KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

文字の大きさ
10 / 131
第一章 初戦

第一章 初戦 8

しおりを挟む
「守優と守善にとっても、英典がいい練習相手になるといいな。世璋、今度またみんなで集まって合同稽古でもしよう。俺たちのティーはどちらも那覇手の系統だが、技や形に相当な違いがある。技術交流を深めれば、お互いにるものも多いんじゃないか?」

「ああ。最後に俺たちで合同稽古したのは、随分前だしな。けどよ、せっかくなら俺たちだけじゃなくて、もっといろんな奴等とも技術交流したくねぇか? ティーの系統が違えば当然形も技も違うが、俺たちみてぇに同系統のティーを修業しててもこれだけ技が違うんだぜ? 気心が知れた身内同士で仲良く稽古するのもいいけどよ、ほかの連中とイリクミ(自由組手)でもやって戦術の研究するってのもいいと思わねぇか?」

「イリクミか。確かに、イリクミなら相手と自由に技を掛け合う中で、実戦に必要な駆け引きも学べるな」

「だろ? たまには、美嘉と英典にも普段と違う修業させてぇと思ってたしよ。なあ、守央。誰かお前の知り合いで、ほかにイリクミの相手してくれそうな奴は心当たりねぇか?」

「それなら、1ついい方法がある。カキダミシだ。いろんな相手とイリクミがしたいなら、これが一番手軽だぞ」

守央が口元に不敵な笑みを浮かべると、英典は突然顔を青ざめさせた。

(か、カキダミシ……!? それって確か、武術家同士が腕を試し合う実戦のことでは……? 美嘉殿相手でも力及ばない自分が、ほかの強い武術家とまともな勝負などできるわけが……)

英典の表情が固まる中、世璋も口元に不敵な笑みを浮かべる。

「なるほどな、カキダミシか。最近やってなかったせいで、その手があったのもすっかり忘れてたぜ。よし……じゃあ、早速今夜みんなで辻に出掛けるとするか。おい、英典。よかったら、お前も一緒に――」

世璋がそう言い欠けると、英典はすでに背中を向けてその場から走り出していた。

「世璋先生!! 自分、家の用事を思い出しましたゆえ、お先に失礼いたします!!」

「お、おう……」

世璋が呆気に取られている中、英典は後ろも振り返らずに猛然と走り去っていった。

守優と美嘉、守善の3人は英典を見送る。

「どうかしたのか、英典のあんちゃん?」

「さ、さあ……?」

「すごい勢いで走っていったね」

守善たちは再び守央と世璋の方を振り向いた。

「父上、世璋さん。カキダミシって、いったいどういうものなんですか? 噂で少し聞いたことはあるんですが、あまりよく知らなくて……」

「カキダミシはティーの組手試合だ。立会人の前で対戦者同士が自由に技を掛け合い、ある程度勝負が着いたところで試合が終わる……勝ち負けのあるイリクミだと思えばいい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

日露戦争の真実

蔵屋
歴史・時代
 私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。 日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。  日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。  帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。  日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。 ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。  ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。  深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。  この物語の始まりです。 『神知りて 人の幸せ 祈るのみ 神の伝えし 愛善の道』 この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。 作家 蔵屋日唱

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

処理中です...