414 / 508
賢者リノア
取柄無しの女の子
しおりを挟む
ゴウキに懸想し、故郷からの手紙に更に恋の炎を燃え上がらせたスミレ・・・
だが、そんなスミレに負けないほどのゴウキに対する愛の炎をたぎらせている女の子がいる。
それが学園のゴウキの後輩にして、ゴウキ・ファミリーの初代メンバーにして賢者であるリノアである。
攻撃を主体とする黒魔法と、回復や補助を主体とする白魔法の両方を高次元で使用することが出来るという、冒険者の集うバルジ王国でも極めて珍しい存在である。
黒魔法と白魔法は一人の人間が同時に習得することは極めて困難とされているが、それでも稀にそれを成し遂げた者が現れたときは「賢者」としてその者は称えられ、歴史に名を遺すこととなる。
だがリノアは歴代の「賢者」の中でも更に抜きん出た実力を持っていた。歴代の賢者など子供扱いにしてしまうレベルの、まさに「魔法の天才」と言えるほどの化け物がリノアだ。
黒魔法と白魔法の両方を使いこなすだけでなく、それぞれの魔法の特性を利用して融合させ、全く新しい魔法を生み出してしまうことも出来る・・・ 魔法のあり方を根底から覆しかねないだけでなく、世界の軍事バランスさえ影響を与えかねない・・・まさかに「超賢者」と言える存在だ。
しかし、そんなリノアも元から魔法の才能を開花させていたわけではなかった。
リノアは元はバルジ王国内にある僻地の村出身だ。
そこで貧しい農家の末っ子として生まれたリノアは、村でも美人と評判の姉二人の影に隠れた地味な女の子として目立つことなく育つことになる。
農作業をやらせても遅い。姉二人と比べると見た目もパッとしないし、取柄がない。と両親からは出がらし扱いされろくに愛情を与えられることなく育ったが、ある日幼馴染である村長の息子トマスが負った怪我を、特に勉強もしたことがないのに白魔法を偶然発動させて回復させたことから「全く練習しないうちから回復魔法を発動させるなんて、この子は白魔法士としての才能がある」と言われ、リノアは白魔法士の道を目指すことになった。
少ない小遣いを溜めてどうにか白魔法の魔術書を買うと、リノアは穴が空くまでその本を読み通し、独学でひらすら白魔法の練習と研究を重ねた。
ところが知識としては魔術学園の講師になれるほどのものを見に着けたというのに、実技の方はろくに身に付かなかった。幼い頃にトマスの傷を治したのは何かの偶然だったのではないかと言われ続けるようになり、リノアはすっかり自分に自信を無くしていた。
かつて何一つ取柄がない自分にようやく進むべき道を記してくれた白魔法が、結局ろくに身に付くことがなかったことでリノアは人生に絶望すら感じていた。
そんなリノアに優しくしてくれたのは、幼馴染であり、かつて怪我を治した相手であるトマスだった。
だが、そんなスミレに負けないほどのゴウキに対する愛の炎をたぎらせている女の子がいる。
それが学園のゴウキの後輩にして、ゴウキ・ファミリーの初代メンバーにして賢者であるリノアである。
攻撃を主体とする黒魔法と、回復や補助を主体とする白魔法の両方を高次元で使用することが出来るという、冒険者の集うバルジ王国でも極めて珍しい存在である。
黒魔法と白魔法は一人の人間が同時に習得することは極めて困難とされているが、それでも稀にそれを成し遂げた者が現れたときは「賢者」としてその者は称えられ、歴史に名を遺すこととなる。
だがリノアは歴代の「賢者」の中でも更に抜きん出た実力を持っていた。歴代の賢者など子供扱いにしてしまうレベルの、まさに「魔法の天才」と言えるほどの化け物がリノアだ。
黒魔法と白魔法の両方を使いこなすだけでなく、それぞれの魔法の特性を利用して融合させ、全く新しい魔法を生み出してしまうことも出来る・・・ 魔法のあり方を根底から覆しかねないだけでなく、世界の軍事バランスさえ影響を与えかねない・・・まさかに「超賢者」と言える存在だ。
しかし、そんなリノアも元から魔法の才能を開花させていたわけではなかった。
リノアは元はバルジ王国内にある僻地の村出身だ。
そこで貧しい農家の末っ子として生まれたリノアは、村でも美人と評判の姉二人の影に隠れた地味な女の子として目立つことなく育つことになる。
農作業をやらせても遅い。姉二人と比べると見た目もパッとしないし、取柄がない。と両親からは出がらし扱いされろくに愛情を与えられることなく育ったが、ある日幼馴染である村長の息子トマスが負った怪我を、特に勉強もしたことがないのに白魔法を偶然発動させて回復させたことから「全く練習しないうちから回復魔法を発動させるなんて、この子は白魔法士としての才能がある」と言われ、リノアは白魔法士の道を目指すことになった。
少ない小遣いを溜めてどうにか白魔法の魔術書を買うと、リノアは穴が空くまでその本を読み通し、独学でひらすら白魔法の練習と研究を重ねた。
ところが知識としては魔術学園の講師になれるほどのものを見に着けたというのに、実技の方はろくに身に付かなかった。幼い頃にトマスの傷を治したのは何かの偶然だったのではないかと言われ続けるようになり、リノアはすっかり自分に自信を無くしていた。
かつて何一つ取柄がない自分にようやく進むべき道を記してくれた白魔法が、結局ろくに身に付くことがなかったことでリノアは人生に絶望すら感じていた。
そんなリノアに優しくしてくれたのは、幼馴染であり、かつて怪我を治した相手であるトマスだった。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
親友に恋人を奪われた俺は、姉の様に思っていた親友の父親の後妻を貰う事にしました。傷ついた二人の恋愛物語
石のやっさん
恋愛
同世代の輪から浮いていた和也は、村の権力者の息子正一より、とうとう、その輪のなから外されてしまった。幼馴染もかっての婚約者芽瑠も全員正一の物ので、そこに居場所が無いと悟った和也はそれを受け入れる事にした。
本来なら絶望的な状況の筈だが……和也の顔は笑っていた。
『勇者からの追放物』を書く時にに集めた資料を基に異世界でなくどこかの日本にありそうな架空な場所での物語を書いてみました。
「25周年アニバーサリーカップ」出展にあたり 主人公の年齢を25歳 ヒロインの年齢を30歳にしました。
カクヨムでカクヨムコン10に応募して中間突破した作品を加筆修正した作品です。
大きく物語は変わりませんが、所々、加筆修正が入ります。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる