追放の破戒僧は女難から逃げられない

はにわ

文字の大きさ
495 / 506

狂愛のお開き

しおりを挟む
「俺は元々、ルドルフ殿下の下に付きつつ、監視をするよう命令されてたんだ」


ミケランジェロは話をしながら、ルドルフを丁寧に縛り上げていく。
彼は何も自分語りをしたくてしているのではない。シュウに洗いざらい話せと言われて、仕方がないから話ながらの作業になっているのだ。


「殿下の今回の魔物じじい家襲撃は、お前達の身柄の確保が目的だったが、俺はこれに乗じて魔物じじいを暗殺するようにと命令された・・・いてっ!」


自白するミケランジェロに、シュウが蹴りを入れる。魔物じじい暗殺のところで腹が立ったのだ。


「言っておくが、今回は俺が命令を受けてこうして出向いたがな。世界中で魔物じじいの存在が邪魔だと思ってるやつは多いんだぜ。またいつどこで俺と同じようなのが派遣されてくるかわから・・・いててっ!」


グサグサっと、ゴブリン達が持っていたナイフを玩具のように投げてミケランジェロに刺していくシュウ。


「魔物じじいの存在が邪魔・・・って?商売敵でも存在するんですか?」


フローラの疑問に、ミケランジェロが答えた。


「魔物じじいのお陰で利益を得ている人がいる。命の助かってる人がいる。けど、一方で不利益を被る人がいて、目的に不都合が生じている人もいる。俺に言えるのはそれだけさ」


これ以上は恐れ多くて言えたもんじゃねぇ、とミケランジェロは作業に戻る。


「勿体ぶりますね。やはりやってしまっても良いのでは?」


中途半端な答えを聞いて不満なフローラが怖いことを言うのでミケランジェロは怯えるが、シュウは首を横に振る。


「今更ですが、深入りはやめておきましょう。大体の想像はつきますが、聞いたら聞いたで頭痛に悩まされることになりそうです」


そう言ってから「はぁ・・・」と、シュウはため息をついた。
察するにどうせルドルフの兄弟かなんかが絡んでいる事案だと思われるが、首を突っ込みたくない案件だ。
既にいろいろな人間の思惑による様々な面倒に巻き込まれているというのに、これ以上頭痛の種を増やしたいとは思わなかった。
それと怒涛のように押し寄せるトラブルですっかり忘れそうになるが、シュウ達はそもそも追われる身なのだ。ただでさえワケアリの身の上である。


「今回私達は何も見なかった。何も知らなかった。これで良いでしょう」


皇族をボコボコにして、その身柄をよくわからん男に差し出したという不都合なことは無かったことにする、とシュウは決めた。じゃないと今度こそ帝国は国を挙げての捜索に乗り出してくるし、捕まれば裁判なしで死刑になってしまう。


「俺だって危ない身の上だ。お互い、ここは痛み分けってことで手打ちといこうや」


襲撃してきた側でありながら図々しいことを言うミケランジェロだが、シュウからすれば異論は無かった。

ルドルフはミケランジェロによって厳重に縄で縛られ、魔法が使えなくなる封魔の札を幾重にも貼られて封印された。罪人以上に苛烈な扱いだが、存在自体が危険物のような人間なのでこれくらいで丁度良いかとシュウは考える。


「終わりましたか・・・」


こうして魔物じじい宅襲撃の件はお開き・・・となりそうなところだったが、最後の最後で予期せぬことがこの後起きるのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

処理中です...