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エピソード1 タイムリミットは44週
8、死神カテジナちゃんの登場とリムルの運命
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桔平は一心不乱に走った。
「何だよあいつ! いきなりあんなこと言い出すなんてどーかしてる! 冗談にしたって程があるぞ!」
心臓がドキドキと鼓動している。走っているだけの理由ではない。リムルの言葉が原因だ。
そして、決して悪い気分じゃないことも確かだった。
「オ、オレは別にあいつの言葉に嬉しくなったわけじゃない!」
自分自信に言い聞かせるように強く叫ぶ。
「オレはただ、オレはただ驚いただけなんだ。だって、女子にあんなこと言われたことがこれまでなかったから」
リムルを女子と認めている思考に腹が立つ。
「違う、あいつは女子じゃない。死神だ。オレは何を考えてるんだよ!」
やがて走り続けるのにも体力の厳戒が訪れた。人気のない裏路地の電柱に、桔平は寄りかかりぜーはーと呼吸する。
苦しいのに、胸が温かかった。
混乱しているのにも関わらず、妙に心は高揚していた。
誰よりも桔平のことを知ってくれていること。その上で素敵だと言ってくれたこと。
それを嬉しく思う気持ちは止められなかった。
「騙されるな! あれは策略なんだ! オレを惑わすのが目的なんだ!」
叫んでみるも、的外れな意見だってことは自分でも分かっていた。
リムルの、良くも悪くも真っ直ぐな性格は理解している。彼女が口にしたのはすべて本心からの言葉なのだろう。
桔平に恋をしてしまうというあの言葉さえもだ。
(オレ、このままあいつと関わっていたら本当に好きになったりして? でもって、あいつの言う怒涛の愛なんてものにまでエスカレートしたら…)
強烈な危機感を桔平は覚える。
「いや、そんなはずない! いくら何でもオレはそこまで馬鹿じゃない! 馬鹿じゃないぞ!」
不安な気持ちを払拭しようと幾度となく言葉を繰り返している時だった。桔平の背後からその声はかけられる。
「今市桔平クンね」
振り向くと、一人の少女が立っていた。背は桔平の半分ぐらいしかない。パッと見、小学四、五年生ぐらいだろう。
ヒラヒラとしたフリルのついた真っ黒なドレスを着ている。縦巻きロールの豪華な銀髪で、帽子の形をしたアクセサリーを頭につけていた。
まるで西洋人形が動き出したかのようなその少女は、緑色の瞳で桔平のことを見つめている。
「…君は?」
「ワタシの名前はカテジナ。リムルちゃんと同じ死神よ。親しみを込めてカテジナちゃんって呼んでくれると嬉しいわ。ウ・ヒ・ヒ」
死神カテジナは、気味の悪い笑いを響かせる。
「オ、オレの魂を奪いに来たのか?」
かすれた声を出す桔平に、カテジナは首を横に振る。
「そんなことはしないわ。ワタシ、刈り取り課じゃないもの。それにそもそも不可能なの」
知っているでしょと、カテジナは続けた。
「《末期の願い》を叶えない限り、特待死者である桔平クンの魂を刈り取ることなんてできないわ。鎌を振るったところで弾かれてしまうの。だって、プロテクトがあるもの」
「プロテクト?」
「ええ、死神界に属する者の攻撃すべてに対して機能する強固で絶対のプロテクトよ」
刈り取れない決まりとは聞いていたが、そんなプロテクトがかかっていたことまでは知らなかった。そういうしくみなのかと桔平は納得する。
(となると、この死神は何をしに来たんだ?)
まだ警戒を続ける桔平に、カテジナは説明する
「ワタシは終わらせに来たの。死神NО7983764、死神リムルの任務をよ」
終わらせるというカテジナの言葉を受け、桔平が怪訝そうな顔をした。
「確か執行期限は44週って聞いてたけど…」
「そのとおりよ。でも、真相を知ってしまっている桔平クンは執行期限までに彼女を作るなんて馬鹿なことはしないでしょ? もはやこの任務はもはや達成の見込みのないものなの。だから終了よ」
カテジナは軽い口調で続ける。
「死神界の内情を知ってる人間がいるのは大問題だから、あなたの記憶は封じさせてもらうわ」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
危機感も露わに桔平は叫ぶ。
「彼女ができたら魂を刈り取られるってことを忘れさせた後で、改めて彼女を作らせようとするつもりじゃ!」
「そこのところは心配しなくてもいいわ」
カテジナがフフンと鼻を鳴らす。
「記憶を封じるための死神魔術をかけたら最後、アナタの魂は特別なものではなくなってしまう。つまり、あなたは無価値な存在になるってわけ。死神に狙われることもなくなるわ」
カテジナの言っていることが確かならば、記憶を封じられた後は特待死者ではなくなるらしい。
命を狙われることもなくなるのだ。
まだ半信半疑の部分もあったが、カテジナの話を桔平は信じることにした。つい先程、リムルと共に過ごしたら本気になってしまうかもという危機感を覚えたばかりだから猶更何かに縋りたい気持ちだったのだ。
「分かった、信じるよ。記憶を封じられればオレはもう死神から解放されるんだよな?
