『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

提案します!

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「新にこの砂漠の平和を望むのであれば、彼らを王家に引き渡してしまうのは悪手だと思います」


思いも寄らぬムハンの発言に、ゴウキのみならずムハン達の唖然とする中、当のムハンはそのまま話を続けた。


「見てください。盗賊団を守ろうとするダークスコーピオンを」


ムハンの言われるまでもなく、視界に入ってきてしまうほどの数がいるダークスコーピオンをゴウキは見やる。
確かに盗賊団を守ろうとしているように見えなくもなかった。
自ら肉壁となり盗賊団を守り、自分達に敵意を向けている。実に異様な光景と言えた。


「盗賊団はこの砂漠の魔物エリアにアジトを構えていることからもわかる通り、魔物を完全に手懐けています。
多くの魔物が領域を守っているのも、彼がいるからなのでしょう」


「うん、まぁそうかもな」


確かにそうだな、とゴウキは頷く。


「前のスライム貴族さんのこともあっから、今度は砂漠の魔物か~って程度だけどナ」


魔物を手懐けていること自体は本来衝撃的な事実なのだが、スミレ達はスラリーのことで慣れているので反応は淡泊だ。


「魔物を管理していた盗賊団がいなくなれば、この砂漠にいる魔物は統制を失います。そうなれば、今度からは無秩序に砂漠に現れるようになり、むしろ現状より砂漠の治安は悪化する可能性があるのです」


現状、このレジプス周辺の砂漠は、魔物が滅多に出てこないが盗賊団が出てくる領域と、魔物が住み着いて出没する領域がある。今交易に使っているのは前者の領域であるが、完全にこの砂漠から盗賊団がいなくなれば、今度は魔物がそちらにも出没するようになるだろうとムハンは言う。
これまで前者のルートは盗賊団が手出しできないような厚い護衛団を付けることでリスクを回避できたが、今後魔物がそれに関係なく現れるとなれば、リスクは現状よりも大幅に増し、レジプスと交易をしよういう相手がいなくなるのではとムハンは危惧していた。


「略奪行為の禁止に留め、彼らはこの砂漠に残すべきだと提案します」


「んー、じゃあそうするか」


「確かに簡単には頷けない案件かもしれません!でも、実際のところ彼らの存在なしには・・・え?」


「そうするかって言ったんだよ」


反対されると思っていたムハンは、あまりにあっけなく同意をされて拍子抜けした。


「今度略奪行為をしたら、地獄の果てまで追いかけて全員地獄を見せてから殺す。これでいいだろ?」


そう言ってニヤリと笑うゴウキを見て、ムハンもハンマ達も皆悪魔の笑みにしか見えず、背筋を凍らせた。
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