえ、哀れな末路だ。
次に、アルフォンスは俺たちの前に進み出て、深々と頭を下げた。
「セレスティーナ嬢……そして、カイン殿。私の、浅はかな判断が、貴殿らに多大なる苦痛を与えてしまった。まことに、申し訳ない……!」
王子が平民である俺にまで頭を下げるなんて、前代未聞のことだろう。村人たちが息を飲むのが分かった。
セレスティーナは、静かな、しかし毅然とした態度で言った。
「王子、顔をお上げください。私は、もうあなたのことも、王宮のことも、恨んではおりません。この村での生活が、私に本当の幸せを教えてくれましたから」
その言葉には、過去を乗り越えた者の強さが宿っていた。
アルフォンスは、その言葉にさらに恥じ入るように顔を伏せた。
「そ、そうか……。ならば、せめてもの償いをさせてはくれまいか。この農園、いや、この村一帯の土地を、正式にセレスティーナ嬢に与えたい。そして、リヒトベルク王家として、貴殿らの活動を全面的に支援することを約束しよう」
それは、破格の提案だった。俺たちは、この土地の正式な領主として認められるということだ。
「ありがたく、お受けいたします」
セレスティーナは、優雅に一礼した。
こうして、俺たちの村を襲った嵐は過ぎ去った。
アルフォンス王子は、その後も何度かすき焼きを食べに来たが、その度にセレスティーナに頭が上がらない様子で、どこか面白かった。
王家からの正式な支援を受け、俺たちの村――新たに『すき焼き村』と呼ばれるようになった――は、目覚ましい発展を遂げた。
俺とセレスティーナが開発した高品質な作物は大陸中に広まり、多くの人々の食生活を豊かにした。魔香牛も順調に数を増やし、今では村の特産品として確固たる地位を築いている。
そして、俺とセレスティーナの関係も、少しずつ変わっていった。
共に畑を耕し、共に食卓を囲む毎日の中で、俺たちの間には、単なるパートナー以上の感情が芽生えていた。
***
ある晴れた日の午後、俺は彼女を、二人で初めて奇跡のカブもどきを育てた、あの思い出の畑に呼び出した。
「セレスティーナ。俺、あんたに会えて、本当に良かったと思ってる」
「私もよ、カイン。あなたがいなければ、私はずっと独りだった」
彼女は、出会った頃には考えられないような、柔らかい笑顔を向けてくれる。
俺は意を決して、懐から小さな箱を取り出した。
それは、俺が畑仕事の合間に、村の鍛冶屋に頼んで作ってもらった、シンプルな指輪だった。
「セレスティーナ。俺は、これからもずっと、あんたの隣で、あんたが作った野菜で、すき焼きがしたい。いや、すき焼きだけじゃない。あんたと一緒に、飯を食って、笑って、生きていきたい」
俺は箱をパカっと開けて、彼女に差し出した。
「俺と、結婚してくれないか?」
セレスティーナは、一瞬、翠の瞳を大きく見開いた。
そして、次の瞬間、その瞳から大粒の涙をぽろぽろとこぼし始めた。
「……バカ。そんなの、当たり前じゃない」
彼女は、泣きながら、最高に幸せそうな顔で笑った。
「私を、あなたのお嫁さんにしてください」
俺は彼女の薬指に指輪をはめ、そっとその体を抱きしめた。
空はどこまでも青く、畑からは豊かな土の匂いがした。
こうして、転生者の俺と追放令嬢の物語は、最高のハッピーエンドを迎えた。
もちろん、俺たちの挑戦はまだまだ終わらない。
明日は牛丼に挑戦してみようか。それとも、親子丼か。
俺たちの食卓は、これからもずっと、幸せな香りで満ち溢れているだろう。
セレスティーナという、最高のパートナーと一緒に。
アルフォンス王子の声が、静まり返った広場に響き渡った。
リリアナは「いやぁ!」と悲鳴を上げたが、騎士たちに両腕を掴まれ、あっけなく連行されていった。自業自得とはいえ、哀れな末路だ。
