『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

文字の大きさ
94 / 508
追放後

唐突に湧いた危ないヤツ

しおりを挟む
モンスターホールを出ようとした、その時だった。


「ーーー!!」


ゴウキは突然何かの気配を察し、周囲を見回す。
それはスミレ達も同様だった。

突然気を張り詰め出したゴウキ達に対し、特に何も気づいていない遭難冒険者達は首を傾げている。


「上から来るぞっ!気を付けろ!!」


「敵、直上!急降下!」


ゴウキが気配に気付き、真上を向いた直後、スミレとリノアが同時に叫んだ。



高いモンスターホームの天井から降ってくる。


タンッ


高所から落ちてきたそれは、小さな音を立てて地面に綺麗に着地した。
顔を覆う甲冑を着込んだ人間であった。


「・・・」


ゴウキは身構える。
姿としては相手は人間であるようだが、相手からは不気味なオーラを感じた。魔物に近い不快感なオーラだとゴウキは思った。だから自然と身構えてしまう。


「・・・ほぉ、私を見ても怯まぬか。中々出来るではないか」


低い男の声が甲冑から発された。顔を覆う兜のために顔は見えないが、目だけは獲物を狙う猛獣のような獰猛なそれがゴウキからも見ることが出来た。

ゴウキだけでなく、スミレ達も皆構えているが、遭難冒険者達は構えるどころか腰を抜かして震えている。甲冑男の気に当てられ、すっかり怯んでしまっているようだった。


「何の用だ?俺達はこれから帰るところなんだがな」


ゴウキが話しかける。
登場の仕方で既にバリバリの不審者なのだから当然警戒は解かない。


「いや、何、帰る前に・・・」


甲冑男はそう言ってスッと人差し指をリノアに突きつけた。


「その娘が欲しくてな。私に譲ってくれないか」


「うげっ」


指名を受けたリノアが下品な声を洩らす。


「何やら騒がしかったので様子を見に来てみたら・・・その娘は随分と便利で変わった能力を持っているようだ。女としても申し分ない逸材であるし、見ていて我慢できなくなってな。欲しいと思ったのだ」


あまりに下品な物言いにゴウキも顔をしかめる。しかし当のリノアは少しだけ満更でもなさそうだった。


「女として申し分ない、ですって。聞きました?ゴウキ先輩」


「言ってる場合か」


ゴウキはすかさずリノアを背に隠すように甲冑男の前に立ちはだかる。
やっぱり目立つ能力だったかぁ、やはり出来るだけ内密にしといたほうがいいなこれと頭が痛くなった。こうした手合いが今後も出てくるなんて冗談じゃないと。


「答えはNOだ。リノアは俺らの仲間だからな」


甲冑男に見られている気配に気が付かなかった。気配を殺すことに長けていて、高レベルの戦士であることはわかるので、今だ話合いの段階であるがゴウキは既に戦闘態勢に入っていた。


「答えはNOだ。大事な俺の女だから絶対渡さない、ですって。嬉しいこと言ってくれますね」


「どんだけ都合良く聞き間違えてんだよ」


満面の笑みを浮かべながら杖を構えるリノアに、スミレが呆れたように言いつつクナイを構える。
デニスも既に得物に手をかけていた。



「そうか。ならば気が変わるまでとしようか?生きていればだがな」


甲冑男はそう言って背に背負っていた大剣を構えだした。


(こいつ強いな。まったく、肩慣らしのはずがとんでもない大仕事になってきたんじゃねぇか?)

ゴウキは溜め息が出た。今日一日でいろいろあり過ぎて頭が疲れてきたと。

だが口元は笑っている。
久々に出会った強敵に、ゴウキの血がたぎっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

処理中です...