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第2章 戦乱の足音と不穏な空気
第3話 相手は、何処だ!
しおりを挟む「ユウマ様、それでお調べになった情報から相手は何処になるのでしょうか?」
キャンドラが心配そうに見つめてくる。
「掴んだ証拠と位置関係を見ると、相手は、大陸の下部を仕切るモルガン帝国だろう。隣のエストニア王国とは、公爵が婚姻していて事実上、兄弟国だ。更に東帝国は、エストニア王国とモルガン帝国を通らなければ攻めてこれない。北の魔族がラガール王国を攻めるには、死の森を越えなくてはならない。西の(魔女の国)オリエント魔法連邦、(騎士の国)ガシャール皇国は、昔からの因縁の相手。ウチに攻め込めば3カ国戦争になる。」
ユウマは、集めた資料から相手と弱点を探り出し日夜、対抗策を練っていた。
「モルガン帝国…良質な鉱山資源を持ち南部には、海が広がる豊かな国が何故?」
キャンドラが疑問を持つ。
「隣のエストニア王国には、エルフの大事な世界樹がある。聖気を発して妖精を育み、緑豊かな森を形成している。そして、邪気はウチに流れ込み死の森を拡張してダンジョンを産む。冒険者は、集まり高価な品物を命と引き換えに求めて止まない。要するにダンジョンが目当てさ。コアもね!」
「そんな!身勝手な!」
キャンドラが苦言を申し出るが
「エストニア王国とモルガンの境界にある鉱山山脈には、オールドドワーフが住み着き関係性も良い。然し、普通のドワーフは高度な技術で劣り、街中で簡易な鉄鋼と木材加工しか出来ない。もし、ダンジョン産の資源が手に入れば…と思っているのだろう。」
今回の戦争の核心部分である。
「自国にも、ダンジョンは在るのに…………。」
「仕方ないさ。集まる冒険者の質が違う。ガロンお祖父様が整えた段階システムにより、成長合わせて階級を上げてく我が国の制度は、各国に提供され受けられてきた。唯一、モルガン帝国だけが反対してるのだから…。」
ため息をつくと、
「今日は、ここ迄だ。情報の管理は大事にしてくれよ。」
ユウマは、そう言うと部屋へ戻っていく。
「はあー、改めてお祖父様は、偉大だと痛感するよ!」
「如何したでやんすか?まだ、ふけこむには、早いでやんす!」
モッフが気にかけてくれるが
ボフッ!ベッドに倒れ込み、目を閉じる。
開戦に間に合うのか?…………実力が足りなければ、かなりの劣勢に回ることになる。
突然の鐘の音が響く。
ゴーン、ゴーン!ゴーン!ゴーン!
敵兵が現れた合図だ。
俺は、召喚の腕輪を出し、千年龍王ガイアを呼び出す。
「済まない。すぐ様、高度より現場が見たい。運んでくれるか?」
「主。仰せのままに…………」
北の演習場に転移し、龍化したガイアに飛び乗る。
「南だ!急いでくれ!」
ユウマの指示に
「お任せあれ!」
と答えると
バザッ!バザッ!と上昇して一気に加速する。
ユウマは、風魔法で結界を作り風圧を殺し、高高度から魔眼を使う!
「アレか?」
ドワーフを先頭に騎士隊と魔法団が連なる。
その数、一万…………………。
「早すぎる。僅か、半年でこれか!」
「上空を周り確認するユウマたちにサンダーボルト系の魔法が落とされる。」
ドガーン!
魔法障壁を展開しているユウマの魔法と互角の力が加わる。
アイテムボックスから虹色の水晶を取り出し、相手の陣形を映す。すると居た。先の戦争で禁止された筈の【召喚魔法 悪魔召喚】で呼び出された、アークデーモンたちが…………。
これで、大義名分は揃う。ユウマは、笑うと
「卑劣な蛮国よ!協議を無視して悪魔召喚などと…この女神の使徒 ユウマ・フォン・シャルルがしかと見届けた。死ね!」
「ドラゴンブレス!そして、灼熱の地獄に堕ちろ。メテオ・フォルテニクス・ラーヴァ」
千年龍王ガイアの焔に、ユウマの最上級溶岩魔法があたり一面を焦土と化す。
生きて入られる者など居ない。悪魔でも人さえも…………。
そして、この映像は全ての国の王と水晶玉を持つ貴族に映し出される。
正義は、ユウマに有り邪道に堕ちたモルガン帝国に最早、言い訳も出来ない。
…………結局、アランの言った通り、それが早かったのかも知れない。しかし、他国を仲間につけることができた今回は、かなりの戦果だ。…………
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