世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi

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聖女と暗殺者、邪魔者を消す

「ラナさん、ゲイランが初級ダンジョンで遊んでいる間に邪魔な人を消しに行きませんか?」
 聖女がそこら辺に散歩に行くようなテンションで誘ってくる。
「行くことはやぶさかではありませんが、何処に行くんですか?王城とかはやめてくださいね」
「それは大丈夫です。行き先は聖王国ですから」
「聖王国って貴女の出身地ですよね?」
「そうです。ただやはり聖女には敵が沢山いまして、このパーティーで勇者を殺す前に邪魔をされると困るんですよ」
「それは確かに。それで誰なんですか?ターゲットは」
「教皇猊下の息子ですね」
「....申し訳ない。もう一度聞いても大丈夫だろうか?」
「耳が急に遠くなっちゃったんですか?教皇猊下の息子ですよ。つまり次期教皇と噂されている人物です」
「そんな大物私達だけでどうにかなるのか?」
「それが実は意外に簡単に殺せちゃうんですよ。彼、悪魔崇拝者なんでその集会にサクッと潜入して悪魔への生贄を彼にしちゃえば万事解決です」
 ニコッと微笑む聖女が悪魔そのものに見える。


 なんとなく聖女が教皇の息子を殺したい理由は分かった気がした。聖王国のみならず、全ての国家において悪魔崇拝は禁忌だ。特に聖王国では神に背く行為として、最悪死刑にされる。教皇の息子として見逃されてきたのを聖女は我慢ならないのだろう。
「普通に問題が2つほどあるように思うのですが」
「なんでしょう?」
「1つ目は何処でその集会が開催されているか、2つ目はどうやって生贄に入れ替えるかです」
「1つ目は目処が立っていますが2つ目は言われてみると中々難しいですね....。いっそ集会に向かう最中にという方が現実的かもしれません」
「装備がわかりませんが、私は後者の方が確率は高いと思います。失敗してもいいのであれば前者を選びますが」
「顔を見られる可能性がある以上失敗は良しとしません。後者でいきましょう」
「護衛がいた場合は?」
「私が聖女という立場を利用して悪魔崇拝に興味があるふりをしますのでその間に片付けてください」
「はぁ....。わかりましたよ....」


「ちょうどいい時間に着けましたね」
 昼に王国を出発し、聖王国に日が傾く頃についた。悪魔崇拝の儀式はちょうど日の暮から日が落ち切るぐらいに始まるらしい。
「そろそろぼんくら....もとい教皇の息子を乗せた馬車が通るはずです。私は倒れたふりをしておくのであとは頼みました」
「わかりました」
 私はとりあえず近場の岩陰に隠れる。場所は砂漠に近いがまだ草原との境目に近いからか隠れる為の遮蔽物は豊富にある。


「おい!大丈夫か!?」
 私が倒れているのを見てすぐに馬車を止めて駆け寄ってくる。
「おい....ってティーナ様!?何やってるんですか?」
「すいません。少し仲間とはぐれてしまい、数日ご飯にもありつけず聖都を目指して歩いておりました....」
「そんなひどいことを。私の馬車へどうぞお乗りください!少し用事がありますのでそれを済ませる為、少し寝て待っていただければと」
「ありがとうございます......」
 私はそういいながら馬車の中に護衛がいるかを確認する。幸運にも護衛はいない。合流の合図の為に光属性魔法【フラッシュ】を発動する。
「聖女様何を!?」
【フラッシュ】に驚いたぼんくらが何か言っているが無視だ。こちらに驚くべきスピードでラナは迫ってくる。
 ザシュと後ろで音がする。恐らくすれ違うタイミングで走ってきた勢いをそのまま使い、首を落としたのだろう。


「流石暗殺者ですね。見事な腕前です」
「褒めてもらえるのは嬉しいですが、これは人に褒められる技術ではないので」
「そんなことはないですよ。多分世界には喜ぶ人が沢山いると思いますよ」
 私は死体を片付けながら本心を告げる。実際、私も助かっている。
「まあそういうことにしておきましょう。それはそうと、今回この人はどういうシナリオで死んだんですか?」
「サンドワームに食べられということにしておきましょうか。そういえば御者は?」
「それならそこに」
 ラナが指差す先に首と胴体が離れ、絶命しているおじさんがいた。
「いつの間に....」
「私と貴女が会話を始める前にはもう死んでましたよ。罪のない人なので少し心が痛みますが」
「前にも思いましたが貴女は暗殺者向いてませんね」
「それは自分でも分かってますよ。ただこれしか生きる道を知らないので」
「私と同じですね。まあ何はともあれ邪魔者を1人消せたのは助かりました」
「全ては勇者を殺す為です。仕方ありません」
「あと数人消えてもらわねばならない人がいるので是非付き合ってくださいね?」
「面倒ですがまあいいでしょう」
 こうしてまた1人邪魔者が消えたのだった。いったい誰にとっての邪魔者かは定かではないが。
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