『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

忍者スミレ

空気の読まない救世主

「ほぉ、いいところを邪魔しちまったみてぇだな」


ベッドの上に寝転が差れているスミレを見たゴウキはそう言って、両手に捕まえている十勇士達を無造作に床に放り投げた。


ドシャッ


放られた十勇士達は特に受け身を取るわけでもなく、なすが儘に床を転がる。
サスケはそんな彼らを凝視するが、全く動く様子がない。もしかしたら死んでいるのかもしれないと思い、サスケの背中を冷や汗がつたった。


「ゴウキ・・・どうしてここに・・・」


寝転がされている体勢のまま、スミレがゴウキに問う。


「いや、何かスミレの様子がおかしかったなってずっと引っかかっててな。ちょっと気になってお前を探したら、ここに来ているのを見たって奴がいたんだよ。そしたら変なやつらがいるから、スミレのこと聞いたら急に襲い掛かってきたんでな。そいつらをぶっ飛ばしてたらスミレがいたってわけだ」


「は・・・なんだよそれ・・・」


そんな行き当たりばったりで、こんな絶妙なタイミングで助けに来てくれたのかとスミレは呆れたように苦笑いを浮かべる。
そんなスミレの目に僅かに涙が浮かんでいるのを見たゴウキは、ホッとしたのと同時に、目の前にいるスミレをこのような目に遭わせたサスケに対して激しい怒りを感じていていた。




「デタラメな奴だな。十勇士をまさか一人で片付けるとは」


部屋に転がる三つの動かぬ十勇士を横目に見ながらサスケが言った。
最初にスミレの手によって屠られた十勇士は経験の浅い者達であり、彼らが死んだのはある意味仕方がないとは思っていた。だが、最後に残っていた十勇士は、モチヅキ家の臣下の中でも特に秀でた忍者達の集まりなのだ。
だから天才と言われたスミレとて、複数を相手にするのは分が悪く、結果的には取り押さえられてしまった。


「あぁ？あいつらか？そんなに大したもんだったかねぇ」


そう言ってゴウキはペッと唾を床に吐きかける。
サスケはスッと目を細めてゴウキを見つめた。


（去勢を張っている様子はない・・・）


ゴウキは決して強がっているわけではなく、本当に十勇士を簡単に屠ったというのが見て分かった。
何故なら目の前にいるゴウキの体には傷一つ無いからだ。


「ちっとばかしスミレに悪さをし過ぎたようじゃねぇか。大人しくするんなら、無事ではないが殺さないで済ませる程度で俺は良しとしといてやるぜ」


そう言って拳をボキボキ鳴らしながら、ゴウキはサスケに一歩近寄った。


瞬間、サスケはゴウキに対して飛び掛かる。
サスケには大人しく捕まるつもりなど毛頭なかったからだ。

ゴウキとサスケの戦いが始まった。