年下の彼に脅されています!

花夜

文字の大きさ
4 / 12

第4話 殴りたい♡

しおりを挟む

「ああ、あの地味記者じゃねーか。本当に来るとか…どんだけ仕事が欲しいんだよ」

 呆然と佇んでいれば私に気づいた一宮悠月が人を馬鹿にした顔で吐き捨てた。

「いやだ、ホントに地味な人。場違いなの分かってないの?」

「ふふふっ」

 それに同意する周りの女性たち。

 いや、馬鹿にされるのは大変結構なんだけど、地味なのは事実だし…それよりこの状況は何!?

「…何があったの?」

 悠月を無視し、玖音は眼鏡くんに問いかけた。

 私の態度にあからさまにイラつき、悠月の視線が鋭くなったのに気づいてはいたがそんなのには構っていられない。

「貴女は?」

「私はフルール社の九条玖音です。一宮くんに独占インタビューの交渉をしに来たんですけど…」

 そう言えば全て理解したらしい。

 あぁ、と納得した後、憐れむような瞳で大変ですねと言われた。

「僕は霧島きりしま 春人はると。悠月の幼馴染でストッパー役ってところです。この子はーー落ち着くまでそっとしておいた方がいいと思います」

 未だ泣き止まぬ少女はとりあえず霧島くんに任せるとして、私は本来の目的である一宮悠月へと視線を向ける。

「それで、家に来たら考えてくれるって話だった筈ですけど?」

「馬鹿じゃねーか?俺がそんな面倒臭いことする訳ないだろ」

 この口と態度の悪さはまぁ良しとしよう。

 人間誰しも裏表があるものだ。

 テレビ業界の者なら尚更使い分けているだろう。

 むしろテレビに映っている通りの人間なんてほとんどいないし、多面性があるのは理解している。

それでもこれは豹変しすぎではないだろうか?

 悠久の王子様なんて大層なあだ名を持つ男も蓋を開ければ、生意気な女の敵と成り下がるとか…独占インタビューよりむしろこの事実の方が余程記事になるのではないか。

 そう思えてならなかった。

「…どう足掻いてもお話を受ける気はないってことですね?」

 正直、一刻も早く立ち去りたい気持ちで一杯だ。

 このままここにいたら確実に彼を殴り飛ばしたくなる、いや殴り飛ばす未来が見えた。

(こんなにイラつくのは久しぶりかもしれない…)

 大人気俳優だろうが大物の息子だろうが関係なく、人を見下す人間が私は嫌いだった。

 本音を言えばいくら仕事でも関わりたくないタイプだ。

「そうだな…俺様にインタビューを答えて欲しければ這いつくばってみろよ。そしたら考えてやらなくもない」

「いやだ悠月ったら寛大」

 ふふん、と偉そうな態度にそれを肯定する周りの女。

「悠月、九条さんに失礼だろ!何度その態度を改めろって言ったら分かる」

 唯一の良心でありまともな思考の持ち主は霧島くんである。

 彼がいるだけでだいぶ救われた。

 主に精神面で。

(ヤバイ…猛烈に張っ倒したい!そんなことをしたら終わりだって分かってるけど…)

 私が己の理性と葛藤しているとはいざ知らず、悠月は冷たく言い放つ。

「そこの女みたいに身の程を弁えていない奴はこれだから困る。むしろこの俺の家に入れたことだけでも有難いと思え」

 そこの女、という単語に座り込んでいた少女がビクリと反応する。

(さっきから聞いていれば何なのこいつ?これが本当に一宮悠月なの?)

 だんだんと怒りのボルテージが上がっていく。

「…この子がどうしたの?」

「その女が俺のファンだって言うからこうして招待してやったんだ。そして特別に素顔を見せてやったらこの有り様だ。大して可愛くもないくせに、高望みしなければ夢を見ていられたのにな?」

 高笑いをする下衆に、私はとうとう限界に達した。

 咎めようとする霧島くんを遮り、ゆっくりと彼らに近づく。

 そしてテーブルに置いてあったグラスを掴み遠慮なくその中身を彼にぶちまけた。

「お黙りなさい。あんたなんかに彼女のようなファンは勿体無いわ。せいぜい自分を持ち上げてくれる性格ブスな女と戯れることね」

 内心やっちまったと思いながらももう止めることは出来なかった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

元婚約者が修道院送りになった令嬢を呼び戻すとき

岡暁舟
恋愛
「もう一度やり直そう」 そんなに上手くいくのでしょうか???

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...