『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

俺にもありました

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「・・・で、どんどん遠ざかっていくけどどうする?アタシ追いかけようか?今ならまだ追いつけると思うけど」


スミレが言うと、リノアがハイと手を上げて割り込んだ。


「一応私、コウモリを飛ばしておいたので彼らがどこに行こうが見失うことはないです。急がなくても大丈夫ですよ」


そんなやり取りを横で聞いているムハンは、彼らは何を言っているのだろう?と首を傾げるしかない。
広大な砂漠で点にすら見えないはずの人間を追いかけると言ったり、何かを飛ばしたからもう見失うことはないと言ったり、もうどんなやり取りがされているのかさっぱりわからずムハンは考えることをやめそうになった。


「よし。急いで追いかけても消耗するだけだし、居場所を見失うことがないならじっくり追いかけようぜ」


リノアによって盗賊の動きが監視出来ていると知ったゴウキは、慌てることなく追う方針を決めた。


「こんなところで焦って体力を消耗すればその分危険になる・・・砂漠はそういうところ、なんだよな?」


俺、学習してるぜ?と言わんばかりにゴウキはムハンにキメ顔をしてそう言った。
確かにそうかもしれないけど、貴方方は多分規格外なのでそれに該当しないかも・・・とムハンはそんなことを考える。
・・・いや、待てその前に気になることがある。


「・・・て、その逃げているのが盗賊だとすれば、彼らを追うんですか?」


「あぁ、殲滅する」


ムハンの問いに、ゴウキは当たり前のように頷いた。


「・・・そうですか」


ムハンは呆れて溜め息交じりに、そう答える。
そんな話は聞いてない!とムハンは抗議しようと思ったが、何だか慣れてきたのか感覚がマヒしてきたのか、とりあえず何かを言うのはやめた。少しでも危ないと感じたら、その場ですぐに逃げよう。後のことは自分達だけでお願いしますと。
ゴウキの無茶苦茶な戦闘力を見たからか、彼らが盗賊の殲滅のためにこの砂漠に来たことを知ってもムハンは驚かなかった。むしろ「あぁ、なるほどね」とどこか腑に落ちたくらいだ。
だが、いかにゴウキの戦闘力が高いとしても、ムハンは盗賊団が潰えることはないと確信していた。
ムハンもかつて国軍にサポート役として雇われ、盗賊団の殲滅作戦に参加したことがあった。だが結果は失敗した。国軍は無駄に被害を出しただけで、本丸を見つけることすら出来ずに徒労に終わってしまった。
そのときの経験からしても、砂漠の素人でかつ組織力もない彼らに盗賊団をどうにか出来るなんて思わなかった。


「・・・そんなふうに考えていた時期が俺にもありました」


とムハンが後に語るようになるまでそれほど時間はかからなかったが、この時の彼はそのことを知るはずもない。
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