早くやってくれ。頼む」
「任せて。ワタシ、いい仕事をするって評判だから」
カテジナが右手を持ち上げた。指を桔平の額へと当てる。
「桔平クン、目を閉じてちょーだい」
言われるがままに桔平は瞳を閉じる。
カテジナが静かに呪文を唱え始める。鉄筋がきしむような不快な声だった。
(これで、オレはもう死神にわずらわされることはないんだ。44週を待たなくたって彼女を作ってOKなんだ)
だからって彼女ができるかどうか分からないけどと、桔平は自分で突っ込みを入れる。
(そうだよな、オレのことをよく知ってくれていて、オレのことをステキだと思ってくれる女の子なんて、あいつ以外に現れるはずがないか)
頭に浮かぶのはリムルの顔だった。
『わたし、一緒にいたら桔平さんに本気の本気で恋しちゃいますよ』
その言葉がどうしても思い出されてしまう。
「な、なあ」
桔平は口を開いた。
「後でリムルに伝えておいてくれないか? その、学校では悪かったって。それと…公園ではありがとよって。ちょっとばかし、嬉しかったって」
「リムルちゃんに?」
カテジナが呪文を止めた。
「残念だけど、その希望には応えられないわ。だってリムルちゃん、これから消滅刑が執行されるから」
「消滅…刑?」
「ターゲットである桔平クンに自分の正体を告げただけでなく、絶対のタブーである刈り取り条件まで教えてしまったの。死神界は貴重な特待死者の魂を1つ取り損ねてしまったってことになるわ。上層部は相当怒ってるようね。消滅刑の中でも死神がもっとも苦痛を味わう特A級が選ばれたらしいから。今頃、死神喰いの猟犬《ヘルハウンド》が彼女の元に放たれているはずよ。彼女を食べちゃうために」
桔平は全身が凍りつくような感触を覚えた。
「あいつが…食われる…のか?」
かすれた声を口にする。
「そういうことになるわ」
残念そうに肩を竦めてから、カテジナは桔平に言った。
「でも、桔平クンが気にする必要はないわ。だって、あなたは彼女のことも全部忘れて平穏な元の日常を取り戻すのだから」
「何だよあいつ! いきなりあんなこと言い出すなんてどーかしてる! 冗談にしたって程があるぞ!」
心臓がドキドキと鼓動している。走っているだけの理由ではない。リムルの言葉が原因だ。
そして、決して悪い気分じゃないことも確かだった。
「オ、オレは別にあいつの言葉に嬉しくなったわけじゃない!」
自分自信に言い聞かせるように強く叫ぶ。
「オレはただ、オレはただ驚いただけなんだ。だって、女子にあんなこと言われたことがこれまでなかったから」
リムルを女子と認めている思考に腹が立つ。
「違う、あいつは女子じゃない。死神だ。オレは何を考えてるんだよ!」
やがて走り続けるのにも体力の厳戒が訪れた。人気のない裏路地の電柱に、桔平は寄りかかりぜーはーと呼吸する。
苦しいのに、胸が温かかった。
混乱しているのにも関わらず、妙に心は高揚していた。
誰よりも桔平のことを知ってくれていること。その上で素敵だと言ってくれたこと。
それを嬉しく思う気持ちは止められなかった。
「騙されるな! あれは策略なんだ! オレを惑わすのが目的なんだ!」
叫んでみるも、的外れな意見だってことは自分でも分かっていた。
リムルの、良くも悪くも真っ直ぐな性格は理解している。彼女が口にしたのはすべて本心からの言葉なのだろう。
桔平に恋をしてしまうというあの言葉さえもだ。
(オレ、このままあいつと関わっていたら本当に好きになったりして? でもって、あいつの言う怒涛の愛なんてものにまでエスカレートしたら…)
強烈な危機感を桔平は覚える。
「いや、そんなはずない! いくら何でもオレはそこまで馬鹿じゃない! 馬鹿じゃないぞ!」
不安な気持ちを払拭しようと幾度となく言葉を繰り返している時だった。桔平の背後からその声はかけられる。
「今市桔平クンね」
振り向くと、一人の少女が立っていた。背は桔平の半分ぐらいしかない。パッと見、小学四、五年生ぐらいだろう。
ヒラヒラとしたフリルのついた真っ黒なドレスを着ている。縦巻きロールの豪華な銀髪で、帽子の形をしたアクセサリーを頭につけていた。
まるで西洋人形が動き出したかのようなその少女は、緑色の瞳で桔平のことを見つめている。
「…君は?」
「ワタシの名前はカテジナ。リムルちゃんと同じ死神よ。親しみを込めてカテジナちゃんって呼んでくれると嬉しいわ。ウ・ヒ・ヒ」
死神カテジナは、気味の悪い笑いを響かせる。
「オ、オレの魂を奪いに来たのか?」
かすれた声を出す桔平に、カテジナは首を横に振る。
「そんなことはしないわ。ワタシ、刈り取り課じゃないもの。それにそもそも不可能なの」
知っているでしょと、カテジナは続けた。
「《末期の願い》を叶えない限り、特待死者である桔平クンの魂を刈り取ることなんてできないわ。鎌を振るったところで弾かれてしまうの。だって、プロテクトがあるもの」
「プロテクト?」
「ええ、死神界に属する者の攻撃すべてに対して機能する強固で絶対のプロテクトよ」
刈り取れない決まりとは聞いていたが、そんなプロテクトがかかっていたことまでは知らなかった。そういうしくみなのかと桔平は納得する。
(となると、この死神は何をしに来たんだ?)
