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9章 「綾咲こはね」
117話 貢がれた ひより先生に
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【ひより「ふんす」】
「先生……」
【ひより「ふんす!」】
【草】
【かわいい】
【これはかわいい】
【母娘関係が逆転して久しい】
【よわよわな立場になったこはねちゃんぺろぺろ】
【ひより「力作です!」】
「あの、先生……僕、料金とか払ってないんですけど……」
僕は、抵抗を試みる。
「親しき仲にも礼儀あり。分かってますよね? 僕、何回も配信でしつこく言いましたよね? ファンアート――FAってのはあくまで相手への好意と自分のためにするものであって、イラストとかいう最低でも1時間、書き込めば何十時間にもなる作品――最低でも数千円単位になるはずのそれを、タダで貢いだりするのは違うんだって」
【ひより「大丈夫です!】
「なにが違うんですかぁ……」
【草】
【全力で自分を描かないように説得を試みるVの娘】
【草】
【こはねちゃん……なにがそこまで嫌なんだ……】
【まぁひよりちゃん先生はバレてるから言うけど、幼――もといこはねちゃんと歳が近いし、言動はレッサーパンダ状態のこはねちゃん寄りでいろいろ不安なのは分かるし、こはねちゃんが指摘するまでSNSの発言とか結構日々のつぶやきから推測できちゃってたのは本当だしレッサーパンダの仲間だし】
【草】
【草】
【ひより「レッサーパンダこはねちゃんさんはかわいいです!」】
【ひより「こはねちゃんさんの仲間になれるならレッサーパンダになります!」】
「やめて……」
僕は絶望した。
【草】
【朗報・ひよりママ、無敵】
【これは娘べったりな母親】
【かわいい】
【どっちもかわいい】
【娘がちょっと困ってるのもかわいい】
【ちょっと……?】
【ていうかひよりママ? こはねちゃんが言ってるのはもっともよ?】
【そうそう】
【こはねちゃんは……まぁいろいろとバズったり燃えたりしてそこそこインプレッション――表示回数あるし、Vっていう跳ねやすい括りだし、最推しなのは誰もが知ってるし、かわいいしレッサーパンダだけど、前に描いてたアニメとかマンガとかの二次創作とかオリジナルの方がイラストレーターするんならママにとっては有益よ? レッサーパンダはかわいいけど】
【草】
【2回も言った!】
【何回でも言うよ】
【草】
【まぁね……Vtuberの立ち絵って依頼すると作業量的に最低でも数万、普通で数十万、高くて100万超えるからね……作り込み半端ないから】
【!?】
【ひぇっ】
【Vtuberこわい……】
【※しかも納入まで1年先とかザラです】
【ひよりちゃん先生みたいな、まだ有名になってない絵師さんでも数ヶ月は見るよなぁ】
【ひより「大丈夫です! 実は結構前から頼まれてました!」】
僕は、猛烈に嫌な予感がした。
「……誰にぃ……?」
【ひより「介護班のみなさんからです!」】
「ああ……」
ぱたり。
僕は机に突っ伏した。
【草】
【草】
【かよわきかわいいいきものな声で草】
【こはねちゃん撃沈】
【かわいい】
【逃げ道を封じられてて草】
――僕は、まだ僕自身で稼いだお金を懐に入れていない。
なにしろプラットフォームっていう世界の支配者が、なぜか3ヶ月に1回しかお金を渡してこないんだ。
だからってわけでもないけど、安心していたんだ。
僕にお金がない以上、ひより先生へ支払うこともできないからって。
なのに、
「どぉしてぇ……!」
【ひより「ふふんっ」】
僕は慟哭した。
世界を呪った。
【草】
【草】
【絞り出すような声で草】
【かわいい】
【かわいいか? かわいいな……】
【この鳴き声がたまらないんだ】
【草】
【ああ……こはねちゃん、言ってたもんねぇ……今までの立ち絵、思い出深いし味わい深いし、なによりもVtuberとしての立ち絵に支払う相場の正規の代金を支払えないから、このままで行くんだって】
【でも……】
【ああ……】
【介護班がやりました】
【ていうかびっくりするくらい安かったから、むしろ私たちからひより先生に注文つけまくって逆に値段上げさせまくったレベル】
【もちろん細かい作業はこっち負担】
【新しいおえかき機器買える程度にはつり上げたから大丈夫大丈夫】
【大丈夫大丈夫 介護班の中にVtuberのパーツ分けとかモデリングできるの居たから】
【ていうか介護班の中にVtuber居るしな】
【数十人単位で投げ銭すれば、1人数千円でも相当行くんだよ】
【数の暴力ってもの、初めて見たわ】
【なぁにこれぇ……】
【介護班!?】
【草】
【こいつら……ずるいぞ】
【身分証?】
【家族関係?】
【緊急事態?】
【全てを捧げる気持ち?】
【あるなら<URL> 審査も義務も厳しいけど、やりがいはあるよ】
【いや、それはちょっと……】
【草】
【こいつら……ちょっと怖い……】
【ちょっとか?】
【クラファン――クラウドファンディングでの新規立ち絵受注って言えば納得はできるが……それでも古参たちの団結力がやべぇ】
【でも、おかげで】
【ああ……!】
「えぐっ……えぐっ……」
涙でにじんだ、画面の向こう。
そこには――ついさっきに届いてしまった、立ち絵ソフトに導入するだけですぐに使える状態になっていた、僕の立ち絵が動いている。
ひより大先生のかわいらしいタッチのイラスト――けども以前のからは1年以上が経ち、最近は画力の向上がすさまじいことになっていて何枚かに1枚は明らかにオーラの違うイラスト――それの渾身の作品が、立ち絵ソフトの中で、動いている。
――古参の人たちが、勝手に僕の立ち絵を受注生産させていただなんて……!
