『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

スミレ その3

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早朝になってを終えたスミレは、まだ開店作業をしているフォースギルトにやってきた。


「おはようございます!あれ・・・今日はほんとにお早いですね」


まだギルドマスターとて来ていないのに、事務所では既にノーラが書類仕事をさばいていた。いつもはこんな早い時間にやってこないスミレを見て、ノーラは怪訝そうな顔をする。


「ゴウキ、いる?」


スミレがゴウキが間借りしている部屋のほうを顎で指して訊ねる。
ゴウキは大金を手にしていたので既にいつどこへ引っ越すことも可能なのだが、まだギルドの空き部屋で生活をしていた。


「いますよ。さっきいびきが聞こえましたから」


ノーラはフフッと笑ってゴウキのいる部屋のほうへ視線を向ける。
そのノーラの目に、親愛の情のようなものがあるのをスミレは感じ取った。女の勘というやつだろうか。
スミレからしてみれば恋のライバルかもしれないが、ノーラはスミレから見ても感嘆してしまうほどの働き者だ。人手不足のフォースギルトで奮闘し、少しでもギルドのため、顧客のためと全力で仕事に取り掛かっている。
箸にも棒にも掛からぬ相手ならすぐにでも排除するところだが、リノアと同じくノーラはスミレが認めるだけの女だった。
だからゴウキの傍にいても何もしない。

スミレはゴウキに恋をしているが、それでも自分が独占したいとは思ってはいなかった。
祖国のモチヅキ家でもスミレの父は妾を持っていたから、それ相応の男には複数の女がいてもおかしくないと考えているのである。ゴウキは偉大な男になる。自分一人だけで独占できるならそれはそれにこしたことはないが、やはりリノアやノーラのような優秀な女が同じく彼に惹かれるというのなら、それを邪魔することだけはすまいと思っていた。リノアとはゴウキを巡って喧嘩をするが、本心ではスミレはリノアやノーラならゴウキの元にいても良いと思っている。
もっとも、彼女らがゴウキの元にいるときは自分もそこにいるのが大前提だが。
ゴウキの敵はとことん排除し、味方はどこまでも大らかに受け入れるのがスミレという人間だった。


「・・・」


スミレはノックもせずにゴウキの部屋の扉を開けた。
ゴウキは無防備にもベッドで大の字になって眠っていた。敵意殺意を持つ相手が近づけばすぐにでも飛び起きるゴウキだが、心を許した相手だとこのように無防備になることが普通にあった。


「ゴウキ、朝だよ。起きな」


優しくスミレはゴウキを起こす。
ゴウキにだけ見せる、スミレの優しい表情だった。
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