まだ警戒を続ける桔平に、カテジナは説明する
「ワタシは終わらせに来たの。死神NО7983764、死神リムルの任務をよ」
終わらせるというカテジナの言葉を受け、桔平が怪訝そうな顔をした。
「確か執行期限は44週って聞いてたけど…」
「そのとおりよ。でも、真相を知ってしまっている桔平クンは執行期限までに彼女を作るなんて馬鹿なことはしないでしょ? もはやこの任務はもはや達成の見込みのないものなの。だから終了よ」
カテジナは軽い口調で続ける。
「死神界の内情を知ってる人間がいるのは大問題だから、あなたの記憶は封じさせてもらうわ」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
危機感も露わに桔平は叫ぶ。
「彼女ができたら魂を刈り取られるってことを忘れさせた後で、改めて彼女を作らせようとするつもりじゃ!」
「そこのところは心配しなくてもいいわ」
カテジナがフフンと鼻を鳴らす。
「記憶を封じるための死神魔術をかけたら最後、アナタの魂は特別なものではなくなってしまう。つまり、あなたは無価値な存在になるってわけ。死神に狙われることもなくなるわ」
カテジナの言っていることが確かならば、記憶を封じられた後は特待死者ではなくなるらしい。
命を狙われることもなくなるのだ。
まだ半信半疑の部分もあったが、カテジナの話を桔平は信じることにした。つい先程、リムルと共に過ごしたら本気になってしまうかもという危機感を覚えたばかりだから猶更何かに縋りたい気持ちだったのだ。
「分かった、信じるよ。記憶を封じられればオレはもう死神から解放されるんだよな?
早くやってくれ。頼む」
「任せて。ワタシ、いい仕事をするって評判だから」
カテジナが右手を持ち上げた。指を桔平の額へと当てる。
「桔平クン、目を閉じてちょーだい」
言われるがままに桔平は瞳を閉じる。
カテジナが静かに呪文を唱え始める。鉄筋がきしむような不快な声だった。
(これで、オレはもう死神にわずらわされることはないんだ。44週を待たなくたって彼女を作ってOKなんだ)
だからって彼女ができるかどうか分からないけどと、桔平は自分で突っ込みを入れる。
(そうだよな、オレのことをよく知ってくれていて、オレのことをステキだと思ってくれる女の子なんて、あいつ以外に現れるはずがないか)
頭に浮かぶのはリムルの顔だった。
『わたし、一緒にいたら桔平さんに本気の本気で恋しちゃいますよ』
その言葉がどうしても思い出されてしまう。
「な、なあ」
桔平は口を開いた。
「後でリムルに伝えておいてくれないか? その、学校では悪かったって。それと…公園ではありがとよって。ちょっとばかし、嬉しかったって」
「リムルちゃんに?」
カテジナが呪文を止めた。
「残念だけど、その希望には応えられないわ。だってリムルちゃん、これから消滅刑が執行されるから」
「消滅…刑?」
「ターゲットである桔平クンに自分の正体を告げただけでなく、絶対のタブーである刈り取り条件まで教えてしまったの。死神界は貴重な特待死者の魂を1つ取り損ねてしまったってことになるわ。上層部は相当怒ってるようね。消滅刑の中でも死神がもっとも苦痛を味わう特A級が選ばれたらしいから。今頃、死神喰いの猟犬《ヘルハウンド》が彼女の元に放たれているはずよ。彼女を食べちゃうために」
桔平は全身が凍りつくような感触を覚えた。
「あいつが…食われる…のか?」
かすれた声を口にする。
「そういうことになるわ」
残念そうに肩を竦めてから、カテジナは桔平に言った。
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