「畏れ多いぃー……僕には分不相応ー……なにより、貢がれてるぅー……こわいぃー……!」
僕は、むせび泣いた。
【草】
【草】
【本気で泣いてて草】
【ていうか貢がれてそこまで泣くのか……】
【こはねちゃんさん、ニートでも一線は守るタイプだから……】
【頑固なとこあるもんなぁ】
【じゃなきゃ3段階を経てレッサーパンダにならないって】
【すごいだろ? このレッサーパンダが数年間は隠し通せてたんだぜ……?】
【感動した】
【草】
【レッサーパンダはやめて 力が抜ける】
【ずっと虚勢を張って両手を上げてたレッサーパンダこはねちゃん……もう良いんだよ 配信で保護者になりたい視聴者に養われる生活……しよ?】
「や゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛ー……!」
【草】
【草】
【男の子のプライドって奴か】
【あー】
【え、でも引きこもりニートっていう親から養われる状態だったのは変わらないんだし、今さらじゃ】
【お前!!】
【草】
【だ、大丈夫、こはねちゃんは泣いてて見てないから】
【ひでぇ】
【うん、プライドは大切だよ それを優しく砕いてあげるのは興奮するけど】
【ひぇっ】
【わかる】
【愛があればOKです!】
【愛(プライドを砕く】
【愛情ならなんとか……】
◇
「……すっごく目とかうるうるしてるし、髪の毛とかさらさらしてて……すっごく違和感ある」
上、下、右、左。
笑顔、ジト目。
まるで鏡からぶつかるぎりぎりのところで顔を見ている感覚。
近すぎて普段は見えないような――いや、そもそもとして自分の顔ってものは鏡を見なきゃ見えないもんだから、TSして美幼――少女になったとしても普段は気にならないはずの整った顔。
それが、まるで恋人のような距離感で――ああ、確かこういうのは「ガチ恋距離」って言うんだっけ――この顔を見ているような感覚。
いろんな動かし方をしていても……うん、やっぱりすごすぎて。
【ひより「 」】
【ママが討ち死にされたぞ!】
【こはねちゃんが早速ぐりんぐりん動かしてくれたからね】
【ファンサの鏡】
【これは娘の鏡】
【作ったばっかのイラストをさっそく使ってくれる娘の鏡】
【それにしてもかわいい】
【かわいい】
【マジでかわいい】
【顔バレしたとき見た顔とどっちが?】
【決まってるだろ あのときこはねちゃんの顔を見てしまった者はもれなく介護班だ……介護班にとって、情報漏洩が最も過酷な罰に値する 意味は分かるな?】
【ひぇっ】
【もう言いませんもう言いませんだから連れてかないで】
【草】
【草】
【ホラーかな?】
【こんなにかわいいのに怖くなってきたわ】
【「怖いほどの美人」って言うからね】
【こはねちゃんも、黙っていればただの美少女なんだよなぁ】
【黙ってなかったら?】
【ショタよ!!】
【そうそう、ロリっ子に見える、ロリか女装ショタなボディの親しみやすい精神年齢成人男性】
【それとギャン泣きモードに入ったらレッサーパンダ】
【草】
【草】
【すげぇよな こはねちゃんって登録者も増え続けてるけど、もはや常人には真似できない領域まで到達してるんだ】
【ああ……ここまでクセの強い配信者もなかなか居ないだろうよ】
【真似できるもんならしてみろ できるもんならな】
【新モデルでさらに飛躍すると良いね、こはねちゃん レッサーパンダとして飛び上がらないでさ】
「先生……」
【ひより「ふんす!」】
【草】
【かわいい】
【これはかわいい】
【母娘関係が逆転して久しい】
【よわよわな立場になったこはねちゃんぺろぺろ】
【ひより「力作です!」】
「あの、先生……僕、料金とか払ってないんですけど……」
僕は、抵抗を試みる。
「親しき仲にも礼儀あり。分かってますよね? 僕、何回も配信でしつこく言いましたよね? ファンアート――FAってのはあくまで相手への好意と自分のためにするものであって、イラストとかいう最低でも1時間、書き込めば何十時間にもなる作品――最低でも数千円単位になるはずのそれを、タダで貢いだりするのは違うんだって」
【ひより「大丈夫です!】
「なにが違うんですかぁ……」
【草】
【全力で自分を描かないように説得を試みるVの娘】
【草】
【こはねちゃん……なにがそこまで嫌なんだ……】
