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(R18)ファタール用改稿版
第26話 魔晶石
しおりを挟む「これは『魔晶石』といって、魔法の力を結晶化したものです。色によって効果が異なります」
青:氷柱を打ち出す。攻撃だけでなく、足場や支えにも使える。
黄:空間に電流を放つ。複数の敵にダメージを与える。
白:竜巻を発生させ、数分間自由に操作できる。
緑:体液の流れを調整し、回復や毒の中和に効果がある。
「緑は20個。他は5個ずつしかありません。白の魔晶石は、かつて風の英雄が竜を封じるために使ったと伝えられているほど強力ですが、どれも
一度使うとなくなってしまうので、使いどころは慎重に」
「へぇ~、そいつは便利だな。ありがたくもらっておくよ。・・・そうだ、マルコ。ちょっと」
皮袋を懐にしまいながら、アモールが思い出したようにマルコを呼んだ。
本当なら、アモールと一緒に行きたい。
駄々をこねてでも、ついて行きたい——
でも、それができないことを、マルコは知っていた。
彼女の心の中では、子供の我儘と、大人の理解がせめぎ合っていた。
そして、勝ったのは——後者だった。
小走りで駆けてきたときの、静かな表情がそれを物語っていた。
「いいか、マルコ。よく聞けよ」
アモールは、彼女の耳元に顔を寄せ、小声で話し始める。
「これは、すごく大事なことだ。もし夜明けが来ても、何も起きなかったら——縄をつけてでもいい、サラサを連れて街へ戻れ。そして、援軍を呼んでこい。あの女を無事に街へ連れて行けるのも、援軍を案内できるのも、おまえだけだ。わかるな?」
『夜明けが来ても何も起きない』——それはつまり、アモールが失敗したとき。
彼が、戻らなかったとき、だ。
マルコにも、その意味はすぐに伝わった。
彼女は何も言わず、涙で潤んだ瞳でアモールを見つめ、やがて、静かにコクリと頷いた。
「・・・あっ、今気づいたけどさ。おまえ、本当は女なんだから『マルコ』って名前、ちょっと変だよな。本名はなんて言うんだ?」
おどけた調子で尋ねるアモール。
けれど、その目は真剣だった。
「・・・マリーナ。マリーナ・リスニィ・・・よ」
言い終えた途端、マリーナはくるりと身を翻し、サラサのもとへ駆けていった。
初めて『女言葉』を使った照れもあったのだろう。
サラサの隣に並んだ彼女の手が、二度、三度振られる。
それを確認して、アモールは静かに背を向けた。
背を向けたその瞬間、彼はすべてを背負う覚悟を決めていた。
誰にも見せない、静かな誓いだった。
彼の歩く先には——数千年を越えて、なお息づく謎と神秘が待っている。
そして、誰も知らない『真実』が、そこにあるはずだった。
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