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1章 僕が女装して配信することになったきっかけ
25話 配信……しちゃってた……
「柚希先輩!!」
「うわっ!? こ、光宮さん!?」
あれからダンジョンのドロップを換金して。
今日だけで……なんと、3千円っていう大金。
バイトだと5時間くらい突っ立って、得られる大金。
そんなお金を稼いじゃって、ダンジョン前のお店で……スイーツと飲みものだけで同じ金額を使っちゃうっていう、ものすごい贅沢しちゃって。
なんだかがんばったのに全部を吸われた気になっちゃって、あと罪悪感でげそーんってしちゃって……でも、珍しくテンションが上がって楽しくって。
電車とバスで1時間くらい、珍しくお腹いっぱいになって帰って来た僕。
なんか気分が良かったから、おまんじゅうと一緒に鼻歌歌ってて。
ずっと抱きかかえてたおまんじゅうのおかげで、ようやくに落ち着いてきたところで……なぜか家に光宮さんがいた。
「お昼、要らないよ」ってお母さんに言うの忘れちゃってたなって思いながら玄関に入った途端にびっくりした。
びっくりしすぎておまんじゅうをぎゅっとしちゃって「ぎゅい」って怒られちゃったし……。
「光宮さん……? その、なんでこんな休みの日に僕の家なんかに……」
「これ!!」
「……?」
彼女が突き出してきたスマホ……あ、また新しいのにしてる……の画面には、動画配信サイトのコメントっぽいのが流れてる。
「?」
なんだろ。
推しの人の配信で何かあったのかな。
「すっごいイチオシの人、いるんです」ってよく言ってるし。
「きゅいー」
「せんぱ……あ、あれ? なんか大きくなってません? この子」
「うん、ちょっと大きくなったけど、これ、結構毛で膨らんでるのもあるから」
特に長いのが、とさか……って言うかおでこから尻尾までのライン。
大体10センチくらいあるんじゃないかな。
他のとこが5センチくらいだから、ちょっと長め。
ふわふわもこもこしてて抱き心地もモフり心地も抜群なんだ。
「抱っこする?」
「え、良いんですか! もちろん……じゃなくて!」
珍しく「かわいい」を否定する光宮さん。
そんなに推しの人のことが気になるのかな。
女の子の推しだから、もちろん男の配信者だよね。
光宮さんの好み、そういえばあんまり聞いたことない気が。
「?」
……ちょっと胸のところがもやもやする。
今日、動きすぎて疲れたのかな。
「……と、とにかく、部屋来てください!」
「僕の部屋だよね……良いけど」
光宮さんと僕は生活リズムとか違うのに、なんでか知らないけども、良く同じ時間にシフトが上がる。
だからか、夜に「花嫁修業の一環なので!」って言って、帰り道にスーパーとかで買った食材で夕飯を一緒に作ってくれるんだ。
「光熱費代と場所代ですから!」って、食材代よりも多めに分けてくれるから、地味に食費が助かってるんだよね。
……うん、分かってる。
多分、家の貧乏を気にかけてくれてるんだってことは。
でも「お金とか物は受け取れないよ」って昔言ったのを覚えててくれて、それでぎりぎり施しにならない程度ってことでやってくれてるんだって。
それを知ってるからか、あの田中君でさえ「困ってたら言え! うちでのシフトとか親父の知り合いの店でのシフトくらい増やしてやる! お前は便利な俺の子分なんだ、飢え死にするくらいなら先に言え!」くらいしか言ってこないし。
……そういうところがあるから憎めないんだけどね。
ちっちゃいころからのいじめっ子なのにさ。
◇
……文字が並んでいる。
たくさんの、大量の、膨大な文字列が。
【朗報・第1056ダンジョン定点実況に現れし幼女、ユニコーンのテイマーだった】
【名前はユズちゃん】
【いつもユニコーンの幼体を抱っこして歩いてる疑惑】
