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第1部 双子の恋愛感情
第24夜
しおりを挟む瞬間、ガチャリと再び扉の開く音が響いた。
「!?」
『お前らこんなところでサボりか~?今は授業中だぞ、クラスに戻れ』
のんびりとした独特のテノールが聞こえたかと思うと、
『あ、たばっちゃん!』
生徒の一人がそう叫んだ。
田場 薫、二学年の数学担当である。
教師らしからぬ態度と180センチ超えの高身長にワイルドな顔立ちが手伝って、一部の生徒に絶大な人気を誇る先生の一人だ。
『田場先生だろ?ほら、そもそもここは立ち入り禁止だ。帰った、帰った』
『はーい』
ある意味素晴らしいタイミングで登場した先生に促され、生徒たちは素直に退散したようだ。
『まったく、タバコ休憩に来たのに生徒が先にいるとか。今は諦めて戻るとするかね』
田場はそう呟くと同じように屋上を出て行った。
完全に人がいなくなったことを肌で感じとると、ホッとひと息つく。
それと同時に一連の出来事の間、ずっと弟と繋がり尚且つ萎えもしない己の中心の図太さに我ながら呆れを通り越して感心すら覚える。
「行っちゃったね。彗は見られたかったんじゃないの?」
「なっ!?」
「ふふ。邪魔者も居なくなったし、たっぷり可愛がってあげるね」
さっきから好き放題してるじゃねぇか!
これ以上俺に何をさせる気だよ!!
心の叫びは残念ながら彼には届かず、爽は彗の両足を抱えると巧みに腰を使い始めた。
けれど先ほどから何度もイく手前で寸止めを食らっていたため、身体は感じていても素直に爆ぜる事ができなかった。
(…くそっ。刺激が足りねぇ……)
素直にそう伝える事は出来るはずもなく彗は仕方なく自身のモノへと手を伸ばした。
「…ん……はぁ…」
「彗ったら欲張りだね?でも、ダメだよ勝手な事しちゃ。これはお仕置きなんだから、後ろだけでイッて」
けれど、無情にも爽に阻まれる。
「なっ…!!」
(も、う無理だ…)
色々と限界だった。
自分で扱こうにも爽に腕を固定されて叶わず、かといって後ろだけの刺激でイけるほど身体も素直じゃない。
熱で理性は崩壊しそうだった。
(ちく、しょう…)
俺は唇を噛み締め、自分の不甲斐なさを呪いながらついに口を開いた。
「爽」
「なぁに?」
「もう……イかせて、くれっ」
絞り出すような声で伝える。
羞恥で瞳を開けていられなかった為、爽が本当に嬉しそうな笑顔を向けていることに気づかなかった。
「もっと可愛くおねだりして欲しかったんだけど、いいよ。ご褒美あげるね」
そう言って爽は彗の中心を攻め立て、どこにそんな体力が余っていたのか、より一層激しく腰を打ち付け始めた。
「あっ…や、いきなり…激しすぎ、るっ!」
「彗」
優しく名前を呼ばれ、行為とは正反対の淡いキスが落とされる。
「んっ……ぁっ」
「イッていいよ」
一際深いところを突かれ、その衝撃で俺は白濁の液をぶち撒けた。
同じタイミングで身体の中に熱が放たれる。
「ああっ……くっ…ン…」
ハンパない疲労を感じながら荒い息を整え、我が弟を睨んだ。
「お前、中に出しただろっ!」
奥に感じた熱、爽がペニスを引き抜いた時に溢れた液が伝うなんとも言えない感覚。
そのことから中出しされたと分かった。
「ごめんね。でも、ゴムを付ける余裕がなかったのは彗も知ってるでしょ?一応、持ち合わせてはいたんだけどね」
ほら、と爽は尻ポケットからコンドームを取り出しながら全く懲りてない様子で謝罪を口にした。
「……クソがっ」
悪態をつきながら、俺は脱がされたパンツとスラックスを引き寄せる。
タオルを常備していないので、仕方なくパンツで汚したモノを拭き取り、ノーパンのままスラックスを履いた。
(気持ち悪りぃ)
身体の中にはまだ爽のモノが残っており、動く度にどろっとしたものが溢れてくる感覚に襲われる。
「彗、どこに行くの?」
「帰るに決まってんだろ。この状態で授業なんて受けられるかっ」
まだ午後の授業は残っていたが、ノーパンのまま、しかも爽の精液を宿したまま真面目に出席する必要はない。
「送ろうか?」
いかにも心配だ、という表情で爽は申し出たが自分を犯した張本人に身体を預けるなんて出来るわけがなかった。
「いらねぇよ」
「そっか。あ、帰ったらきちんとお風呂に入ってね。そのまま寝ちゃダメだよ」
いつも通り完璧に身だしなみを整えた爽がにこやかなに助言する。
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