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第2話:再出発と運命の出会い
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絶望の迷宮から生還した俺は、文字通りボロボロの状態だった。だが、心は不思議と晴れやかだった。ゴーレムを護衛につけ、ダンジョン内の魔物を素材に変えながら進んだおかげで、道中は驚くほど安全だった。
ダンジョンを抜けた先には、巨大な城壁に囲まれた城塞都市があった。俺はゴーレムを粒子に戻して見えないように隠し、よろよろと門をくぐる。衛兵に怪訝な顔をされたが、冒険者だと適当に誤魔化してなんとか街に入ることができた。
まずは金を作らないと、宿も取れないし、まともな食事もできない。
俺は街の裏路地に入り、そこに転がっていた錆びついた鉄クズの山に目をつけた。衛兵に見つからないよう、素早くそれに触れる。
「【分解】」
鉄クズは瞬時に光の粒子となり、鉄、炭素、そして不純物といった構成情報が頭に流れ込む。俺はその中から不純物を取り除き、鉄と炭素の比率を調整して、より強度の高い「鋼」のイメージを固めた。
「【再構築】」
手のひらの上に、光が集まって一つの塊になる。現れたのは、ずっしりと重い、一点の曇りもない見事な鋼のインゴットだった。
俺はそれを近くの鍛冶屋に持ち込んだ。頑固そうな親方は、最初はいぶかしげな顔をしていたが、インゴットを見るなり目を見開いた。
「なっ……なんだこの純度は!? こんな上質な鋼、ドワーフの名工でもなけりゃ作れねぇぞ!?」
親方は大興奮で、相場の何倍もの値段でインゴットを買い取ってくれた。おかげで、俺は当面の生活費と、新しい服や装備を整えるための資金を手にすることができた。
身なりを整え、安宿に一室を借りる。温かい食事とふかふかのベッドが、こんなにも幸せなものだとは思わなかった。
翌日、街の情報を集めるために酒場へ向かうと、冒険者たちの噂話が耳に入ってきた。
「おい、聞いたか? 勇者ガイ様のパーティーが王都に凱旋したらしいぜ」
「ああ、なんでも絶望の迷宮を攻略したとか。さすがは勇者様だ!」
「なんでも、パーティーにいた荷物持ちがボス戦で勇敢に戦って死んだらしい。そのおかげで勝てたんだとよ」
俺は、それを聞いて静かに拳を握りしめた。死んだ? 勇敢に? ふざけるな。あいつらは俺を捨てて逃げたくせに、俺の存在まで利用して名声を得ているのか。
込み上げてくる怒りを、ぐっと堪える。今はまだ、あいつらと関わるべきじゃない。俺には、これからやるべきことがある。今は力を蓄え、自分の地盤を固めるのが先決だ。
そう決めて酒場を出た俺は、街の中心にある広場で、人だかりができているのを見つけた。野次馬根性で覗き込んでみると、そこは奴隷市場だった。
檻に入れられた獣人や亜人たちが、商品として並べられている。気分が悪くなる光景だったが、その中の一つの檻に、俺は釘付けになった。
そこにいたのは、一人のエルフの少女だった。陽の光を吸い込んで輝くような銀色の髪は汚れ、美しいはずの顔は衰弱しきって青白い。着ているものもボロ布同然だった。
だが、そんな絶望的な状況の中でも、彼女の瞳だけは死んでいなかった。エメラルドのような緑色の瞳に宿る、決して諦めないという強い光。
その光に、俺はダンジョンに置き去りにされた時の自分を重ねていた。
「へい、旦那。お目が高い! こいつは極上のエルフだ。ただ、ちょっと訳ありでね」
奴隷商人が、下卑た笑いを浮かべて話しかけてくる。
「訳あり?」
「ああ。どうやら強力な呪いにかかってるらしくてな。日に日に弱ってる。まあ、長くはもたないだろうが、死ぬまでの数日くらいは楽しめるぜ? だから格安にしとくよ」
呪い、か。俺は無意識にスキルを集中させた。対象の構造を理解する【分解】の力を、彼女に向けたのだ。
すると、俺の脳内に、彼女の体を取り巻く魔力の流れが見えた。正常な生命力の流れに、どす黒く、禍々しい蛇のような魔力が複雑に絡みついている。それが彼女の生命力を蝕んでいる原因だ。
普通の治癒魔法や解呪では、正常な魔力回路ごと傷つけてしまうだろう。だが、俺にはわかる。その呪いは、極めて緻密に編み上げられた、ただの「魔力の塊」だ。
