異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~

ぱつきんすきー

文字の大きさ
65 / 84

65 過ぎたるは

しおりを挟む

さわ

『ブルッ』

さわさわ

『ブルッブルッ』

頭に感じる柔らかであたたかな感触

条件反射的に、ワタシのお耳が応答しています

「ん~ん」
「ん?」

目を開けると、視界は仄暗く、

離れたところにあるオレンジに灯るやさしい光が視界を確保してくれます

(あれ?)
(ワタシ、いつの間にか寝てた?)
(というか、ここ、どこ?)

まさしく知らない天井状態のワタシ

(天井? というより、布?)

視界には、布のようなモノ

まるで天幕の中ようです


「あら? 起こしちゃったかしら?」

頭の上の方から、聞きなれた声が聞こえてきました

そちらに目を向けると、やさし気な微笑みを湛えているジェニー姐さんが、

ワタシの顔を覗き込んでいます

どうやら、寝ているワタシの頭を撫でてくれていたようです



「急激なレベル上昇に対する拒否反応のようね」
「今は、それに伴うショック状態、そんなところかしら」

ジェニー姐さんが今のワタシの状況を説明してくれました


急激なレベルアップにワタシの体がついていけなくなり、

一時的に全てがなかったことになったような状態

そしてそれに伴い、身体機能が著しく低下して昏倒

それが今のワタシのようです

「たぶん、今のあなたは、ステータスが物凄く低下していると思うわ」


ジェニー姐さんの説明によると、

不相応な器(体)に対して急激なレベル上昇があった場合、

レベル上昇が行われないだけにとどまらず、

一定期間、レベル及び身体能力が低下する現象が起きるみたいです

数日から数か月で元のレベルにまでには回復するそうですが、

急激なレベル上昇はなかったことになるとのこと

つまり、ワタシの【アントン】討伐の経験値は、水泡に帰するようです

(はは、まさに骨折り損のくたびれ儲け、だね?)
(それとも、悪銭身に付かずって感じなのかな?)
(それにしてもワタシの体、そんなにレベルアップできないってこと?)

過ぎたるは猶及ばざるが如し

薬も過ぎれば毒になる

ワタシの今の状況は、そんな感じみたいです


「私もはじめて目の当たりにする現象で、驚いているのよ?」
「以前文献で見て、こういう現象が極まれにある、ということだけは知っていたのだけれど」
「まさか本当に起きるとは、しかもこんな身近で・・・」

(長年生きている)ジェニー姐さんでもはじめて見る現象のようです

(おっと、お歳のお話はしてはいけません、いけません)

ワタシを見つめる眼光が一瞬ちょっと鋭くなったジェニー姐さん

それは一瞬だけで、すぐ何事もなかったようにお話を続けてくれます

「極まれに、人族の間で【賢者】と呼ばれる者が現れるのだけれど」
「その【賢者】だった人物の体験談をまとめた文献に記されていた症状と同一なのよね」

「【賢者】です?」

「ええ。豊富な知識を有していて、斬新なアイデアを次々と形にしていく人物」
「国から正式に【賢者】の称号を与えられている、人族の知識人よ」

「凄い人なのですね?」

「ええ。ただ、欠点があるのよね」

「欠点です?」

「そう。【賢者】と呼ばれる人物は、得てして意思伝達があまり達者ではないのよね」
「最初は言葉自体が通じなかったみたいなの」
「どうやら【賢者】とよばれる人物は、そのほとんどが別の言語を使っていたみたい」
「だから、【賢者】直執の書物は皆無に等しいわ」
「たしか、【賢者】関連の書物は、その大部分が彼の弟子による著書だったはずよ」

「凄い知識があるのに、それをみんなに伝えられない?」
「なんだか勿体ないのです」



ワタシの状況のお話から、【賢者】のお話へと大分横道にそれてしまいましたが、

ワタシの昏倒の原因とその状態が分かったので、あとはそれを確認するだけです


ということで、口ずさむのはこの言葉、

「ステータス!」

Lv.1

HP 100
MP 100
攻撃 10
防御 10
魔力 10
速度 10
幸運 10

スキル
 【言語理解 Lv.32】
 【インベントリ Lv.32】
 【買い物履歴 Lv.32】

テクニック
 【猫脚】



「ぎゃ~!」
「レベル1になってますぅ~!」

思わず声を出してしまうほどのショックです

下がっていると聞いてはいましたが、まさかのレベル1

ふりだしに戻ってしまいました

(残念です~! 悔しいです~!)
(でも、スキルのレベルは下がっていないのですね?)
(というより、凄く上がってる?)
(これって、不幸中の幸いかも)

これでスキルまでレベルが下がっていたら目も当てられませんでしたが、

スキルはレベルが9から32にまで上昇していました

スキルはワタシの生命線だけに、少しほっとしたワタシです

(でも本来だったら、レベル32になれるほどの経験値をゲットできていたってこと?)


そんなことを思いつつ、ついでにチャージ魔力量も確認しておきます



【買い物履歴】画面のチャージ魔力量【59630930】


(わお! お金じゃないけど、メッチャお金持ち!)

【買い物履歴】の軍資金は、当分使いたい放題のようです


「大丈夫よ?」
「時間がたてばもとに戻るわ」

そう言いながら、ジェニー姐さんがワタシの頭を撫でてくれます

そして、ジェニー姐さんから、こんなご提案です

「近くの街で、あなたのレベルが戻るまで、しばらくのんびりしない?」
「レベルが戻るまで魔物の討伐はダメだけど、それ以外なら好きなことをするといいわ」
「とは言っても、体を動かすことは控えた方がいいかもしれないわね」

「いいんです?」

「もちろんよ」
「別に急ぐ旅ではないのだし」
「あなたの体が第一だわ」

「ありがとうです!」


ということで、ここから一番近くにある街を目指すことになったワタシたち

結局ワタシは、目覚めてからこの会話が終わるまで、

ずっと起き上がることができずに横になったままなのでした


体に力が入らず、横になったまま記憶を整理するワタシ

(ワタシ、急に倒れたんだ)
(ひとり旅だったら、大変だったよね)
(命にかかわる問題だったよね)
(ジェニー姐さんがいてくれて、本当によかった)

(それにしても、何か忘れているような・・・)
(目が回る前に大切なことがあったような・・・)
(やり残したことがあったような・・・)
(何だっけ?)


なお、ワタシが手にしていたおっぱい富士山は、

スタッフ(ジェニー姐さん)が美味しく頂きました

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...