『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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賢者リノア

人探しのプロ

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ゴウキ・ファミリーが号令をかけ、リノア探しのために手を尽くした結果、舎弟の一人が人探しのプロを見つけてきた。


「入って貰ってくれ」


ゴウキは一もにもなくそう言うと、人探しのプロに入室させるように促す。


「へっへ・・・毎度どうも」


入室してきたのは、小柄で身なりの小汚い中年の男だった。


「アッシの名はジョルジュ。チンケな情報屋をやっておりますが、人探しとあらばアッシの右に出る者はいないと自負しております」


ジョルジュと名乗った男は、そう言って恭しく頭を下げる。
身なりは小汚いが、それなりに作法は様になっていた。


「金は惜しまねぇ。俺の仲間を探してほしい。だが、本当に出来るのか?」


今でもファミリー総出をかけて捜索し、忍者であるスミレの情報網にもひっかからないリノアの行方が本当に掴めるのかゴウキは疑問に思っていた。
ゴウキの問いに対し、ジョルジュは「へっへっへ」と下品に笑って答える。


「今回の件。お探しの方は、どうやら『認識阻害』の類のスキルを使って行方を眩ませているものと考えられます」


「認識阻害・・・?」


「左様です。恐らくこうも見つからないということは、既存の魔法でもない、何か新しい方法・・・例えば、新作の魔道具だとか?とにかく、目で見ても認識することが出来ないよう、特殊はフィルターに包んだ状態で姿を眩まされたわけだと推測します。だから誰の記憶にも残らないし、情報が得られないのです」


ジョルジュの言葉に周囲で聞いていた者達は半信半疑だったが、それでもゴウキは合点がいったかのようだった。



「まぁ、それくらいのことがないと説明がつかないわな」


「おや、随分とご理解がお早いようで」


「そういう超常的なことを、俺の仲間達はこれまで何度もやってみせてくれたからな。もう何が起きても驚かないわ」


ゴウキの言葉に、ジョルジュは笑いながら頷いた。


「話の早い方は好きです。それで、結論を言いますと、アッシの捜索方法は視覚に頼らない『嗅覚』によるものです。だから、どれだけ認識阻害されても騙されることなく探し人の元まで辿り着くことが出来ます」


「匂いでか・・・?」


「えぇ。ですから、探し人の匂いのあるもの・・・強いものならなお良いですがね。それさえいただければ見つけてごらんにいれます」


「なっ・・・!」


ジョルジュの言葉に、スミレが嫌悪で顔を歪める。
忍者とて嗅覚を頼りに行動することはあるが、人を探すまでのことはしない。
目の前の小汚い男が、リノアの私物の匂いを嗅いで追跡するということが、どうしても理解出来なかった。
リノアとて、自分の捜索のためとはいえ、私物を見知らぬ男が手にとって匂いまで嗅いだとあらば、嫌悪で悲鳴を上げるのではないか。

だが、ゴウキは迷うことなくジョルジュに頭を下げて言った。


「よろしく頼む。リノアを見つけ出してほしい」


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