【まぁひよりちゃん先生はバレてるから言うけど、幼――もといこはねちゃんと歳が近いし、言動はレッサーパンダ状態のこはねちゃん寄りでいろいろ不安なのは分かるし、こはねちゃんが指摘するまでSNSの発言とか結構日々のつぶやきから推測できちゃってたのは本当だしレッサーパンダの仲間だし】
【草】
【草】
【ひより「レッサーパンダこはねちゃんさんはかわいいです!」】
【ひより「こはねちゃんさんの仲間になれるならレッサーパンダになります!」】
「やめて……」
僕は絶望した。
【草】
【朗報・ひよりママ、無敵】
【これは娘べったりな母親】
【かわいい】
【どっちもかわいい】
【娘がちょっと困ってるのもかわいい】
【ちょっと……?】
【ていうかひよりママ? こはねちゃんが言ってるのはもっともよ?】
【そうそう】
【こはねちゃんは……まぁいろいろとバズったり燃えたりしてそこそこインプレッション――表示回数あるし、Vっていう跳ねやすい括りだし、最推しなのは誰もが知ってるし、かわいいしレッサーパンダだけど、前に描いてたアニメとかマンガとかの二次創作とかオリジナルの方がイラストレーターするんならママにとっては有益よ? レッサーパンダはかわいいけど】
【草】
【2回も言った!】
【何回でも言うよ】
【草】
【まぁね……Vtuberの立ち絵って依頼すると作業量的に最低でも数万、普通で数十万、高くて100万超えるからね……作り込み半端ないから】
【!?】
【ひぇっ】
【Vtuberこわい……】
【※しかも納入まで1年先とかザラです】
【ひよりちゃん先生みたいな、まだ有名になってない絵師さんでも数ヶ月は見るよなぁ】
【ひより「大丈夫です! 実は結構前から頼まれてました!」】
僕は、猛烈に嫌な予感がした。
「……誰にぃ……?」
【ひより「介護班のみなさんからです!」】
「ああ……」
ぱたり。
僕は机に突っ伏した。
【草】
【草】
【かよわきかわいいいきものな声で草】
【こはねちゃん撃沈】
【かわいい】
【逃げ道を封じられてて草】
――僕は、まだ僕自身で稼いだお金を懐に入れていない。
なにしろプラットフォームっていう世界の支配者が、なぜか3ヶ月に1回しかお金を渡してこないんだ。
だからってわけでもないけど、安心していたんだ。
僕にお金がない以上、ひより先生へ支払うこともできないからって。
なのに、
「どぉしてぇ……!」
【ひより「ふふんっ」】
僕は慟哭した。
世界を呪った。
【草】
【草】
【絞り出すような声で草】
【かわいい】
【かわいいか? かわいいな……】
【この鳴き声がたまらないんだ】
【草】
【ああ……こはねちゃん、言ってたもんねぇ……今までの立ち絵、思い出深いし味わい深いし、なによりもVtuberとしての立ち絵に支払う相場の正規の代金を支払えないから、このままで行くんだって】
【でも……】
【ああ……】
【介護班がやりました】
【ていうかびっくりするくらい安かったから、むしろ私たちからひより先生に注文つけまくって逆に値段上げさせまくったレベル】
【もちろん細かい作業はこっち負担】
【新しいおえかき機器買える程度にはつり上げたから大丈夫大丈夫】
【大丈夫大丈夫 介護班の中にVtuberのパーツ分けとかモデリングできるの居たから】
【ていうか介護班の中にVtuber居るしな】
【数十人単位で投げ銭すれば、1人数千円でも相当行くんだよ】
【数の暴力ってもの、初めて見たわ】
【なぁにこれぇ……】
【介護班!?】
【草】
【こいつら……ずるいぞ】
【身分証?】
【家族関係?】
【緊急事態?】
【全てを捧げる気持ち?】
【あるなら<URL> 審査も義務も厳しいけど、やりがいはあるよ】
【いや、それはちょっと……】
【草】
【こいつら……ちょっと怖い……】
【ちょっとか?】
【クラファン――クラウドファンディングでの新規立ち絵受注って言えば納得はできるが……それでも古参たちの団結力がやべぇ】
【でも、おかげで】
【ああ……!】
「えぐっ……えぐっ……」
涙でにじんだ、画面の向こう。
そこには――ついさっきに届いてしまった、立ち絵ソフトに導入するだけですぐに使える状態になっていた、僕の立ち絵が動いている。
ひより大先生のかわいらしいタッチのイラスト――けども以前のからは1年以上が経ち、最近は画力の向上がすさまじいことになっていて何枚かに1枚は明らかにオーラの違うイラスト――それの渾身の作品が、立ち絵ソフトの中で、動いている。
――古参の人たちが、勝手に僕の立ち絵を受注生産させていただなんて……!
