悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?

あずももも

文字の大きさ
77 / 147
4章 女装して路地裏から町を堕とした

60話 4人全員の責任を取ることになった

しおりを挟む
「はぁー……もうユリア様との夢の日々もおしまいなのですわねー……」

「残念ですわぁ」
「悲しいですわぁ」
「でもルーシー様が居る限り、必ずまた会えますの!」

「はい、間が開きそうなときや緊急時にはギルド経由で連絡しますが、なるべく頻繁に来るつもりです」

石鹸の匂い(2日目から買い足した良い匂いのやつ)が充満する室内。

それプラスで子供特有の匂い……ってのは変態臭いからやめるとして。

ともかく僕は今、壁を目の前に本へ目を通しながら彼女たちへ返事をする。

……モブ子ズ3人とルーシーちゃんがお風呂をしている空間で。

「でも、別にユリア様がそうまでしてこちらを見ないようにする義理はありませんのに」
「わたくしたち、特に気にしませんわ?」

「なにしろ木っ端貴族ですもの、ユリア様のように同性にでさえ肌を見られてはいけないとは言われていませんわ。ね、ルーシー様!」

「そ、そうですね……」

ごめんなさい。
そんなすごそうな理由とかじゃなくって、僕が男だからです。

僕が女装変態男だって知っているからか、結局今日までの毎日のお風呂を気まずそうにしていたルーシーちゃん。

……うん、なにしろやらかしちゃったもんね……裸見ちゃったりお漏らしさせちゃったりだった主犯だから……ごめんね、責任は取るから……。

もちろん、女の子とはいえ相手はたったの7歳そこら。

女の子らしい体つきには――ルーシーちゃんのを見ちゃったから言うしかないけども――全然なってないし、本当、股さえ隠せば僕と一緒に入っても気づかないレベルだろう。

この年ごろの男女ってのは、髪型とか意識以外で見分ける手段はないんだから。

「……ルーシーを預かる手付金は」

「本当に要りませんの。そもそもルーシー様のドロップ運だけで」
「大儲け――ではなくなるにしても」

「この宿屋に泊まり続けるくらいはへっちゃらですし? ね、ルーシー様?」

「あ、は、はい……みなさんに教えてもらったので、どうにかダンジョンでも戦えるようになりましたし……」

この数日間、この子たちはすっごくがんばっていた。

おかげでもはや――まぁ初日からだけど――気心も知れ、先頭の連係もばっちりで、たぶん僕抜きでもポーターが必要なくらいには稼げるようになっているはずだ。

「それもこれも、ユリア様のおかげですの!」
「ユリア様と出会えなければ、そもそもわたくしたち尊厳を踏みにじられて死んでいましたし!」

「その後もルーシー様と引き合わせてくださいましたし!」
「正直、何を言われても全てを捧げたいくらいですの!」

「いえ、それは……」

「分かっておりますわ。ユリア様は高潔なお方ですの」
「それに、わたくしたちよりずっと頭が良いですの!」

「たとえ正体を知らずとも、どんな理不尽な命令でも安心して遂行できるほどですの!」

……胃が痛い。

わずか7歳の肉体だっていうのに、胃がきりきりする。

なんでこの子たちは、こんなに良い子たちなんだ。
こんなに良い子たちが、なんでモブぎりぎりのヒロインなんだ。

それに、

「……ユリアさまもみなさんも、ぼくに『楽しい』を教えてくれました。今、こうしてあったかいお湯で体を洗えているだけでも幸せで……」

「まあ! まあまあまあ!」
「愛いですのういですのー!」
「ユリア様、この子、食べちゃって良いですの良いですの?」

「あはは……猫かわいがりはほどほどに……」

――初対面では孤児と変わらない見た目だったルーシーちゃん。

そんな彼女も、今や折れそうな手脚から、がりがり程度になっていて――3人いわく「この生活なら、あと1ヶ月でおなかにもお肉がつきますわ!」って感じに健康児に。

「けれど、前髪、もう少し切りませんこと?」
「ルーシー様もおかわいいのに」

「わたくしたちのように、盛って盛らないと殿方をくわえ込めませんわ! ところでくわえ込むって、何をかご存じで?」

「くわえっ!? え、えっとぉ……そのぉ……」

3人とルーシーちゃんは飼い主とペットみたいな感じな関係に近いけども、不憫な彼女への母性本能からか、おはようからおやすみまで面倒を見てくれている。

……あのとき僕がルーシーちゃんと出会わなくても、この子たちと会えていたらきっと、似たような形に収束したはずだ。

うん、きっとそうだ。

だから、この女の子の園に女装男という不純物は不要なんだ。

「明日から寂しいですわぁ」
「寂しいですの」
「ユリア様……せめて1回だけでも、一緒にお風呂に」

いや、それはできないんだ。

いやいや、僕は決して7歳児――前世換算で6歳の女の子たちに欲情するような性癖は持ち合わせていない。

それは断固として主張する。

けども、ルーシーちゃんのときみたいに見ちゃうと……ものすごい罪悪感で死にたくなるんだ。

ジュリオン様メンタルはお豆腐メンタル。

前世の僕も似たようなもんだし、ああいう刺激物は――――――

「ねえねえユリ――きゃあっ!?」

「あ、に、逃げてくださいまし!?」
「痛いですの!?」

「ゆ、ユリアさまぁ――!」

急に変わった雰囲気に、僕は思わずで――外し忘れてたムチを手に、警戒態勢。

まさか、そこそこ平穏なこの地区のそこそこ以上に良いお宿なここへ強盗――あるいは幼女のきゃっきゃを聞きつけての変態が――――――

「!?」

ごんっ。

――ばしゃっ。

……からんからん。

「ごめんなさいですのごめんなさいですの!」
「お怪我は!? ……とりあえずないですの」
「でも……ああ! ユリア様に!」

「……あっ」

ぽた、ぽた。

「………………………………」

腰を落としながら振り向いた僕は、盛大にあったかいお湯を浴びた。

なんで?

それは――ひっくり返ったタライ、それに捕まる形ですっ転んでいる4人。

すっぱだかの、女の子たち。

よほど派手にひっくり返ったのか、4人とも、仰向けに脚も閉じずにいろんな態勢になっていて――――――つまり。

「……あぅぅ……」

「あはは……お恥ずかしいところを……」
「といいますかユリア様がびしょ濡れですの!」
「大変! あ、下の階へ湯がこぼれていないか……」

――僕は、また見ちゃったんだ。

それも、今度はルーシーちゃんのに加えて、3人のも……なぜかちょうど僕の方に向けておっぴろげなもんだから、はっきりくっきりと。

「………………………………」

死にたい。

なんで僕ばっかり、こんなことになるんだ。

ラッキースケベ?

「それはまるで主人公くんの特殊スキル」みたいじゃないか。

おかしいじゃん、僕は悪役令息のジュリオン様なのに。

この罪悪感を解消するためには……ルーシーちゃん同様、男として責任を取るしかなく。

精神年齢健全成人男性として、自分から逮捕されるのも厭わないレベルの申し訳なさに……僕は目を閉じることもできず、ただただ目の前の光景を見つめていた。


◆◆◆


ハルちゃんの小説、発売中です!

(TSっ子ハルちゃん)、女装っ子ユズくん、女装悪役令嬢ジュリオンくんの3作同時投稿中です。

ついでにイラストや動画も週にいくつか上げています。
ぜひ見に来てください。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

処理中です...