『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

文字の大きさ
151 / 508
ゴウキ・ファミリー

そんなバカな

しおりを挟む
「が、ガルフさん・・・どうして・・・」


アンドレは唐突に現れた大男の名を呟く。
ガルフと呼んだその男が自分を助けに来るなど、全く考えも及んでいなかった。


「アンドレさんは俺の恩人だ。追われてるんだろ?助ける」


ガルフと呼ばれた大男は、そう言ってまたも拳を振り上げる。
しかし今度はそれを振り落ろす前にゴウキにカウンター気味に右ストレートを顔面に見舞われた。


ドォォォン


ガルフの巨体が民家に背中から打ち付けられた。
民家の壁に亀裂が入り、今にも崩れそうだ。そこにゴウキの前蹴りの追撃が入る。


「ぐっ、この・・・」


鳩尾に蹴りを食らって動きの止まったガルフに、ゴウキは拳を顔面に叩き込む。
1撃目、2撃目、3撃目と拳を打ち込んでいくうちに、ガルフのめり込んでいた民家の壁はついに崩壊する。


「うわぁぁぁぁ!!」


民家の住民は悲鳴を上げて逃げ出した。朝っぱらから家に男二人が殴り合いしながら家の壁を破壊して突っ込んできたのだから、恐怖のあまり逃げてしまうのも無理はない。


「・・・・・・」


ゴウキの拳を浴びていたガルフは、やがてそのうちに意識を飛ばしたのか動かなくなった。

「中々骨のあるやつだったな」

最後まで逃げようとせず立ち向かう姿勢を見せていたガルフの対し、ゴウキは尊敬を念を抱く。


「アンドレさん!」


民家の外では今度は女の声が上がっていた。


「!!」


キィン

風を切る音を聞きつけ、スミレが自分に迫るものを得物のクナイで瞬時に弾いていた。
地面に落ちたのは数本の矢。どこからか遠方からスミレに向けて放たれたものであった。直前に女の子がしたあたり、どうやらアンドレを解放するためにスミレに射ったようだ。


「へぇ、あんた人気者みたいじゃん」


アンドレにそう軽口を言いながら、更に自分に向けて射られる矢を捌き、射られた方向を見極めてスミレはクナイを投げる。弓を持っていた女が額にクナイが突き刺さった状態で民家の屋根から滑り落ちた。


「ひぃっ」


死んだ女を見てアンドレは呟く。


「ぶ、ブレンディさん・・・」


アンドレは女の顔を覚えていた。ゴルドーと同じく、かつて気まぐれで手助けしたことのある女だった。自分のことを救おうとして、命を落としたことにアンドレは衝撃を覚える。


「やめてほしかったら、そのようにに言うこったね」


「・・・あいつら?」


ポカンとしたアンドレに対し、スミレは顎でくいっと指示した方向には武装した数人の冒険者がいた。
一人は既にゴウキに向かった後らしく、頭の地面にめり込ませている。


「あれは・・・!」


アンドレは顔ぶれを見て思わず声を上げる。
誰もかれもがかつて自分が手助けしたことのある冒険者だった。半グレと違い、アンドレと直接やり取りがあり恩義を感じている者達である。


「皆アンタを助けに来てる。やつらがアタシ達を殺す気でやってくる限り、アタシ達だって殺すつもりで抵抗する。もう一度言うけど、やめてほしけりゃアンタがやめるようにあいつらに言いな」


スミレの言葉にアンドレは固まった。
自分を助けに?彼らが?そんなバカな、と。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?

久野真一
青春
 2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。  同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。  社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、  実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。  それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。  「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。  僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。  亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。  あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。  そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。  そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。  夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。  とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。  これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。  そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...