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第一章 初戦
第一章 初戦 3
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「ああ、確かに世知辛い世の中だ」
守央と呼ばれた黒髪の男は、さんぴん茶を飲み干して茶碗を目の前に置く。
「さて、世璋。そろそろ行くか」
「おう」
世璋と呼ばれた暗褐色の髪の男は、守央と共に立ち上がった。
すると突然、外から陶器が割れるような音に続いて男の怒鳴り声が聞こえてくる。
「おい! 何しやがんだ、このガキ!」
それに気づいた守央と世璋は、他の客たちと共に茶屋の出入り口の方に目を向けた。
「なんだ?」
「揉め事みてぇだな。行ってみようぜ」
「ああ」
守央と世璋は土間で草鞋を履き、他の客たちと共に外へ出ると、茶屋の出入り口に面した通りで人だかりを目の当たりにする。
「随分と人が集まってるな」
「ここだとよく見えねぇし、もうちょっと前に行ってみねぇか?」
世璋が群衆の隙間から通りの様子を覗こうとしていると、そこへ2人の少年がやって来た。
少年の一人は少し体格が小さく、短い黒髪と大きな三白眼が快活さを感じさせ、赤い上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けている。
「父上、世璋さん!」
一方、もう一人の少年は少し背が高く、短い黒髪と大きく穏やかな目が印象的で、青い上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。
「どうされたんですか、こんな所で?」
2人の少年に話し掛けられると、世璋と守央はそちらを振り向く。
「おう、守優と守善じゃねぇか。奇遇だな」
「俺たちは仕事の合間に一息ついてたところだったんだが……2人こそ、東村まで来るなんて珍しいな」
守央がそう言うと、守優と呼ばれた少し小柄な少年は苦笑いを浮かべた。
「#今日__きょう__は兄上と一緒に闘鶏を見に行ってたんですけど、帰る途中ここを通ったら揉め事を見かけたんで、つい気になって……」
さらに、守善と呼ばれた少し背の高い少年も、守優に続いて口を開く。
「僕たちも今来たばかりなので詳しいことはわからないんですが、どうも割れた壺が原因でいざこざになってるみたいなんです」
守善の言葉を聞くと、守央と世璋は眉をひそめた。
「壺?」
「そいつは確かに気になるな。どれ、俺たちも見させてもらうとするか」
世璋たち4人は人混みの中へと分け入り、通りの様子に目を向ける。
通りでは、がっちりとした体格の髭面の男と幼い小柄な少年が、地面に置かれた深緑色の大きな風呂敷を挟んで対峙していた。
髭面の男は黒髪を頭頂部でカタカシラに結っており、萱草色の着物と同色の細帯を身に着けている。
守央と呼ばれた黒髪の男は、さんぴん茶を飲み干して茶碗を目の前に置く。
「さて、世璋。そろそろ行くか」
「おう」
世璋と呼ばれた暗褐色の髪の男は、守央と共に立ち上がった。
すると突然、外から陶器が割れるような音に続いて男の怒鳴り声が聞こえてくる。
「おい! 何しやがんだ、このガキ!」
それに気づいた守央と世璋は、他の客たちと共に茶屋の出入り口の方に目を向けた。
「なんだ?」
「揉め事みてぇだな。行ってみようぜ」
「ああ」
守央と世璋は土間で草鞋を履き、他の客たちと共に外へ出ると、茶屋の出入り口に面した通りで人だかりを目の当たりにする。
「随分と人が集まってるな」
「ここだとよく見えねぇし、もうちょっと前に行ってみねぇか?」
世璋が群衆の隙間から通りの様子を覗こうとしていると、そこへ2人の少年がやって来た。
少年の一人は少し体格が小さく、短い黒髪と大きな三白眼が快活さを感じさせ、赤い上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けている。
「父上、世璋さん!」
一方、もう一人の少年は少し背が高く、短い黒髪と大きく穏やかな目が印象的で、青い上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。
「どうされたんですか、こんな所で?」
2人の少年に話し掛けられると、世璋と守央はそちらを振り向く。
「おう、守優と守善じゃねぇか。奇遇だな」
「俺たちは仕事の合間に一息ついてたところだったんだが……2人こそ、東村まで来るなんて珍しいな」
守央がそう言うと、守優と呼ばれた少し小柄な少年は苦笑いを浮かべた。
「#今日__きょう__は兄上と一緒に闘鶏を見に行ってたんですけど、帰る途中ここを通ったら揉め事を見かけたんで、つい気になって……」
さらに、守善と呼ばれた少し背の高い少年も、守優に続いて口を開く。
「僕たちも今来たばかりなので詳しいことはわからないんですが、どうも割れた壺が原因でいざこざになってるみたいなんです」
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「壺?」
「そいつは確かに気になるな。どれ、俺たちも見させてもらうとするか」
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