勇者の処分いたします

はにわ

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勇者エクスの絶体絶命

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「ぐっ・・・がっ・・・なに・・・!?」


エクスは倒れこみ、ついには手に持ったエクスカリバーを手から離した。
猛烈な眠気、そして全身の痺れ、口すら思うように動かず、立つことはおろか魔術を使うことも叶わない。


「ようやく『毒』が効いてくれましたか。あと少し遅かったら、命があったかわかりませんね。助かりました」


無表情だが、どこかホッとしたようにシンが言った。


「ギリギリまで挑発してまで時間を稼いだ私のお陰でもありますよね」


レイは胸を張って言うが、そんな彼女も冷や汗をかいていた。
ギリギリのタイミングだった。もしタイミングが外れ、エクスが剣を振り回していたのなら、この場にいるシンとレイの命があったかはわからない。


「いった・・・い、なにが・・・」


毒?いつの間に盛られた?
今動けないのはその毒のせいなのか!?

エクスは意識が遠のきそうになりながらも、驚異的な精神力で意識を飛ばさずに堪え凌いでいた。常人なら既に意識はない。付しているとはいえ、まだ口を聞いていられるのは飛びぬけた力を持つ勇者エクスならではだった。


「正面から挑まれては勝ち目があるかがわかりませんので、一計を案じさせていただいたのですよ。それが『毒』です。強力なものなのですが、こうして意識を保っていられるあたり、これが効くかもギリギリの賭けだったようですね」


語りながらも、シンは特殊な縄をどこからか取り出し、レイと一緒になってエクスの体を手早く縛り付けていく。
あっと言う間にエクスは全身を縛られてしまった。


「ドラゴンですら昏倒し、下手をすれば再起不能になるほどの強力な毒です。自然界にあるものと違い、貴方をこうして無力化するためにラダームとラバースが共同開発したものになります。そしてその縄は、強化魔法により縛り付けられればドラゴンですら引きちぎることは不可能とされるほど強固になったものです。もう貴方が逃げ出すことはできませんよ」


既に万事休す。どうあっても動けない。これで自分は彼らの言いなりになるしかないのか・・・
エクスの心に僅かに絶望がよぎる。

だが、エクスの悪あがきはシン達の想像以上の力を生もうとしていた。
彼の自由への渇望は、誰よりも強く、そして信じられぬほどの力を引き起こした。


(動く・・・!)


痺れていた体が動く。力が入る。
自身の体を侵蝕していた毒を、もう少しで跳ねのけようとできるところまで活力が湧いてくるのを感じる。
エクスの勇者としての力が、今彼を拘束から解き放とうとしていた。


「一つだけ聞いていいですか?どうやって俺に毒を盛ったんです?全然気が付かなかった」


エクスは脱出しようとしているのを悟られまいと、縛られた体勢のまま質問した。
これに対し、毒が効いているはずなのに流暢に話出したことにシンは即座に違和感を抱いた。
直感でシンはエクスが毒に打ち勝とうとしていることに気が付いた。驚異の精神力だ。デタラメだ。あり得ない。
様々な言葉が頭をよぎるが、もう少しで動き出そうとしていると察したシンは、身構える。かくなる上は玉砕覚悟で挑むしかないのかとーー

だが、そんな空気を破ったのは、いつの間にか倒れたエクスの傍に立っていたビアンだった。


「貴方に毒を盛ったのは私よ。エクス」


「えっ・・・?」


ビアンの言葉を聞いた瞬間、エクスはガクンと脱力した。
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