【かわいい】
【ダンジョンに潜ってもいない段階、何もしないで登録者1万達成した幼女】
【定点実況からのうっかり雑談配信でバズった幼女】
【田舎住みのピュアさが限界突破している幼女】
【ユニコーンに見初められるだけはある幼女】
【定点実況から身長は130-150センチくらい】
【フードでかさ増しされてるから、もっと低い可能性も】
【ナチュラル系幼女】
【多分、世界唯一のユニコーンテイマーな幼女】
【初手で自室から実況してた幼女】
【実況の練習が初配信になった幼女】
【ユズちゃんぺろぺろ】
【初心者講習でもやらかした幼女】
【デフォルト設定だからユズちゃんのを含めた個人情報が全部保護されてて安心】
【朗報・ガチロリとユニコーン幼女とおっきいお姉さんとのスールの誓いをした幼女】
【なおユニコーンの攻撃は角から出る】
【しかもレーザー攻撃とか言うチート】
【ぅゎょぅι゛ょっょぃ】
【ユニコーン最強説】
【遠距離からの範囲攻撃を嗜む幼女】
【あれ? これパーティー組む意味ある?】
【ユズちゃん、バズりにバズって登録者3万になっても気づいてないとかいうレベルの天然だし】
【SNSはやってない模様、ダンジョン協会の初期登録のまま「ユズ」という名前だけ】
【もうひとりのロリからは「ゆずきちゃん」って呼ばれてるから、名前はゆずき】
【でももう「ユズちゃん」で定着しちゃってるからユズちゃん】
「――――――うわぁぁぁぁ!?」
僕はびっくりしすぎてひっくり返った。
「……良かった……柚希先輩、さすがにこれでびっくりしなかったらどうしようってマジで思ってたんですよ……」
僕の部屋、僕のベッドの上。
いつもなら、一緒に作った夕食を食べ終わって「食べると眠くなるので」って、いつも仮眠を取ってから帰るベッドの上。
僕の布団なのにね……そのせいで布団の匂い、半分くらい光宮さんのだし……まぁ良い匂いだし、安心できるから良いけどさ……。
そこで僕は、タブレットを――「おすすめの映画とかドラマとかシェアするので。 あ、これは私が感想言い合いたいから共有するんです。 実質家族ですから良いですよね」って動画サイトとかを共有してたり、一緒に観たりもしてるそれを手渡され。
――「期待の新星なユニコーン幼女ユズちゃん」って書いてある、誰かがまとめたらしいページを見せられた。
しかも、更新するたびに下のコメントが全部入れ替わるほどの――。
「……………………………………」
「きゅふい」
1回見ただけじゃ「?」。
「きゅふいっ」
もっかい読み直して頭とお腹が冷たくなって。
3回4回と読み直して……ようやく何が起きたのかって理解できた。
「あー、さすがの柚希先輩も動揺してますね」
「……ど、どどどどどどっ」
震える手から落ちかけたタブレットをキャッチしてくれた光宮さん。
「あ、ありが……」
「で、どうします?」
普段なら、僕が考えてるときにはじっと待ってくれる彼女が、今日はなぜか待ってくれない。
「もー、実質バレてるようなもんですよ? これ。 多分何回かダンジョン潜ったら特定されて、押しかけてきますよ?」
――終わった。
僕の冒険は、ここで終わった。
冒険する前に、終わっちゃった。
「田舎ですからねー。 ……私もこれ、友達から……なので」
「うわぁぁぁぁ……学校にも広まってるぅ……」
「ですね。 ……なーんか最近、校内でやけに柚希先輩のこと聞かれるとは思ってたんです。 けど、まさかこうだとは……しかも、前からの知り合い以外は柚希先輩のこと、全員女の子だって思ってるし……」
僕はうなだれて……せっかくご機嫌だったダンジョンのいろいろも、すっかり忘れるほど。
「あのー、先輩? スカート。 見えてますよー、良いんですかー」
「どうしよどうしよどうしよどうしよ……」
「……撮っとこ」
「きゅいっ」