「畏れ多いぃー……僕には分不相応ー……なにより、貢がれてるぅー……こわいぃー……!」
僕は、むせび泣いた。
【草】
【草】
【本気で泣いてて草】
【ていうか貢がれてそこまで泣くのか……】
【こはねちゃんさん、ニートでも一線は守るタイプだから……】
【頑固なとこあるもんなぁ】
【じゃなきゃ3段階を経てレッサーパンダにならないって】
【すごいだろ? このレッサーパンダが数年間は隠し通せてたんだぜ……?】
【感動した】
【草】
【レッサーパンダはやめて 力が抜ける】
【ずっと虚勢を張って両手を上げてたレッサーパンダこはねちゃん……もう良いんだよ 配信で保護者になりたい視聴者に養われる生活……しよ?】
「や゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛ー……!」
【草】
【草】
【男の子のプライドって奴か】
【あー】
【え、でも引きこもりニートっていう親から養われる状態だったのは変わらないんだし、今さらじゃ】
【お前!!】
【草】
【だ、大丈夫、こはねちゃんは泣いてて見てないから】
【ひでぇ】
【うん、プライドは大切だよ それを優しく砕いてあげるのは興奮するけど】
【ひぇっ】
【わかる】
【愛があればOKです!】
【愛(プライドを砕く】
【愛情ならなんとか……】
◇
「……すっごく目とかうるうるしてるし、髪の毛とかさらさらしてて……すっごく違和感ある」
上、下、右、左。
笑顔、ジト目。
まるで鏡からぶつかるぎりぎりのところで顔を見ている感覚。
近すぎて普段は見えないような――いや、そもそもとして自分の顔ってものは鏡を見なきゃ見えないもんだから、TSして美幼――少女になったとしても普段は気にならないはずの整った顔。
それが、まるで恋人のような距離感で――ああ、確かこういうのは「ガチ恋距離」って言うんだっけ――この顔を見ているような感覚。
いろんな動かし方をしていても……うん、やっぱりすごすぎて。
【ひより「 」】
【ママが討ち死にされたぞ!】
【こはねちゃんが早速ぐりんぐりん動かしてくれたからね】
【ファンサの鏡】
【これは娘の鏡】
【作ったばっかのイラストをさっそく使ってくれる娘の鏡】
【それにしてもかわいい】
【かわいい】
【マジでかわいい】
【顔バレしたとき見た顔とどっちが?】
【決まってるだろ あのときこはねちゃんの顔を見てしまった者はもれなく介護班だ……介護班にとって、情報漏洩が最も過酷な罰に値する 意味は分かるな?】
【ひぇっ】
【もう言いませんもう言いませんだから連れてかないで】
【草】
【草】
【ホラーかな?】
【こんなにかわいいのに怖くなってきたわ】
【「怖いほどの美人」って言うからね】
【こはねちゃんも、黙っていればただの美少女なんだよなぁ】
【黙ってなかったら?】
【ショタよ!!】
【そうそう、ロリっ子に見える、ロリか女装ショタなボディの親しみやすい精神年齢成人男性】
【それとギャン泣きモードに入ったらレッサーパンダ】
【草】
【草】
【すげぇよな こはねちゃんって登録者も増え続けてるけど、もはや常人には真似できない領域まで到達してるんだ】
【ああ……ここまでクセの強い配信者もなかなか居ないだろうよ】
【真似できるもんならしてみろ できるもんならな】
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