『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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プロローグ

ゴウキ対クレア

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「武器を持ちなさい!」


素手のままでいるゴウキに対し、クレアは武器を持てと促した。
だがゴウキは武器を使う習慣は無かった。美学でも配慮でもなく、それが一番自分にとってしっくりくる戦闘スタイルだからである。


「うるせぇバカ女!」


ゴウキは問答はしないとばかりにクレアに向かって殴りかかった。
即座にクレアは反応し、模造刀で防御に転ずる。


「うぉ!?」


突撃するエネルギーをいなされ、殴りにいったはずのゴウキの体が大きくつんのめって転倒しそうになる。
飛んでくるボールを軽く逸らして直撃を防いだかのような動きだった。


「ちっ・・・」


何が起こったのか考えるでもなく、ゴウキは次の攻撃に移った。
だが、次もその次も、ゴウキの拳はいなされてクレアに直撃をすることはなかった。
ただし、クレアが攻撃してくることもない。


「何のつもりなのか知らねーけど、俺が手加減することはねーからな」


クレアの思惑が何であれ、拳を思いっきりぶち込む。
ゴウキはその一心で攻撃を続けた。しかし同い年の女の子とは思えぬほどの流麗な防御術に、いとも簡単にゴウキの攻撃はいなされてしまう。
しばしゴウキが攻撃し、クレアがそれをいなすという構図が続いていたが、やがてクレアが剣を上段に構えた。先ほどまでとは違う構えだった。


「これまではあなたの無力を思い知らせるための時間でした。これからは、あなたが許しを乞うための時間になります」


キリッとそう言って睨むクレアの眼光は、射貫かれたものを戦慄させる鋭さを持っており、さしものゴウキもそれには何かを感じ取った。だが、怯むことはなかった。


「おもしれぇやってみろバカ女!」


闘争心を駆り立てられたゴウキはまたも殴りかかりに行く。
だが


バキィ


クレアの目にも見えない太刀筋が、ゴウキの左足を強打していた。


「!?」


強烈な足払いを受け、体のバランスを崩して転がり込む。


「ぐっ・・・!」


立ち上がろうとして、それが出来ぬほどの激痛が左足に走る。ゴウキの左足はクレアの一撃で折れていた。


「君が、謝るまで、打つのを、止めない!」


見上げたゴウキの目がクレアの目と合った。
クレアの目には何の感情も見られなかった。ただ練習用の藁人形に打ち込むかのように、何の感慨も無くクレアの剣が振り下ろされる。


「ぐあっ!」


肩、左腕、腰、先ほどまで防戦一方だった時とは正反対に、クレアは激しくゴウキに打ち込んでいる。


「面!突き!胴ぉぉ!!」


一撃一撃があまりにも重く、気を抜けば気絶してしまいそうな感覚になりゴウキは歯を食いしばった。
頭からも流血して視界が狭まるし、左足は折れてろくに動かず、呼吸をしようとするだけで息が止まりそうなほどの激痛が全身を巡る。

力も太刀筋も、到底同年代のそれとは思えぬクレアのそれにゴウキは驚愕せずにはいられない。

そう、7歳にしてクレアは既に勇者としての才を咲かせ始めていたのだ。
だが、才を咲かせようとようとしていたのはクレアだけではなかった。
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