「お、ぎりぎりズム。 判ってるねぇ君」
「きゅい!」
「うわっ!? こ、光宮さん!?」
あれからダンジョンのドロップを換金して。
今日だけで……なんと、3千円っていう大金。
バイトだと5時間くらい突っ立って、得られる大金。
そんなお金を稼いじゃって、ダンジョン前のお店で……スイーツと飲みものだけで同じ金額を使っちゃうっていう、ものすごい贅沢しちゃって。
なんだかがんばったのに全部を吸われた気になっちゃって、あと罪悪感でげそーんってしちゃって……でも、珍しくテンションが上がって楽しくって。
電車とバスで1時間くらい、珍しくお腹いっぱいになって帰って来た僕。
なんか気分が良かったから、おまんじゅうと一緒に鼻歌歌ってて。
ずっと抱きかかえてたおまんじゅうのおかげで、ようやくに落ち着いてきたところで……なぜか家に光宮さんがいた。
「お昼、要らないよ」ってお母さんに言うの忘れちゃってたなって思いながら玄関に入った途端にびっくりした。
びっくりしすぎておまんじゅうをぎゅっとしちゃって「ぎゅい」って怒られちゃったし……。
「光宮さん……? その、なんでこんな休みの日に僕の家なんかに……」
「これ!!」
「……?」
彼女が突き出してきたスマホ……あ、また新しいのにしてる……の画面には、動画配信サイトのコメントっぽいのが流れてる。
「?」
なんだろ。
推しの人の配信で何かあったのかな。
「すっごいイチオシの人、いるんです」ってよく言ってるし。
「きゅいー」
「せんぱ……あ、あれ? なんか大きくなってません? この子」
「うん、ちょっと大きくなったけど、これ、結構毛で膨らんでるのもあるから」
特に長いのが、とさか……って言うかおでこから尻尾までのライン。
大体10センチくらいあるんじゃないかな。
他のとこが5センチくらいだから、ちょっと長め。
ふわふわもこもこしてて抱き心地もモフり心地も抜群なんだ。
「抱っこする?」
「え、良いんですか! もちろん……じゃなくて!」
珍しく「かわいい」を否定する光宮さん。
そんなに推しの人のことが気になるのかな。
女の子の推しだから、もちろん男の配信者だよね。
光宮さんの好み、そういえばあんまり聞いたことない気が。
「?」
……ちょっと胸のところがもやもやする。
今日、動きすぎて疲れたのかな。
「……と、とにかく、部屋来てください!」
「僕の部屋だよね……良いけど」
光宮さんと僕は生活リズムとか違うのに、なんでか知らないけども、良く同じ時間にシフトが上がる。
だからか、夜に「花嫁修業の一環なので!」って言って、帰り道にスーパーとかで買った食材で夕飯を一緒に作ってくれるんだ。
「光熱費代と場所代ですから!」って、食材代よりも多めに分けてくれるから、地味に食費が助かってるんだよね。
……うん、分かってる。
多分、家の貧乏を気にかけてくれてるんだってことは。
でも「お金とか物は受け取れないよ」って昔言ったのを覚えててくれて、それでぎりぎり施しにならない程度ってことでやってくれてるんだって。
それを知ってるからか、あの田中君でさえ「困ってたら言え! うちでのシフトとか親父の知り合いの店でのシフトくらい増やしてやる! お前は便利な俺の子分なんだ、飢え死にするくらいなら先に言え!」くらいしか言ってこないし。
……そういうところがあるから憎めないんだけどね。
ちっちゃいころからのいじめっ子なのにさ。
◇
……文字が並んでいる。
たくさんの、大量の、膨大な文字列が。
【朗報・第1056ダンジョン定点実況に現れし幼女、ユニコーンのテイマーだった】
【名前はユズちゃん】
【いつもユニコーンの幼体を抱っこして歩いてる疑惑】
【かわいい】
【ダンジョンに潜ってもいない段階、何もしないで登録者1万達成した幼女】
【定点実況からのうっかり雑談配信でバズった幼女】
