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キラが選ばれたのは大人の事情
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「勇者のリストラねぇ・・・簡単に言ってくれる」
一度王室から勇者と認定された者は、強い権利と庇護がある。
他に適任者が現れたので~~と、簡単に勇者の称号を無かったことにはできないのである。
だから王調に依頼が来た。簡単に言えば難癖をつけて勇者を一人、称号の剥奪まで追い落としてほしいと。それも、可及的速やかに。
人を勇者と認定して持ち上げておいて、勝手な都合でその称号を取り上げる。まさに鬼畜のような所業だが、そういった汚れ役を買って出るのも王室調査室の仕事の一つでもあった。
「・・・あたりをつけるなら、この辺りだろう」
シンが目を付けたのは、勇者キラ。
「特に可もなく不可もなくという勇者ですね。どうして彼なんですか?他に素行の微妙な勇者なら何人かいますが」
シンの後輩であるレイは疑問を呈した。
脛に傷を持つ勇者は他にもいる。
わざわざ無傷に見える勇者に的を絞るのはどうしてかとレイは気になったのだ。
「キラは平民上がりの勇者で、多少強引に称号の剥奪をしても政治的な影響は恐らくほとんどない」
そういった理由でキラに目がつけられたとシンは説明する。
嫌な理由だ。シンは自分で言っていてそう感じた。
他の勇者は出自が貴族だったり、勇者認定の際に有力貴族の推薦があったりとにかく後が面倒になりそうな者ばかりだったのだ。
理由はともかく、シンは早速キラに狙いを絞って常時監視の目をつけた。
『冒険の書』には書いてあるものの、実質は忠告の一つでしかない『軽犯罪による失点』を実行する。
シンがキラに言ったような王室からの勇者の監視など本当はほとんどない。危険を身に纏う勇者の監視など、そんなことが無難にこなせるような優秀な人材を常時30人分展開し続けるなど不可能だ。
だが、なんとしてもキラを勇者から降ろさねばならぬシンは、心を鬼にして彼を監視し続けた。
僅かな失点も目ざとくカウントし、ある程度の点数まではいったものの、称号の剥奪にいたるまでの数字にはならず、結局打ち止めになってしまった。
「キラ!それは駄目よ。・・・人の目があるから」
それは勇者キラを常時サポートするマリアの存在のためである。
彼女はキラの失点がある程度までいくと、何かに気付いたのかキラの行動を細かくチェックするようになった。
勇者キラは自体は実に脇が甘い。勇者とは常に大衆に見られる存在であるという認識が足りていない。
シンは数日のキラの監視でそのことにすぐに気が付いた。
実際、マリアがキラの行動を細かく制していなければ、すぐにでも失点が嵩み称号の剥奪まですぐだったかもしれないなとシンは考えていた。いや、マリアがいなければそもそも勇者になることも叶わなかったはず。
「実に優秀だ。王調に欲しいな・・・」
そう、マリアは実に優秀な人間だと思った。
非戦闘員ではあるが、彼女の勇者パーティーにおける貢献は、並みの戦闘員より遥かに大きいものなのではないか。
シンは感心すると同時に、マリアがいる限りはキラを追い落とすのは不可能かもしれないと考え始めた。
時間は無いが、今からでも他の勇者にターゲットを変えるか?
そう考えていたときだった。勇者キラがおろかにも自身のアキレス腱であるマリアをパーティーから追放したのは。
一度王室から勇者と認定された者は、強い権利と庇護がある。
他に適任者が現れたので~~と、簡単に勇者の称号を無かったことにはできないのである。
だから王調に依頼が来た。簡単に言えば難癖をつけて勇者を一人、称号の剥奪まで追い落としてほしいと。それも、可及的速やかに。
人を勇者と認定して持ち上げておいて、勝手な都合でその称号を取り上げる。まさに鬼畜のような所業だが、そういった汚れ役を買って出るのも王室調査室の仕事の一つでもあった。
「・・・あたりをつけるなら、この辺りだろう」
シンが目を付けたのは、勇者キラ。
「特に可もなく不可もなくという勇者ですね。どうして彼なんですか?他に素行の微妙な勇者なら何人かいますが」
シンの後輩であるレイは疑問を呈した。
脛に傷を持つ勇者は他にもいる。
わざわざ無傷に見える勇者に的を絞るのはどうしてかとレイは気になったのだ。
「キラは平民上がりの勇者で、多少強引に称号の剥奪をしても政治的な影響は恐らくほとんどない」
そういった理由でキラに目がつけられたとシンは説明する。
嫌な理由だ。シンは自分で言っていてそう感じた。
他の勇者は出自が貴族だったり、勇者認定の際に有力貴族の推薦があったりとにかく後が面倒になりそうな者ばかりだったのだ。
理由はともかく、シンは早速キラに狙いを絞って常時監視の目をつけた。
『冒険の書』には書いてあるものの、実質は忠告の一つでしかない『軽犯罪による失点』を実行する。
シンがキラに言ったような王室からの勇者の監視など本当はほとんどない。危険を身に纏う勇者の監視など、そんなことが無難にこなせるような優秀な人材を常時30人分展開し続けるなど不可能だ。
だが、なんとしてもキラを勇者から降ろさねばならぬシンは、心を鬼にして彼を監視し続けた。
僅かな失点も目ざとくカウントし、ある程度の点数まではいったものの、称号の剥奪にいたるまでの数字にはならず、結局打ち止めになってしまった。
「キラ!それは駄目よ。・・・人の目があるから」
それは勇者キラを常時サポートするマリアの存在のためである。
彼女はキラの失点がある程度までいくと、何かに気付いたのかキラの行動を細かくチェックするようになった。
勇者キラは自体は実に脇が甘い。勇者とは常に大衆に見られる存在であるという認識が足りていない。
シンは数日のキラの監視でそのことにすぐに気が付いた。
実際、マリアがキラの行動を細かく制していなければ、すぐにでも失点が嵩み称号の剥奪まですぐだったかもしれないなとシンは考えていた。いや、マリアがいなければそもそも勇者になることも叶わなかったはず。
「実に優秀だ。王調に欲しいな・・・」
そう、マリアは実に優秀な人間だと思った。
非戦闘員ではあるが、彼女の勇者パーティーにおける貢献は、並みの戦闘員より遥かに大きいものなのではないか。
シンは感心すると同時に、マリアがいる限りはキラを追い落とすのは不可能かもしれないと考え始めた。
時間は無いが、今からでも他の勇者にターゲットを変えるか?
そう考えていたときだった。勇者キラがおろかにも自身のアキレス腱であるマリアをパーティーから追放したのは。
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