『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

数の力

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ゴウキが舎弟取ることを受け入れてから数日後・・・





「なんらぁ!?俺を誰だと思ってんだクルルァ!!」


酔って舌の回りきらない大男がとある酒場で暴れている。
冒険者である彼は途中まで気持ちよく酒を飲んでいたが、ある程度酔いが深くなると急に女性店員に対して絡みだすようになり、それを店主が咎めたのをきっかけとしてテーブルを蹴散らしたり、拳で壁に大穴を空けるようになってしまっていた。
店内はおろか店の周囲にも彼を抑えられる者はなく、こうなるともはや憲兵を連れてこないことにはどうにもならないのだが、警らで出払っているのか最寄りの憲兵詰所は空になっていた。

こうなるともはや憲兵が戻ってくるのを待つか、暴れ客を宥めてどうにか落ち着かせるしかない。いずれにせよ泣き寝入りになる可能性が高い。
これまでならそうであった。


「こちらです!」


暴れ客が暴れ出してから憲兵詰所とは別の方向へ走っていた店員が連れてきたのは、三人の男である。


「あぁん?なんだお前らぁ??」


男達よりも背丈が大きく、筋力も段違いにある暴れ客が問うと、三人のうちの一人が前に出て言った。


「俺達はゴウキ・ファミリーのもんだ。この店で暴れるならちょっと痛い目を見てもらうことになるぜ」


「はぁ?ゴウキ・・・あんだってぇ?誰だか知らねーが俺の邪魔すんじゃねーよ!!」


暴れ客は本当に聞き取れないのか、それとも聞いても理解が追い付かず認識できないのか、いずれにせよ男達の言うことを聞くことはなさそうだった。


「言う事きかねーってよ。やるしかねーな」


「おぅ」


「っしゃ」


男達は三人で一斉に暴れ客に攻撃を開始する。
一人は剣で斬りかかり、一人はハンマーで殴りかかり、最後の一人は電撃魔法の詠唱を開始した。


「「うぎゃーーーーっ!!」」


だが、悲鳴を上げたのは暴れ客ではなかった。攻撃を開始した男達のほうだ。
暴れ客はその太い腕を振り回し、一瞬にして男達をなぎ倒したのだ。


「なんらぁ?手ごたえのない・・・ これがゴウキなんちゃらってやつかぁ?俺ぁなぁ!B級冒険者なんだよぉ?てめぇらみたいな雑魚が群がったところれらぁ・・・」


暴れ客は拍子抜けした顔で男達を見下ろして威張っていたが、そこへ新たなに店内に突入してきた男達がいる。


「ゴウキ・ファミリーだ!てめぇ大人しくしな!!」


「あぁ?まだいるのかぁ?何度来たって同じことらぁ!まとめて・・・」


何時ても同じだと迎え討とうと暴れ客が構えるが、そこへ新たに武装した男女が突入する。


「ゴウキ・ファミリーだ!」


「え?」


暴れ客が呆然としていると、そこへ更にまた武装した男達が入ってくる。


「ここか!大人しくしろ!」


「な、な、なんらぁ~~~!?」


B級で腕が立ち、並の人間なら勝てないはずの暴れ客であったが、次から次へと来る応援に流石に対処しきれず、ついには囲まれてボコボコにされたのだった。


「これに懲りて、今後は大人しく飲むんだな!」

「思い知ったか!」

「へっ・・・口ほどにもねぇ・・・はぁはぁ・・・」



怪我人は何人か出たが、ゴウキ・ファミリー(舎弟)の連中はどうにか暴れ客を数の力で鎮圧することに成功する。

そんなことが連日、王都の酒場や宿屋で起き続けた。
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