【田舎住みのピュアさが限界突破している幼女】
【ユニコーンに見初められるだけはある幼女】
【定点実況から身長は130-150センチくらい】
【フードでかさ増しされてるから、もっと低い可能性も】
【ナチュラル系幼女】
【多分、世界唯一のユニコーンテイマーな幼女】
【初手で自室から実況してた幼女】
【実況の練習が初配信になった幼女】
【ユズちゃんぺろぺろ】
【初心者講習でもやらかした幼女】
【デフォルト設定だからユズちゃんのを含めた個人情報が全部保護されてて安心】
【朗報・ガチロリとユニコーン幼女とおっきいお姉さんとのスールの誓いをした幼女】
【なおユニコーンの攻撃は角から出る】
【しかもレーザー攻撃とか言うチート】
【ぅゎょぅι゛ょっょぃ】
【ユニコーン最強説】
【遠距離からの範囲攻撃を嗜む幼女】
【あれ? これパーティー組む意味ある?】
【ユズちゃん、バズりにバズって登録者3万になっても気づいてないとかいうレベルの天然だし】
【SNSはやってない模様、ダンジョン協会の初期登録のまま「ユズ」という名前だけ】
【もうひとりのロリからは「ゆずきちゃん」って呼ばれてるから、名前はゆずき】
【でももう「ユズちゃん」で定着しちゃってるからユズちゃん】
「――――――うわぁぁぁぁ!?」
僕はびっくりしすぎてひっくり返った。
「……良かった……柚希先輩、さすがにこれでびっくりしなかったらどうしようってマジで思ってたんですよ……」
僕の部屋、僕のベッドの上。
いつもなら、一緒に作った夕食を食べ終わって「食べると眠くなるので」って、いつも仮眠を取ってから帰るベッドの上。
僕の布団なのにね……そのせいで布団の匂い、半分くらい光宮さんのだし……まぁ良い匂いだし、安心できるから良いけどさ……。
そこで僕は、タブレットを――「おすすめの映画とかドラマとかシェアするので。 あ、これは私が感想言い合いたいから共有するんです。 実質家族ですから良いですよね」って動画サイトとかを共有してたり、一緒に観たりもしてるそれを手渡され。
――「期待の新星なユニコーン幼女ユズちゃん」って書いてある、誰かがまとめたらしいページを見せられた。
しかも、更新するたびに下のコメントが全部入れ替わるほどの――。
「……………………………………」
「きゅふい」
1回見ただけじゃ「?」。
「きゅふいっ」
もっかい読み直して頭とお腹が冷たくなって。
3回4回と読み直して……ようやく何が起きたのかって理解できた。
「あー、さすがの柚希先輩も動揺してますね」
「……ど、どどどどどどっ」
震える手から落ちかけたタブレットをキャッチしてくれた光宮さん。
「あ、ありが……」
「で、どうします?」
普段なら、僕が考えてるときにはじっと待ってくれる彼女が、今日はなぜか待ってくれない。
「もー、実質バレてるようなもんですよ? これ。 多分何回かダンジョン潜ったら特定されて、押しかけてきますよ?」
――終わった。
僕の冒険は、ここで終わった。
冒険する前に、終わっちゃった。
「田舎ですからねー。 ……私もこれ、友達から……なので」
「うわぁぁぁぁ……学校にも広まってるぅ……」
「ですね。 ……なーんか最近、校内でやけに柚希先輩のこと聞かれるとは思ってたんです。 けど、まさかこうだとは……しかも、前からの知り合い以外は柚希先輩のこと、全員女の子だって思ってるし……」
僕はうなだれて……せっかくご機嫌だったダンジョンのいろいろも、すっかり忘れるほど。
「あのー、先輩? スカート。 見えてますよー、良いんですかー」
「どうしよどうしよどうしよどうしよ……」
「……撮っとこ」
「きゅいっ」
「お、ぎりぎりズム。 判ってるねぇ君」
「きゅい!」
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