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4章 人生おしまい……回避?
74話 逃げ回る限界――なら
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女の子は女の子ってだけで、生まれてからずっとちやほやされてかわいがられてわがままも許される、素晴らしい存在だ。
けどもそれは「被保護対象」だからこそ。
「保護する側」から狙われやすい、か弱い生物だからだ。
それを思うと、目につかないしょぼくれた男の方がずっと安全で静かで幸せかもしれないね。
そんなことを――ふと浮かんだ、前世の僕からの感想で知った。
「こ、これからどうするにょっ!?」
「うんうん黒木さんはお口閉じてね、痛いでしょ」
「ひゃい……」
黒木さんのジャンガリアンハムスターっぷりでちょっとだけ気が晴れた。
ありがとう黒木さん、やっぱり君は小動物だよ。
君は黒くならないでそのままで居てね。
「あいつらは、僕を待ってくれてた君たち3人、それぞれの周りを数人で見張ってた。 ……僕を恨むついでに、僕と仲が良かった君たちもって魂胆なんだろう」
「そんなの……っ!」
「け、警察は!?」
「こっちの方面には、交番がないんだ。 ……それに、恨まれている以上――今日ここで逃げても、いずれ1人ずつ捕まる。 恨みってのは、そういうものだ」
恨みからの執念を、甘く見ちゃいけない。
だから、
「けど、走って逃げている僕たちと、それを追いかける――きっと刑務所入りも慣れてるだろう男たちの姿は、通報されてるはず。 ……助けが来るまで、逃げ回るよ。 まずは目の前の脅威。 恨みについては、それからだ」
「……それしかない、っか」
「うん。 なるべく人の多い場所を選べば、少しは時間が稼げるはず。 僕もするけども、君たちも通りがかった人たちに通報お願いして回ってね」
「ひゃみっ!?」
「黒木さんはお口チャックでね」
しゃべろうとしてまた舌噛んで悶えている小動物。
そんな彼女を見ながらちょっとだけ癒やされた。
◇
「ぜーっ、ぜーっ……あ、アキノちゃん、待ってぇ……」
「どうしてそんなに走って平気なの、お姉さん……」
「? あれ?」
大騒ぎしながら走り回って数分、それとも10分。
悪い人たちもさすがに人目が多い場所で堂々と連れてくことはできないらしく、巻き舌で威嚇しながらもJKのジョギング程度の速度で着いてくるだけになってしばし。
「ぎ、お姉さん……わ、わたしを抱っこしながら、息、1つ……」
「……あれ、本当だ」
途中でダウンしかけた白鳥さんからジャンガリアンハムスターを預かり、2人を最後にしないように気をつけながら走り続けてたのに……あれぇ?
「……毎朝のジョギングでウォームが終わったくらいしか疲れてない……?」
「うぇ゛!? ア、アキノちゃん、それマジぃ……?」
「……今からでも陸上やれば、全国大会行けるんじゃ……?」
そこんとこどうなのさ、ふとももサポーターさん?
おじさんと店長さんのどっちかの伝手で用意してくれたらしい、たぶん防刃耐性ある下半身装備さん?
『下半身のリミッターを外してるッス』
うぉ、すごいじゃん!
『まぁリミッター外すと関節も筋肉も血管もボロボロになるッスから緊急時以外はおすすめしないッス』
えっ?
『ちなみに今も、本来ならすっごく痛くなるのを痛覚無効にしてるッスから、外したら当分は激痛に悩まされるッスね、確実に。 だって小柄とはいえ女の子1人抱えて走り続けてるんスから』
えぇ……?
