『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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プロローグ

不吉な予感

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「おいゴウキ!」


セントラルギルドは第2区の中心にあるので、ゴウキは大急ぎで第1区のゲートを通過しようとした。
その瞬間、顔なじみのいつもの門番がゴウキの名を呼んだ。


「そのブレスレットの効力が切れたら、俺達でももうここを通すことはできねぇぞ。それだけ気を付けてくれよ」


門番は心底心配そうにゴウキにそう言った。
理由は様々だが、ある日突然に第1区民の資格を剥奪されて途方に暮れる人間を何人も見てきた門番だった。
泣いても縋っても、資格が無ければ第1区には入れさせられない。


「きっと何かの間違いだろ。落ち着けよ」


「ああ」


門番の言葉に頷くと、ゴウキはすぐにまた走り出す。
そうだ、何かの間違いであって欲しい。
そう願ってゴウキはセントラルギルドを目指し走った。



セントラルギルトに辿り着くと、そこでは長い冒険者の行列が出来上がっていた。
セントラルギルドは王都の冒険者ギルドの中でも最大手であり、利用する冒険者も他に比べて圧倒的だ。
王都に点在する支所もあるにはあるが、重要な要件などは本部でしか受けつけてもらえないものもある。ゴウキの身分を証明するブレスレットも本部じゃないと扱いない案件であろうことは想像がついたので、彼は仕方なしに行列に並ぶことにした。

「急いでいるのになぁ」とやきもきしつつ待っていると、そんなゴウキに歩み寄ってくる人物が現れた。
セントラルギルドの係長であることを示す腕章を巻いている。


「これはこれはゴウキさんではありませんか。本日のご用件はブレスレットについて、ですね?」


接客によるものではない、心からの笑みを浮かべて係長は言った。
ここでゴウキは思い出す。かつて彼はゴウキが持ち込んだ魔物の素材の買い取りの際に、不当な査定をしたので悶着が起きた相手だった。
「査定に間違いはない」と主張する係長に、ゴウキは現在の市場での相場や買い取り規約などを根拠に反論し、最後には係長をやり込め、適正価格で買い取らせたということがあった。

つまりは今ゴウキの目の前にいる係長の男は因縁のある相手である。セントラルギルドには似たような人間ばかりで似たような悶着を起こしてばかりなので、ゴウキと因縁のある人間ばかりがいるのだが。


「そうだ。ブレスレットについて話を聞きにきた」


相手が誰であれ、取り次いでもらえるのなら有難い。ゴウキは藁にも縋る思いであった。


「それではどうぞ。特別に場を設けますので、そちらのほうで」


係長はそう言って職員に手配をさせる。他に並ぶ冒険者の恨みがましい目があるが、ゴウキは申し訳ないと思いつつも渡りに舟だとこれに乗っかった。

係長は常に笑顔であった。本当に、本当に嬉しいことがあったと言わんばかりの笑顔だ。
それを見てゴウキは、この後に自分に降りかかる不幸を何となく予感するのであった。
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