――これなら、【分解】できるかもしれない。
俺は、決意した。この子を、このまま見殺しにはできない。
ダンジョンを抜けた先には、巨大な城壁に囲まれた城塞都市があった。俺はゴーレムを粒子に戻して見えないように隠し、よろよろと門をくぐる。衛兵に怪訝な顔をされたが、冒険者だと適当に誤魔化してなんとか街に入ることができた。
まずは金を作らないと、宿も取れないし、まともな食事もできない。
俺は街の裏路地に入り、そこに転がっていた錆びついた鉄クズの山に目をつけた。衛兵に見つからないよう、素早くそれに触れる。
「【分解】」
鉄クズは瞬時に光の粒子となり、鉄、炭素、そして不純物といった構成情報が頭に流れ込む。俺はその中から不純物を取り除き、鉄と炭素の比率を調整して、より強度の高い「鋼」のイメージを固めた。
「【再構築】」
手のひらの上に、光が集まって一つの塊になる。現れたのは、ずっしりと重い、一点の曇りもない見事な鋼のインゴットだった。
俺はそれを近くの鍛冶屋に持ち込んだ。頑固そうな親方は、最初はいぶかしげな顔をしていたが、インゴットを見るなり目を見開いた。
「なっ……なんだこの純度は!? こんな上質な鋼、ドワーフの名工でもなけりゃ作れねぇぞ!?」
親方は大興奮で、相場の何倍もの値段でインゴットを買い取ってくれた。おかげで、俺は当面の生活費と、新しい服や装備を整えるための資金を手にすることができた。
身なりを整え、安宿に一室を借りる。温かい食事とふかふかのベッドが、こんなにも幸せなものだとは思わなかった。
翌日、街の情報を集めるために酒場へ向かうと、冒険者たちの噂話が耳に入ってきた。
「おい、聞いたか? 勇者ガイ様のパーティーが王都に凱旋したらしいぜ」
「ああ、なんでも絶望の迷宮を攻略したとか。さすがは勇者様だ!」
「なんでも、パーティーにいた荷物持ちがボス戦で勇敢に戦って死んだらしい。そのおかげで勝てたんだとよ」
俺は、それを聞いて静かに拳を握りしめた。死んだ? 勇敢に? ふざけるな。あいつらは俺を捨てて逃げたくせに、俺の存在まで利用して名声を得ているのか。
込み上げてくる怒りを、ぐっと堪える。今はまだ、あいつらと関わるべきじゃない。俺には、これからやるべきことがある。今は力を蓄え、自分の地盤を固めるのが先決だ。
そう決めて酒場を出た俺は、街の中心にある広場で、人だかりができているのを見つけた。野次馬根性で覗き込んでみると、そこは奴隷市場だった。
檻に入れられた獣人や亜人たちが、商品として並べられている。気分が悪くなる光景だったが、その中の一つの檻に、俺は釘付けになった。
そこにいたのは、一人のエルフの少女だった。陽の光を吸い込んで輝くような銀色の髪は汚れ、美しいはずの顔は衰弱しきって青白い。着ているものもボロ布同然だった。
だが、そんな絶望的な状況の中でも、彼女の瞳だけは死んでいなかった。エメラルドのような緑色の瞳に宿る、決して諦めないという強い光。
その光に、俺はダンジョンに置き去りにされた時の自分を重ねていた。
「へい、旦那。お目が高い! こいつは極上のエルフだ。ただ、ちょっと訳ありでね」
奴隷商人が、下卑た笑いを浮かべて話しかけてくる。
「訳あり?」
「ああ。どうやら強力な呪いにかかってるらしくてな。日に日に弱ってる。まあ、長くはもたないだろうが、死ぬまでの数日くらいは楽しめるぜ? だから格安にしとくよ」
呪い、か。俺は無意識にスキルを集中させた。対象の構造を理解する【分解】の力を、彼女に向けたのだ。
すると、俺の脳内に、彼女の体を取り巻く魔力の流れが見えた。正常な生命力の流れに、どす黒く、禍々しい蛇のような魔力が複雑に絡みついている。それが彼女の生命力を蝕んでいる原因だ。
普通の治癒魔法や解呪では、正常な魔力回路ごと傷つけてしまうだろう。だが、俺にはわかる。その呪いは、極めて緻密に編み上げられた、ただの「魔力の塊」だ。
――これなら、【分解】できるかもしれない。
俺は、決意した。この子を、このまま見殺しにはできない。
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