TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~

あずももも

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3章 全世界にバレた僕の声

34話 女の子の体とメス堕ちと

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「………………………………」

「………………………………………………………………」

――ぽた、ぽた。

すっごく脚を踏ん張って耐えた結果、最後の1滴が止まるも、足元はもう手遅れ。

振り返ると、かろうじて――この体は幼、もとい若いから反射神経も良いんだろうな――イスは無事だ。

それだけが幸運だ。
うん、物的被害が少ないのは幸運だ。

だんだんとほかほかしてた下半身がすーっと冷えてきてるけども。

……えぇ……?

調子に乗ったからっていって、気がついたらもう1時間くらいトイレも行ってなかったとはいえ……こんなので漏れる……?

トイレのことを忘れてただけで?
なんだかぞくぞくしてただけで?

女の子ってここまで漏れやすいの……?

あ、そういやくしゃみでも漏れるし、イスに座っててもうっかり漏れるんだって、漏れ対策のところにあった事例で書いてあったっけ。

くしゃみはともかく、座ってたんならあるはずがないでしょって思ってたっけ。

そんなことあったのにね。

………………………………。

……あぁ、女の子って漏らしやすいって、ここまで……じゃない!

僕は脚を絶妙に動かしながらマイクの元へそろそろと動き、

「……ごめん、パソコンにも掛かってる――みたい。飲みものを落としちゃったので……すぐ電源落として拭いたり乾燥させたりしなきゃだから、ぶつ切りだけど終わります」

【りょ】
【OK】
【大丈夫だと良いな】

【壊れたらSNSで報告して? 部品だけとか、ちょっとならカンパできるかも】
【パーツで済むんならいいけど……】
【さすがにパソコン本体が壊れたらひとりじゃ再起不能よね】

【ニートだからな、家族にせびるのにも限界があるだろう】
【ああ……それは、とても苦労しそうだな……】
【普通に働くより大変そう】
【草】

【それか部分的な収益化できたらの投げ銭な】
【投げ銭は振り込まれるまで月単位で掛かるから、カンパかなぁ……】
【すぐに電源落として乾燥させてみ  デスクトップだったはずだから、まずはそれで】

【視聴者が優しい】
【こはねちゃんの配信だからな……】
【草】
【ぶわっ】
【や、優しいこと自体はいいことだし……?】

――ぷつっ。

配信画面をひとつずつ落とし、さらに指さし確認。

「……ふー……危なかったぁ……いや、もう手遅れではあるんだけども……」

――幸いなことに、僕はパソコンを足元には置いていない。

そしてさっきのは机の上の飲みものではなく、僕の股のあいだから下にしか被害をもたらさない。

だから、セーフだけどアウト。

……主に床に敷いてるオフィスチェア用の絨毯と、買ったばかりのぱんつと、

「うげぇ……スカートにも……」

ほかほかとあったかい湯気が感じられる、まだ新鮮な繊維の匂いがついたままの服。

「……使って数時間でこれとか……はぁ、やっぱ大変だなぁ、女の子って……こんなに簡単に漏れるのか……優花も苦労したんだなぁ……」

2度目ともなると慣れたものだし、諦めもつく。

これは、女の子の体のせい。
そう、思い込めるから。

「……とりあえず、トイレは頻繁に行かないと……あと、さっきみたいなぞくぞくするのも禁止かなぁ……」

お酒もたいして入ってなかったのに、あの緩さだ。
お酒が入ってたら、もっと酷いことになってたかもしれないし。

なんでぞくぞくしたら漏れるのかは分からないけども、たぶんくすぐったさとかかゆさとかに似てる感覚だったから変な悶え方でもしちゃったんだろう。

僕はのそのそのたのたと服を脱ぎ――大丈夫、ズボンじゃないからスカートとぱんつを下ろすだけだ――もしやと思って用意して積んでおいたタオルを、ドアの前へと取りに歩く。

おもらしとかさぁ……覚えてもいない20年前に卒業したはずなのにね。

今の僕は、何歳児並みになっているんだろうね。
園児並みかな。

………………………………。

……せめて、この体の身長と体重通りの年齢では居てほしいところだけど……中学生とか、女子が学校で漏らすことなんて聞いたこともないしなぁ……。





「………………………………」

ふきふき。

――やらかした服をべちゃっと脱ぎ、もはや慣れてきた――部屋の隅にいくつか常備するようになったタオルで排泄した液体を拭っていく。

「ぐす……」

僕はみじめだ。

あまりにもみじめ。

こんなのはひどい。

僕が何をしたって言うんだ。

何もかなかったからか、そうか。

それにしても悲しすぎる。

あんまりだ。

何が空しくて、25歳にもなって漏らした後始末をしなきゃならないんだ。

社会に出た人とかは飲み会とかいう地獄があまりにも厳しすぎて、たらふくお酒を飲まされたせいでやらかすとかいう話くらいは聞いたことあるけどさぁ……それは抗えない地獄で肉体が傷ついたからだって知ってるからしょうがないんだけど、さっきの僕はそういうわけでもなくシラフに近かったわけだしさぁ……。

