22 / 327
全年齢対応・表現マイルドバージョン
第21話 新『属性』~河童、ただいま準備中~
しおりを挟む『サブマスターのドロップアイテムを回収しています。使用しますか?』
「ドロップアイテム?」
『サブマスター討伐時のレアドロップアイテム『副将の椅子』には、サブマスター枠を+1の効果があります。使用すれば、サブマスターを二体作れます』
「おお。それはありがたいね。早速使用しよう」
「『副将の椅子』を使用しました。サブマスター枠が2です」
『ダンジョン』のステータス画面に『サブマスター』の枠が二つ並んだ。
ここに任意の相手を入れれば『サブマスター』に任命できる。
「よろしい。では、サブマスター候補『仁科悠』・・・」
目の前の現状で唯一の部下を見た。
ハタと止まる。
「いや。名前も変えようか。いいかな?」
人間の名前のままというのもおかしい気がするのだ。
本人に確認をとろう。
「・・・そうね。いいんじゃないかな」
『仁科悠』ではなくなるのだからと、コントラストを失くした目で答えてくれる。
許可を得た。
よし、これで決まりだ。
カエルからの『妖怪化』。
当然に水だろう。
新たに湧き上がるイメージ。
池ではなく。
沼ほど重くない。
『沢』だ。
そして、色。
カエルだし・・・。
「なら、サブマスター候補『沢辺みどり』ちゃんの製作に入ります!」
宣言して、製作スタートだ。
ベースが『仁科悠』なのは変わらない。
ここに、妖怪的要素を加えていく。
既存のデータを上乗せしていく感覚だ。
で、結局何を作るのかと言えば『河童』である。
水の妖怪と言えばこれだろう。
最近は『アマビエ』も人気だけどね。
「カエルも『虫』枠なんだよねー」
それこそ、家ネズミなんかも虫扱いだからね。
要は『昆虫』も含めて『小さい生き物』全版を『虫』と呼ぶらしい。
本にもよるから厳密な定義ではなく、緩い分類法ってことなのだろう。
というわけで、手足の水かきと肌はアマガエルさんのデータを転用。
目もかな。
水生生物使用だ。
「おお。質感が安定してるね。見た目も滑らかでいい感じ」
カエルさんを触っても、そんな風には思わないだろうが、女子高生仕様になると、肌の質感がしっとりしていて、見た目にも柔らかくていい感じ。
「人間バージョンに戻してみて」
非戦闘時バージョンの素肌と比べてみる。
「甲乙つけがたいね」
女子肌のすべすべ感もいいけど、カエル肌のやわやわつるつる感もいい。
あとは、『河童』と言えば頭の皿と背中の甲羅だが・・・。
皿はちょっと保留して、甲羅から。
手元にあるデータは『虫』。
『亀』とかあるかな?
さすがに無理があるか?
『虫型モンスター』の一覧が載った『『カタログ』にも入っていない。
ミドリガメなら『虫』の定義に入りそうなものだけど。
・・・見当たらない。
「んー。タガメの外骨格で形を整えよう」
脱着式だ。
身体改造ではなくコスチューム。
出番が来ると着替えて出動するモンスター。
『仁科悠』バージョンから『沢辺みどり』バージョンになる。
更衣室というか舞台袖でコスチュームを身に着けて舞台に上がる。
早着替えのある舞台劇って感じ。
スポットライトが当たるように、甲羅がきらりと光る。
まるで舞台の主役みたいだ。
いいね!
学園祭的雰囲気がある。
「で、懸案のお皿をどうするかだな」
考えながら、もう一度『カタログ』を開く。
砂漠の方に水を溜めるというか空気から水を得る虫がいたはずなのだ。
「おお。あるある」
硬い羽根である鞘翅を風に当てることで水を手に入れるという虫だ。
これを利用する。
甲羅で受けた風から水分を取り出して、頭の上に貯めるのだ。
肌がカエルバージョンに変化した『沢辺みどり』が、タガメ製の甲羅を背負う。
頭に水を集める皿をかぶって・・・。
「あ、なんか涼しい?」
頭の上に水がたまる感覚に、みどりが声を上げた。
「よし。完成だ!」
全体を眺める。
「おお。いいね。可愛いよ」
完成した『河童』は、ほぼ仁科悠のままだ。
ただし、『河童』要素は詰め込んだ。
どこに出しても恥ずかしくない『河童』がそこにいる。
肌の色も今は色白な普通の日本人。
ただし、戦闘時にはちゃんと緑色になる仕様だ。
「学校の指定制服付きだよ」
ダンジョン素材からなる迷宮探索用装備に制服があるからな。
それを再現してある。
オーソドックスなブレザーだ。
白いワイシャツに、紺色の上着とスカート、ネクタイは赤。
性能は・・・戦闘になってのお楽しみ。
「あ。ありがと」
ホッとした顔で、たぶん初めての笑顔を見せてくれた。
学校にいるときにも見たことの無かった表情だ。
でも・・・。
なんか楽しい。
制服姿の河童。
なんていうか、学際の出し物でお化け屋敷やりますって感じに見える。
ちょっと憧れてたんだよなぁ。
アニメとかであるだろ?
メイド喫茶とかお化け屋敷とか。
ああいう出し物系をやるの。
「河童でも似合う、かな?」
制服に袖を通した悠——『沢辺みどり』が袖口やスカートのひだをつまんで呟いた。
まるで文化祭の舞台に立つ主役みたいに、甲羅がきらりと光る。
スポットライトが彼女の変身を祝福しているようだった。
「かなりイケてる。可愛いよ!」
追従ではなく、素で口に出た。
「っ・・・・!」
それが分かったのだろうか?
みどりは胸元をぎゅっと抱きしめ、小さく足踏みをした。
嬉しさを隠しきれないように。
「決めた! このダンジョンの新しい『属性』は『学園祭』だ!」
校長も『ダンジョン祭』に向けた行事として、このレイドを企画したんだし。
オレ得の、オレが愉しい、学園祭にするのだ!
制服姿の妖怪たちが集う、奇妙で愉快な迷宮。
カルマは、自分だけの祭りを始めることにした。
それは、誰にも見られなかった教室の隅で、 ひとりきりで夢見た、静かな祝祭の芽吹き。 今、ようやくその夢が、音を立てて動き出す。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる