『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

物件探し  その2

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ゴウキは旧友であるディックに相談しようかと思い、4区に足を踏み入れた。
以前ゴウキはディックから名刺を受け取っており、そこに書いてある住所に向かって歩き出す。


「兄弟だったらいつでも歓迎だ。遊びに来てくれ」


そう言ってディックに名刺を渡されてから、まだ一度も訪ねたことがなかったが、頼み事をしたいときだけ図々しく顔を出すというのはと少しばかり心が痛んだゴウキは、今度は仕事とか関係なく本当にただプライベートで会いに行かないとなと改めて考える。


「・・・あれ?」


ゴウキは名刺に書かれている住所まで来て、何度か名刺を見直した。


「本当にここか・・・?」


名刺が指し示す住所・・・そこにはセントラルギルド本部が少し小さくなった程度の、立派な建造物が立っていたのだ。下手な貴族の屋敷よりも金がかかっていると思われる、頑強な作りの建物だった。


「マジか・・・?」


恐る恐る足を踏み入れようとすると、入口で衛兵に止められる。
国軍のそれとは違うが、しっかりした装備がされている私兵のようだった。


「お名前を伺っても?まずは受付に伺いを立てて、許可が下りましたら通しますんで」


少々4区なりの柄の悪さはあるが、一応は丁寧な接客を心掛けているような態度だった。
ゴウキは自分の名を名乗り、しばし待つ。やがて衛兵がバタバタと慌てて帰ってきた。


「失礼いたしました!入って結構ですっっ」


それまでとは打って変わって、過剰なまでの厚遇でゴウキは建物内に通された。


「ほう・・・」


建物内も立派な作りでゴウキは溜め息を漏らす。
ディックはギャングとしてだけでなく、表向きの仕事としていくつか商売をしていると聞いていたが、どうやらそれらが相当うまくいっているのだろうなと思った。


「ようこそおいでくださいましたゴウキ様」


ゴウキがキョロキョロとしていると、スーツに身を包んだ美人が丁寧にお辞儀をしてゴウキを迎えた。


「社長は本日商工会の寄り合いで席を外しております。夕方になれば戻られますので、よろしければそれまでの間、こちらの方で丁重におもてなしをさせていただこうかと」


ゴウキは時計を見た。まだ昼時だったが、夕方まで待つには長すぎる。そこまでおもてなししてもらうのも気が引けるので、ゴウキは出直すと申し出を断った。アポも入れずに来たのは自分だからだ。
受付と思わしき美人は残念そうにしていたが、ちらりと見ると彼女の後方にいつの間にか何人もの別の美人な女性が控えているのに気が付いた。
おもでなしを受けると言ったら一体何があったんだろう・・・とゴウキは少しばかり胸のドキドキが止まらなかった。


(ディックのやつ・・・いつの間にか大出世してやがる・・・!)
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