なんなのさそれぇ……早く言ってよぉ……。
どおりで白鳥さんも紅林さんもへばってるわけだよ……そりゃそうだ、中学まで鍛えてた脚がそんなことになってたらさぁ……。
『つまりは膂力か』
『膂力と言うからには背も腕もか』
なーる……通りでハムスターが軽すぎるって思ってたよ。
「お、やっと観念したかぁー?」
「ケヒヒッ、おとなしくすれば痛くしねぇからよぉ」
「まぁボスはどうするか分かんねぇけどな!」
ずらずらずら。
止まった僕たちへ、追いついてきたチンピラさんたちが近寄ってくる。
「……あ、アイツら、あのときの……!」
「あー、やっぱあれでも恨み買ってたかぁ……」
紅林さんが顔を青くした先には――ちょっと首が変な方向曲がったり、前歯がなかったりしてるけども、かつて彼女を連れて行こうとしていた悪いチンピラさんたち。
「それって ……つまり、お姉さんが私たちを助けたときの、相手が……!」
「結託した……ってことかな。 うん、悪い人たちのしそうなことだね」
疑問だったんだ。
どうして――悪人ではあっても痴漢とか中心で、たぶんまだリーマンやってただろうおじさんが、いかにもなチンピラさんたちを十人単位で雇ってるのかって。
「もしかしたら女の子を攫って悪いことするグループで最初から知り合いだったのかもしれないけども……さてさて」
黒木さんをそっと下ろし、3人を背に――僕は、対峙する。
「……通報は?」
「してる。 さっきもらったスマホ、警察に繋ぎっぱなし」
「ありがと」
紅林さんは、僕の想像以上に頭が切れるらしい。
逃げてる途中にも何回か電話で話してたし、今も電話を繋いだままにしている。
――つまり、少なくとも現在地までは警察は把握済み。
時間さえあれば、正義の味方がやってきてくれる。
「私も、あのお兄さんに連絡しているの! その……今日のために相談に乗ってくれた彼に」
「あー、裏切り者のお兄さんね」
「そ、それはお姉さんが悪いと……」
「それについては全面的にごめんなさい」
さらっとちくっとやってくる黒木さんから目を逸らし。
さて。
さてさて。
「じゃ、君たちは休憩して体力回復させててね。 ……僕は、この数人の悪い人たちを――なんとか足止めしてるからさ」
けどもそれは「被保護対象」だからこそ。
「保護する側」から狙われやすい、か弱い生物だからだ。
それを思うと、目につかないしょぼくれた男の方がずっと安全で静かで幸せかもしれないね。
そんなことを――ふと浮かんだ、前世の僕からの感想で知った。
「こ、これからどうするにょっ!?」
「うんうん黒木さんはお口閉じてね、痛いでしょ」
「ひゃい……」
黒木さんのジャンガリアンハムスターっぷりでちょっとだけ気が晴れた。
ありがとう黒木さん、やっぱり君は小動物だよ。
君は黒くならないでそのままで居てね。
「あいつらは、僕を待ってくれてた君たち3人、それぞれの周りを数人で見張ってた。 ……僕を恨むついでに、僕と仲が良かった君たちもって魂胆なんだろう」
「そんなの……っ!」
「け、警察は!?」
「こっちの方面には、交番がないんだ。 ……それに、恨まれている以上――今日ここで逃げても、いずれ1人ずつ捕まる。 恨みってのは、そういうものだ」
恨みからの執念を、甘く見ちゃいけない。
だから、
「けど、走って逃げている僕たちと、それを追いかける――きっと刑務所入りも慣れてるだろう男たちの姿は、通報されてるはず。 ……助けが来るまで、逃げ回るよ。 まずは目の前の脅威。 恨みについては、それからだ」
「……それしかない、っか」
「うん。 なるべく人の多い場所を選べば、少しは時間が稼げるはず。 僕もするけども、君たちも通りがかった人たちに通報お願いして回ってね」
「ひゃみっ!?」
「黒木さんはお口チャックでね」
しゃべろうとしてまた舌噛んで悶えている小動物。
そんな彼女を見ながらちょっとだけ癒やされた。
◇
「ぜーっ、ぜーっ……あ、アキノちゃん、待ってぇ……」
「どうしてそんなに走って平気なの、お姉さん……」
「? あれ?」
大騒ぎしながら走り回って数分、それとも10分。
悪い人たちもさすがに人目が多い場所で堂々と連れてくことはできないらしく、巻き舌で威嚇しながらもJKのジョギング程度の速度で着いてくるだけになってしばし。
「ぎ、お姉さん……わ、わたしを抱っこしながら、息、1つ……」
「……あれ、本当だ」
途中でダウンしかけた白鳥さんからジャンガリアンハムスターを預かり、2人を最後にしないように気をつけながら走り続けてたのに……あれぇ?