次に、アルフォンスは俺たちの前に進み出て、深々と頭を下げた。
「セレスティーナ嬢……そして、カイン殿。私の、浅はかな判断が、貴殿らに多大なる苦痛を与えてしまった。まことに、申し訳ない……!」
王子が平民である俺にまで頭を下げるなんて、前代未聞のことだろう。村人たちが息を飲むのが分かった。
セレスティーナは、静かな、しかし毅然とした態度で言った。
「王子、顔をお上げください。私は、もうあなたのことも、王宮のことも、恨んではおりません。この村での生活が、私に本当の幸せを教えてくれましたから」
その言葉には、過去を乗り越えた者の強さが宿っていた。
アルフォンスは、その言葉にさらに恥じ入るように顔を伏せた。
「そ、そうか……。ならば、せめてもの償いをさせてはくれまいか。この農園、いや、この村一帯の土地を、正式にセレスティーナ嬢に与えたい。そして、リヒトベルク王家として、貴殿らの活動を全面的に支援することを約束しよう」
それは、破格の提案だった。俺たちは、この土地の正式な領主として認められるということだ。
「ありがたく、お受けいたします」
セレスティーナは、優雅に一礼した。
こうして、俺たちの村を襲った嵐は過ぎ去った。
アルフォンス王子は、その後も何度かすき焼きを食べに来たが、その度にセレスティーナに頭が上がらない様子で、どこか面白かった。
王家からの正式な支援を受け、俺たちの村――新たに『すき焼き村』と呼ばれるようになった――は、目覚ましい発展を遂げた。
俺とセレスティーナが開発した高品質な作物は大陸中に広まり、多くの人々の食生活を豊かにした。魔香牛も順調に数を増やし、今では村の特産品として確固たる地位を築いている。
そして、俺とセレスティーナの関係も、少しずつ変わっていった。
共に畑を耕し、共に食卓を囲む毎日の中で、俺たちの間には、単なるパートナー以上の感情が芽生えていた。
***
ある晴れた日の午後、俺は彼女を、二人で初めて奇跡のカブもどきを育てた、あの思い出の畑に呼び出した。
「セレスティーナ。俺、あんたに会えて、本当に良かったと思ってる」
「私もよ、カイン。あなたがいなければ、私はずっと独りだった」
彼女は、出会った頃には考えられないような、柔らかい笑顔を向けてくれる。
俺は意を決して、懐から小さな箱を取り出した。
それは、俺が畑仕事の合間に、村の鍛冶屋に頼んで作ってもらった、シンプルな指輪だった。
「セレスティーナ。俺は、これからもずっと、あんたの隣で、あんたが作った野菜で、すき焼きがしたい。いや、すき焼きだけじゃない。あんたと一緒に、飯を食って、笑って、生きていきたい」
俺は箱をパカっと開けて、彼女に差し出した。
「俺と、結婚してくれないか?」
セレスティーナは、一瞬、翠の瞳を大きく見開いた。
そして、次の瞬間、その瞳から大粒の涙をぽろぽろとこぼし始めた。
「……バカ。そんなの、当たり前じゃない」
彼女は、泣きながら、最高に幸せそうな顔で笑った。
「私を、あなたのお嫁さんにしてください」
俺は彼女の薬指に指輪をはめ、そっとその体を抱きしめた。
空はどこまでも青く、畑からは豊かな土の匂いがした。
こうして、転生者の俺と追放令嬢の物語は、最高のハッピーエンドを迎えた。
もちろん、俺たちの挑戦はまだまだ終わらない。
明日は牛丼に挑戦してみようか。それとも、親子丼か。
俺たちの食卓は、これからもずっと、幸せな香りで満ち溢れているだろう。
セレスティーナという、最高のパートナーと一緒に。
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