追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

黒崎隼人

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エピローグ:君と歩む、この世界で

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 魔王との戦いは、熾烈を極めた。だが、世界の理そのものを書き換える俺の「創世の権能」の前には、絶対的な力を持つ魔王ですら敵ではなかった。

 俺は魔王を倒し、そして、この世界を縛り付けていた「スキル至上主義」という歪んだ理を、根本から【分解】し、消し去った。

 世界から呪いが消え、人々は生まれ持ったスキルに縛られることなく、自らの努力と意志で未来を切り開ける、本来あるべき自由な世界へと【再構築】されたのだ。

 人々は俺を「救国の英雄」「創世神」と讃え、王国の玉座に座るようにとまで言った。

 だが、俺はそれをすべて固辞した。

 俺が欲しかったのは、名誉や地位じゃない。ただ、愛する人と共に過ごす、穏やかな日常だ。

 戦いが終わって数年後。俺は、ルナと共にアークライトの町へ戻っていた。

 町の外れにある、あの豪華な屋敷ではない。俺たちが最初に二人で暮らした、あの小さな家だ。俺たちは、またあの家で暮らすことにしたのだ。

 工房と呼ぶには小さな作業部屋で、俺は木の板を相手に木工細工を作っていた。トントンと、心地よい木槌の音が響く。もう、世界を創り変えるような大それた力は使わない。ただ、誰かを笑顔にするための、ささやかな物作り。それが、今の俺の喜びだった。

「ベルク様、お茶が入りましたよ」

 部屋の入り口から、ルナが優しい声で呼びかける。彼女が差し出すカップを受け取ると、ふわりとハーブのいい香りがした。

「ありがとう、ルナ」

 俺が微笑むと、彼女も幸せそうに微笑み返してくれる。その左手の薬指には、俺が創世鋼を【再構築】して作った、シンプルな指輪がキラリと光っていた。もちろん、俺の指にもお揃いのものがある。

「あら、可愛いウサギさんですね」

 ルナが、俺が作っていた木彫りのウサギを覗き込む。

「ああ。隣の家の、アンナちゃんにあげようと思ってね」

「ふふ、きっと喜びますね」

 窓の外では、子供たちの元気な笑い声が聞こえる。平和で、穏やかで、温かい。これこそが、俺が守りたかった世界だ。

「おかえりなさい、ベルク様」

「ああ、ただいま、ルナ」

 俺たちは、どちらからともなく寄り添い、窓の外の平和な景色を眺める。

 物語は、英雄の伝説としてではなく、愛する二人の穏やかな幸せの中で、静かに幕を下ろした。
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