『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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賢者リノア

仲間はフォローしあおう (言い訳)

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スミレの懸念通り、彼女が囚われた先から戻ってきた頃には全てが終わっていた。
リノアのストーカーは制裁を受け、抵抗勢力は一掃。裏でこそこそやっていたセントラルギルドの職員はファミリーの手下どもが見つけて制裁。

そしてリノアは救出され、ゴウキと良い雰囲気になっている。


「出番・・・なかったな」


後からやってきたデニスが苦笑いを浮かべて言った。


「アタシは少しはやることやっ・・・いや、なんでもない」


目に涙を浮かべながら、スミレは館に近づくまでの罠の解除で貢献したわ!と抗議したかったが、トマスが仕掛けた罠に気付かずに全員を巻き込んでしまうという失態を犯したので、悔しそうに歯噛みしながらも口を閉ざした。


「ちっ、それにしてもとんでもねーもん仕掛けてたんだな・・・」


スミレはそう言って悔しそうに俯く。
館周辺全てを吹き飛ばす爆発魔法が作動する仕掛けがあることを知ったスミレは、それに気づけなかった自分を恥じていた。
もしかしたらゴウキ達全員がその仕掛けで死んでいた可能性もあっただけに、スミレからすれば悔いても悔いても悔い切れない。忍者は罠のエキスパート。罠にかかって死ぬなど恥以外の何物でもない。スミレは忍者としてのプライドを深く傷つけられていた。

そんなスミレを気遣うようにデニスが言う。


「罠を作ったやつのスキルが高かったんだ・・・仕方がない」


「でも・・・」


それでもトマスにしてやられたという気分は晴れないスミレ。
そんなスミレにデニスは続けた。


「スミレは確かに脅威を見落とした・・・でも、結果としては全員無事だった。・・・のお陰だ」


そう言ってファミリーの手下たちをデニスは親指で指し示す。
手下たちはゴウキ達に命令されたわけでもなく、何か助力になればと思って後からついてきた者達だった。


「なんでも一人で背負わなくて・・・良いんじゃないかな・・・?仲間がいれば、フォローしあえば・・・」


「デニス・・・」


スミレはファミリーの手下たちのことを、心の底では急に増えた仲間程度にしか考えていなかった。
いや、いつ離反してもおかしく無い分、仲間という括りにして良いかすら迷うレベル・・・つまりは軽んじて見ていたのである。

だが、今回スミレは彼らにむしろ助けられた。
彼らを見る目を変え、傲慢だった自分を見つめなおさなければならないなとスミレは猛省した。


「・・・って、デニスは自分にそう言い聞かせてるんだな?」


「・・・」


スミレの指摘に、デニスは黙っているだけだった。良く見ると冷や汗をかいている。
スミレへの慰めは、一周回って実のところデニス自身のフォローでもあった。
何しろデニスは今回、本当に何も活躍できなかったのだから。
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