「……すん……匂いがきつくないのだけが救いかな……いや、むしろなんだか良い匂――――」

……ごつんっ。

僕は本棚に頭をぶつける。

「ぐす……いたい……」

この体は、どう見ても僕の恋愛対象とかそういう対象にしては行けない年齢のもので、言うなれば幼女だ。

「うぇ……」

そんな子の排泄物に欲情とかしてみろ、僕は本気で、人として終わるんだ。

「ぶしっ、ぶしっ……泣いちゃダメだ」

……けど。

「……ぐす……」

なにもない、すべすべでつるつるの下半身。

細いふともも、小さな膝小僧。

股の先には何もなく、下っ腹はぽっこりと――太ってるわけでもないけど出ていて、小さなおへそがあって。

その手前には――今は上の服を着ているから直接は見えないけども、服の下から少しだけ突き出している、ふたつの物体。

女の子。

男とは決定的に違う肉体。

――その膨らみがあるということは、発育が早かったとしても、少なくとも10歳前後ではあるということで。

「………………………………」

じっとその構造を見つめていると、なぜか妙にお腹があったかくなってきて、その先にないはずのすっきりした場所からじんじんとした――――

「じゃない、だめだめっ。また漏れちゃう」

またさっきみたいな、僕の知らない感覚に襲われそうになったからぷるぷると頭を振ってどっかへやる。

長い髪の毛がぶんぶんと振られてシャンプーの良い匂い。
ついでで前に垂れている三つ編みがぺちぺちぶつかる。

「……男のときにそういうのを見ても、興奮とかなんてほとんどしなかったのになぁ」

僕は無理やりに考えを逸らし、男として情けなかった僕の体のことを思う。

「配信での明らかに若い人のとかそうだけど、やっぱ男はある程度性欲とかがないと活力的なのがな……ほら、モテない男用の本とか読んでも、紳士的でありながらも『君は魅力的な女性だから恋愛対象ですよ』ってアピールしないと女の子からは意識すらされなくなるって言うし」

男ってのは悲しいよね。

「でもさ、そもそもそういう欲求が無いとか少ない男ってさ、その原動力自体がないからモテようとか思わないんだよなぁ……魅力的な人が居ても、せいぜいが綺麗だなってぼんやり思う程度でそれ以上は……あれ? 僕、もしかして生物として最初から終わって――ぐす、ぶぇぇ……」

僕はまた悲しくなった。

なにしろ恋愛と結婚においては、もう虫けらからして男は選ばれるために一生を捧げなきゃいけない宿命。

「ひん……ぶしっ……ちーんっ」

僕は、夏にみんみん鳴いている彼らにすら届かない存在だったんだって。

「……でも、今の僕は」

――――女の子。

つまり、選ぶし求愛される対象。
しかも、とびきりの美少女で。

みんみん鳴かれる方で。
求愛――される方で。

「……胸とかあるし、生理は……分かんないけど。嫌だし今から吐きそうだけど、それが来るんなら……その、子供とか……」

適齢期の女性は、とにかくモテるもの。

つまり僕が、男たちに?

鏡の向こうで、下半身をすっぽんぽんにしておっぴろげにしてタオルで大切なところを拭っているままの僕を見る。

「………………………………」

――下半身を脱いで、つい数分前までびしょびしょにしていた女の子が、こっちを見ている。

「……はぁっ、はぁっ……」

その女の子は、だんだんと頬を赤くしていって、目もとろんと――――――

「………………………………………………………………はっ!?」

気がつくと、僕の顔は上気していて――なぜか息が荒くなっていて。

……つい今まで泣きそうになってたっていうか涙と鼻水が出てたっていうのに、一瞬で感情が変な感じになってる。

「……いやいや、僕は男、僕は男……こんなので興奮したらもはやメス堕ち……いや、でも肉体的には正常なのか……? いやいやでも、男にモテる妄想でときめいたりしたら、それこそ……」

――そんなことを考えながら、数十分。

下半身が冷え切るまで僕は、もし見られたら絶対に誤解しかされない格好と耐性と顔で、もんもんとしていた。

……メス堕ちは嫌だ。

何があろうと、嫌だ。

ニートを止めるのと比べられても嫌だ。

優花に土下座してむせび泣くくらいに嫌だ。

兄としての尊厳を手放そうとも、男を手放したくはない。

ないんだけども。

「……うぇぇ……」

でも、僕の体は勝手に泣き出す。

「ふぇぇぇぇー……」

だって、僕はもう「お兄ちゃん」なんかじゃなくって――ただの、女の子だから。

……それでも、心までは女の子にならない。

泣きながら、僕はそう決意した。
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