KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

第四章 求道

第四章 求道 13

そんな守優を横目に、美嘉は辟易とした表情を浮かべた。

「あんた、この状況でまだそんなこと――」

美嘉はそう言い欠けると、用心棒たちに目を向けながらハッとした表情を浮かべる。

「守善様、守優、あれって……！」

美嘉が指差した先には、輸送隊の用心棒として参加している康正の姿があった。

守善と守優もそれに気づき、ハッと目を見開く。

「康正！？」

「襲われてるのは、あいつが護衛してる輸送隊だったのか！　兄上、俺たちも加勢しましょう！」

「いや、駄目だ！　下手へたに刺激すれば、あの盗賊たちも何するかわからない！　今僕たちが出るのは危険だ！」

守善が険しい表情を浮かべる中、康正は用心棒たちに混じって盗賊たちを睨み付けていた。

「おい、お前ら！　あれだけ俺たちがボコボコにしてやったのに、まだ懲りてねぇのか！？　何度やっても無駄だ！　この泡盛はぜってぇお前らに渡さねぇ！　怪我したくなけりゃ、さっさと失せろ！」

康正がそう言うと、盗賊の1人は右手に握った打刀を右肩に乗せ、不気味に笑った。

「ハッ！　威勢のいいガキだな！　てめぇらこそ、いつまでもいい気になってんじゃねぇぞ！　用心棒だがなんだか知らねぇが、丸腰のてめぇらにいつまでもやられっぱなしでいるほど、こっちも落ちぶれちゃいねぇんだよ！　今日こそ酒はいただいていくぜ！？　俺たちに歯向かったからには、あの世へ逝く覚悟はできてんだろうな！？　後悔すんなよ、くそったれどもがぁああああああっ！！」

盗賊たちが一斉に康正たちへ襲い掛かると、康正と用心棒たちは様々な軌道を描く突きや蹴り、あるいは多彩な投げ技や関節技を繰り出し、次々と盗賊たちを倒し始める。

やがて乱闘が激化すると、守善と美嘉は群衆と共に徐々に後退りし始めた。

「す、すごい乱闘だ！」

「ねぇ、康正たちは大丈夫なの！？　早く警察呼んできたほうがいいんじゃ……！？」

美嘉と守善が額に冷や汗を浮かべる中、守優は後退ることなく不敵に笑っていた。

「ヘヘッ、何言ってんだ！　あいつ助けるついでに、俺たちも一暴れできる絶好の機会だぜ！　待ってろ、康正！　俺も今行くぜぇええっ！！」

守優が盗賊たち目掛けて走り出すと、右手に鎌を握る盗賊の1人はそれに気づいた。

「ん？」

盗賊が振り向くと、守優は走る勢いを利用して地面を蹴り、右飛び横蹴りを盗賊の顔面に食らわせた。

盗賊が地面に倒れると、近くにいた他の盗賊たちはハッとした表情を浮かべ、着地した守優に目を向けた。

「な……なんだ、このガキ！？」