「……毎朝のジョギングでウォームが終わったくらいしか疲れてない……?」
「うぇ゛!? ア、アキノちゃん、それマジぃ……?」
「……今からでも陸上やれば、全国大会行けるんじゃ……?」
そこんとこどうなのさ、ふとももサポーターさん?
おじさんと店長さんのどっちかの伝手で用意してくれたらしい、たぶん防刃耐性ある下半身装備さん?
『下半身のリミッターを外してるッス』
うぉ、すごいじゃん!
『まぁリミッター外すと関節も筋肉も血管もボロボロになるッスから緊急時以外はおすすめしないッス』
えっ?
『ちなみに今も、本来ならすっごく痛くなるのを痛覚無効にしてるッスから、外したら当分は激痛に悩まされるッスね、確実に。 だって小柄とはいえ女の子1人抱えて走り続けてるんスから』
えぇ……?
なんなのさそれぇ……早く言ってよぉ……。
どおりで白鳥さんも紅林さんもへばってるわけだよ……そりゃそうだ、中学まで鍛えてた脚がそんなことになってたらさぁ……。
『つまりは膂力か』
『膂力と言うからには背も腕もか』
なーる……通りでハムスターが軽すぎるって思ってたよ。
「お、やっと観念したかぁー?」
「ケヒヒッ、おとなしくすれば痛くしねぇからよぉ」
「まぁボスはどうするか分かんねぇけどな!」
ずらずらずら。
止まった僕たちへ、追いついてきたチンピラさんたちが近寄ってくる。
「……あ、アイツら、あのときの……!」
「あー、やっぱあれでも恨み買ってたかぁ……」
紅林さんが顔を青くした先には――ちょっと首が変な方向曲がったり、前歯がなかったりしてるけども、かつて彼女を連れて行こうとしていた悪いチンピラさんたち。
「それって ……つまり、お姉さんが私たちを助けたときの、相手が……!」
「結託した……ってことかな。 うん、悪い人たちのしそうなことだね」
疑問だったんだ。
どうして――悪人ではあっても痴漢とか中心で、たぶんまだリーマンやってただろうおじさんが、いかにもなチンピラさんたちを十人単位で雇ってるのかって。
「もしかしたら女の子を攫って悪いことするグループで最初から知り合いだったのかもしれないけども……さてさて」
黒木さんをそっと下ろし、3人を背に――僕は、対峙する。
「……通報は?」
「してる。 さっきもらったスマホ、警察に繋ぎっぱなし」
「ありがと」
紅林さんは、僕の想像以上に頭が切れるらしい。
逃げてる途中にも何回か電話で話してたし、今も電話を繋いだままにしている。
――つまり、少なくとも現在地までは警察は把握済み。
時間さえあれば、正義の味方がやってきてくれる。
「私も、あのお兄さんに連絡しているの! その……今日のために相談に乗ってくれた彼に」
「あー、裏切り者のお兄さんね」
「そ、それはお姉さんが悪いと……」
「それについては全面的にごめんなさい」
さらっとちくっとやってくる黒木さんから目を逸らし。
さて。
さてさて。
「じゃ、君たちは休憩して体力回復させててね。 ……僕は、この数人の悪い人たちを――なんとか足止めしてるからさ」
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