35 / 508
プロローグ
ゴウキの価値は
しおりを挟む
ゴウキはクレアの引き立てにより国からの助成金で王立学園に入学すると、猛烈に勉強に取り組んだ。
学園で学べる知識はまさに財産だと考えるゴウキは、それこそこれまでの遅れを取り戻すように勉学に取り組み、知識を吸収していった。
だが、ゴウキが学んだのは学問だけではなかった。将来的に勇者パーティーへの登用があると仮定して、学園では教えてくれない冒険者のイロハを学ぶために休日は冒険者ギルドに顔を出し、冒険者と親交を深めた。
15歳未満はギルドで依頼を受けるどころか冒険者登録も出来ないので知識だけでも吸収しようと考えたのだ。
最初は邪険にしていた冒険者だが、ゴウキの熱意に絆されギルドに内緒でクエストに同行させたり、いろいろと教え込む者が出始める。
ポーションなど回復アイテムの目利きなどもこのときの学びで身に着けたものだった。
そしてゴウキは学園を卒業する頃には、王都の冒険者でゴウキのことを知らぬ者はいなくなるほどに存在感を示すようになっていた。
「おぅゴウキ。こんな昼間からブラついてるなんて珍しいな」
4区からの帰路の途中、道行く冒険者パーティーににゴウキは話しかけられた。
かつて学生時代によくいろいろ教えてもらっていた冒険者達だった。
「ちょっと休みになって」
謹慎中とはもちろん言わない。
「そっか。こっちは最近スライムジェルが値崩れして、俺らみたいにスライム狩りをメインにしているモンは薄利多売でヒィヒィ言ってるよ。ここんとこ休み無しでどうにかトントンだわ。スライム専門もそろそろ考え時かね」
「値崩れ・・・あぁ、最近スライムの群生地が見つかったとかなんとか」
「そうだ。スライムを狩る連中が増えたからスライムジェルも値崩れしちまってるよ」
スライムジェルはスライム系の魔物を倒すことで手に入る素材だ。
水を高度にろ過させることも出来れば、皮膚病の治療にも使われる。需要は決して尽きないので本来は値崩れしづらい素材である。だから安定収入を求める冒険者はスライム専門のハンターになる者も少なからずいた。
どうやら今は同じことを考えている者が集中している時期のようである。
「こうなるとスライムジェルでろ過した純水を使用するポーションなんかも値崩れするだろうな。もうすぐポーションの買い溜め時が来るかもしれないぜ。投資のために買い付ける奴らが増えるまでがチャンスだろうよ」
「そうか、いい情報をありがとう」
今でもゴウキにこうして有用な情報をくれる冒険者はたくさんいた。
こういった情報を元に、ゴウキは良質の回復アイテムなどを安価に手に入れる努力を欠かさなかった。
世間体や固定概念に捕らわれるリフトを始めとした勇者パーティーには到底真似の出来ぬことである。
これがどれだけ重要なものであったか、彼らは気付いていなかった。
学園で学べる知識はまさに財産だと考えるゴウキは、それこそこれまでの遅れを取り戻すように勉学に取り組み、知識を吸収していった。
だが、ゴウキが学んだのは学問だけではなかった。将来的に勇者パーティーへの登用があると仮定して、学園では教えてくれない冒険者のイロハを学ぶために休日は冒険者ギルドに顔を出し、冒険者と親交を深めた。
15歳未満はギルドで依頼を受けるどころか冒険者登録も出来ないので知識だけでも吸収しようと考えたのだ。
最初は邪険にしていた冒険者だが、ゴウキの熱意に絆されギルドに内緒でクエストに同行させたり、いろいろと教え込む者が出始める。
ポーションなど回復アイテムの目利きなどもこのときの学びで身に着けたものだった。
そしてゴウキは学園を卒業する頃には、王都の冒険者でゴウキのことを知らぬ者はいなくなるほどに存在感を示すようになっていた。
「おぅゴウキ。こんな昼間からブラついてるなんて珍しいな」
4区からの帰路の途中、道行く冒険者パーティーににゴウキは話しかけられた。
かつて学生時代によくいろいろ教えてもらっていた冒険者達だった。
「ちょっと休みになって」
謹慎中とはもちろん言わない。
「そっか。こっちは最近スライムジェルが値崩れして、俺らみたいにスライム狩りをメインにしているモンは薄利多売でヒィヒィ言ってるよ。ここんとこ休み無しでどうにかトントンだわ。スライム専門もそろそろ考え時かね」
「値崩れ・・・あぁ、最近スライムの群生地が見つかったとかなんとか」
「そうだ。スライムを狩る連中が増えたからスライムジェルも値崩れしちまってるよ」
スライムジェルはスライム系の魔物を倒すことで手に入る素材だ。
水を高度にろ過させることも出来れば、皮膚病の治療にも使われる。需要は決して尽きないので本来は値崩れしづらい素材である。だから安定収入を求める冒険者はスライム専門のハンターになる者も少なからずいた。
どうやら今は同じことを考えている者が集中している時期のようである。
「こうなるとスライムジェルでろ過した純水を使用するポーションなんかも値崩れするだろうな。もうすぐポーションの買い溜め時が来るかもしれないぜ。投資のために買い付ける奴らが増えるまでがチャンスだろうよ」
「そうか、いい情報をありがとう」
今でもゴウキにこうして有用な情報をくれる冒険者はたくさんいた。
こういった情報を元に、ゴウキは良質の回復アイテムなどを安価に手に入れる努力を欠かさなかった。
世間体や固定概念に捕らわれるリフトを始めとした勇者パーティーには到底真似の出来ぬことである。
これがどれだけ重要なものであったか、彼らは気付いていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
親友に恋人を奪われた俺は、姉の様に思っていた親友の父親の後妻を貰う事にしました。傷ついた二人の恋愛物語
石のやっさん
恋愛
同世代の輪から浮いていた和也は、村の権力者の息子正一より、とうとう、その輪のなから外されてしまった。幼馴染もかっての婚約者芽瑠も全員正一の物ので、そこに居場所が無いと悟った和也はそれを受け入れる事にした。
本来なら絶望的な状況の筈だが……和也の顔は笑っていた。
『勇者からの追放物』を書く時にに集めた資料を基に異世界でなくどこかの日本にありそうな架空な場所での物語を書いてみました。
「25周年アニバーサリーカップ」出展にあたり 主人公の年齢を25歳 ヒロインの年齢を30歳にしました。
カクヨムでカクヨムコン10に応募して中間突破した作品を加筆修正した作品です。
大きく物語は変わりませんが、所々、加筆修正が入ります。
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる