『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

忍者スミレ

復讐に燃えるサスケ

「おい、ありゃ誰だ？」


「見たあるようなないような・・・」


「ありゃサスケらしいぜ」


「えっ？バルジ王国へ行ったサスケか？嘘だろう？」


「すっかりやつれて・・・美男子だったのが台無しじゃねぇか。一体何があったんだ・・・？」


「一緒にいるのは・・・十勇士か？あれ、他の皆はどうしたんだ？」



スミレの故郷である東方の国に、サスケと十勇士の生き残りが二人で数か月ぶりに帰ってきた。
二人を見た人々は、口々にその代わり映えに唖然とする。

元々美男子で堂々としていたサスケはカリスマ性もあり、女性のみならず男からも人気があった。
しかし今のサスケは身なりに気を遣わずボロボロで、何かにとりつかれたように虚ろな表情を浮かべ、何やらブツブツと独り言を呟いている。
まるで陽から陰に変わり果てたようなサスケを見て、人々は訝しみの視線を向けるのであった。それは隣を歩く十勇士とて同じこと。
二人してバルジ王国でどんな酷い目にあったのだろうと、いろいろと噂が出回ることになった。

そんなサスケを迎えたモチヅキ家は当初動揺が広がったが、当主であるシンゾウは終始落ち着いた態度で対応し、一先ずは二人を休養させ、心身ともに万全になってから話を聞こうと間をおいた。

そんなシンゾウの判断が正しかったのか、すっかり落ち着きを取り戻したサスケは、同じく回復した十勇士と共に数日後に申し開きをすることになった。

サスケはスミレを連れ帰ってくると息巻いて旅に出た。
それもモチヅキ家の重鎮達である十勇士を引き連れてだ。サスケと意見を共にした十勇士達の意志とはいえ、一応まだ他人様の家の臣下を引き連れて行った以上は、それを率いる者として重い責任が付きまとう。

サスケはものの見事に十勇士を壊滅させて帰ってくるという失態を起こした。しかも肝心のスミレは連れ帰ってもいない。
呆れた口が塞がらないほどの大失態に、サスケがどう言い出すのかに注目が集まった。


「スミレは悪い男にかどわかされている。悪魔のような男だ・・・この里から精鋭を連れ出して、すぐにでも連れ戻す必要がある。そうしなければ、スミレという優秀な後継ぎを産める女をむざむざ手放してしまうことになる！」


鼻息も荒く、サスケはそう言った。
忍者の全戦力を投入してでも、ゴウキを殲滅すべきと訴えたのである。