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第3章 冒険者活動
第5話 魔力をとは
しおりを挟む「はぁ…はぁ…ぁぁ…」
膝に手をつき足を止める。
どれだけ走ったのだろう。目の前には、小川があり、小さな滝もある。
キャンドラは、涙でグシャグシャになった顔を洗い、ハンカチで拭う。側には、アルミスは居ない…。
11歳を迎えた先日、誕生日パーティーを開き皆を呼び今日のことを語り合ったのに…
また、涙が溢れてくる…………。手を川に差し入れたその時、
「グォーァー!」
と魔獣の声が聞こえた。
聞いたこともない咆哮!!誰も居ない環境。
知らない土地。武器は無い。パニックに陥る。
…嫌!来ないで!近づかないで!あっちへ行って!!
思えば思うほど魔力が溢れ場所を教えてしまう。
現れたのは、ブラックレッドベアだ!ランクC上級の森の破壊者。
勿論、普通ならキャンドラに負ける要素など一つもない。
然し、自信を無くし泣きながら動揺しているキャンドラに勝てと言う方が無理かもしれない。
パニックを起こし、何をしたらいいか分からない。普段、如何してたか思い出せない位、闇暗に落ちている。
…いいか?よく聞け。まず、落ち着け。深呼吸を一回しろ。そして、相手の目を絶対に逸らすな!魔力は、身体を流れる源泉だ。イメージで伸びたり、盾になったり、槍になったり変化する。身体の一部なのだ。忘れるな魔力は、身体の一部…身体の一部…イメージを忘れるな。…
キャンドラは、声を聞いたという。神の声を!そして、涙を拭いブラックレッドベアに対峙する。魔力はイメージ…細いスピアをイメージする。小さい頃から慣れ親しんだ武器。細い細いスピア。サーベルよりも細く硬いスピア!
キャンドラは、無意識に右手を上げ手を伸びす。そして、魔力を貯める。魔法は、禁止。でも、魔力量なら負けない。伸びろ!極細硬槍…
金色の魔力が細い糸のようにブラックレッドベアに向かうと、急に直線になり槍のように額を貫く。
「出来た…イメージ出来た…あはは…」
泣きながら、膝から崩れる。今まで自分の手で直接殺したことが少ないキャンドラ。
先の戦争もゴーレムにドラゴンブレス。自分では、手を汚していない。背徳感、罪悪感、日和る。そんな感情を隠しつつ挑み潰れた感情。
「もう、大丈夫よ!私は、キャンドラ・フォン・メイダス!侯爵家の娘。手土産を持って堂々と帰りましょう!」
涙をコートの袖で拭い、吹っ切れた顔のキャンドラは、この先間違いなく強くなるであろう……。
~~~~~~~~~~
一刻後、休みを終えた皆んなの所へキャンドラとユウマが別方向から帰ってきた。
キャンドラに抱きつくアルミス!
「ユウマ!これは、襲われたから正当防衛よ。収納しといて!」
ブラックレッドベアをポイっと投げると自信満々の顔でキメ顔を作る。
「もう、大丈夫そうだな…………」
そう言うとブラックレッドベアをしまい、次の方針を話そうとするユウマ。
「全く、素直じゃ無いね。ユウマちゃん?」
アランが勘違いをしているが
「俺は、何もしてないぞ!周りを偵察しただけだ。だが、原因はキャンドラが見つけてくれた。」
「はぁ…?どういう事?」
アランとガーラが尋ねる。
「ここら辺、半径2キロに魔獣の反応がない!おそらく、このブラックレッドベアを恐れ逃げたか、食われた!ノルマを達成するためには、北にある大山脈麓まで行かないとならない。」
「おいおい。まさか、走って行くの?」
アランが面倒臭そうに尋ねる。
「まさか!お前達には、龍の笛を預けてる筈だぜ!」
ウインクしてユウマが龍を呼ぶ。
「「「なるほど」」」
皆んなが、龍を呼ぶ中ガーラが叫ぶ。
「わ・た・く・し・は無いのですが!!」
そこに、ユウマが手を組みガーラに足をかけろと言う。龍に二人乗りしたユウマとガーラを先頭に大空を舞う新米冒険者達。
僅か、5分足らずで麓に来ると、下の方で村から煙が上がり、戦闘してるのが見える。
ユウマが片眼鏡で確認して
「ゴブリンキング筆頭に78匹だ!!行くぞ!」
空をダイブしてガーラと手をつなぐユウマ。
他もダイブして楽しそうだが、一人また拗ねてる奴が居る。キャンドラだ。
「如何してこうなるのよ…………バカ」
そんな独り言は、空気音で聞こえず地上まで数秒でたどり着く。
村の外側に降りたユウマたちは、瞬殺でゴブリンを殺していく。
「キャンドラにガーラは、メイジとアーチャーを優先に!!アランとアルミスは、ナイトを頼む!!」
「「「「はい!!」」」」
的確に指示を出すとユウマは、キングめがけて走り出す。通りすがりのゴブリンは、瞬殺で倒してく。
「に・ん・げ・ん・がな・ま・い・きし・ね」
ゴブリンキングがバトルアックスを振るうが、ユウマのスピードには、ついてこれない。
長老たちを確保して、取り敢えず事情を聞く。
そして、一刻前に攻めてきて女達を数名連れていき、残った村の男達で防いでいたそうだ。
ユウマの決断は早い。
「アランとアルミス!女性達が攫われた。跡を追ってくれ。必ず、助け出すように!」
「ガーラ!ナイトを倒してくれ!キャンドラは、変わらずだ!!」
「「「「OK」」」」
ユウマは、手に魔力を集め金色になるまで一瞬だった。そして金色のムチのようにゴブリンキングを縛りつける。
「ビキ!バキッ!ボキッ!」
肋骨が折れ、内臓に刺さったのだろう。
ゴブリンキングは、絶命した。
ほぼ、同時に殲滅は終了してアランとアルミスが女性達を連れて戻ってきた。
「ユウマ、12匹だ。頼む!」
「了解!収納!」
村のゴブリンを収納すると山に向けて走る。
「流石、アラン…女性達の前で酷い殺しはしないか…」
ゴブリンの額に穴が空いてあり脳を破壊していた。使い分ける技量がある。余裕も。
ユウマは、村長たちと話し合い、今回の件をギルドに報告することと証明書を書いて貰う事を
決めた。そして、近くのゴブリンやコボルトの生息場所を聞き村を去る。
「武器とか、上げちゃって良かったのか?」
アランが勿体無いと抗議する。
「俺達は、金のために動いてる訳じゃないし、ダンジョンのお宝に比べたら石ころだ。気にするな。」
「まっいいけど…」
ユウマは、片眼鏡で確認して
「キャンドラ!一人だけ数が少ない。次は、メインで倒してくれ。俺達は補助だ。そして帰るぞ。」
ある程度の集落は、片付けたが
「それ?一人の倒した数も計算できるのかよ?」
アランが欲しそうに尋ねる。
「あぁ。どういう仕組みか分からないが、対戦もできる。全く凄い宝物だ。」
ユウマは、お祖父様の凄さを再認識しながら、有り難うと口にしていた。
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