『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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忍者スミレ

スミレの義務

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スミレは忍者の家系であるモチヅキ家の中でも抜きん出た才能を持って産まれた。
誰よりも早く技を覚え、誰よりもそれを上手にこなしてみせた。

だからスミレが冒険者が集まることで有名なバルジ王国へ留学して全てを学び終えたそのときには、きっと想像もつかないほど高いレベルに育った忍者スミレが誕生するだろうと期待されていた。

そしてそのスミレが子を成せば、モチヅキ家は安泰だ。
だからスミレが留学から帰国してすぐに、許嫁であるサスケと結婚させ、子を産ませるというのがモチヅキ家の計画だった。

しかし、スミレはバルジ王国から帰ることはなく、留学にかかった費用に上乗せした金を仕送りするだけで、そのまま王都に残り続けた。


『自分がやりたいことが見つかった。しばらく我儘を言わせてほしい』


スミレから届いた手紙には、そのような内容のことがしたためてあった。
これまでに一度とて我儘を言ったことのないスミレが初めて言った我儘に、スミレの父シンゾウは言う通りにしようと考える。
最終的にモチヅキ家に子を成せば、それで良いと。そう思っていた。


だが、それに異を唱えたのはスミレの婚約者であったサスケと、モチヅキ十勇士達である。

サスケはモチヅキの遠縁にあたる家の出身だが、スミレに懸想するだけでなく、モチヅキの家の当主になることを目論んでいた。
もちろん、普通にスミレと結婚することが出来ればそれが叶うのであるが、ただサスケは悠長に待つつもりはなかった。一刻も早くスミレと結婚し、子を成させ、モチヅキ家の当主として名を轟かせたかったのである。

それに同調したのが十勇士達だ。
サスケはスミレほどではないが、高い才能を持ち、気質もモチヅキの当主として相応しいと十勇士達は考えていたのだ。そんなサスケには少しでも早く当主の座について欲しいと思っていた。

故に彼らはシンゾウがスミレの我儘を許容したことに異を唱えた。
元よりスミレは王都の学園の卒業次第、直ちに帰国して結婚する予定だったのだから、シンゾウも強くは彼らの意見に反論することはできない。

結局、スミレを力づくで迎えに行くと言い出したサスケ達をシンゾウは止めることが出来なかった。
サスケ達が本気になって反旗を翻せば、いかにシンゾウといえど適うことはないからである。だから言うことを聞き、刺激するわけにはいかなかったのだ。


「スミレ・・・すまない」


シンゾウは遥か遠い地にいる娘の無事を願う。
だが、いかにスミレに才能があろうと、サスケと十勇士が組んだ包囲網から抜け出すことなど、どう考えても絶望的であった。

シンゾウの危惧する通り、スミレは今・・・バルジ王国にて絶望の最中にいた。
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