聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

運命の女?

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その場に現れたのはカイだった。
見慣れぬ男の登場に、国王の頭は混乱する。更に敵が増えたのか?と一瞬思ったが、どうにも様子がおかしいと気付く。
カイはクリスから見て国王の前に立ちはだかる位置にいたからだ。


「あらぁ♪」


クリスは艶のある色で、歓喜の声を上げた。
ドスッとクリスは手にしていた聖剣を地面に突き刺し、両手を合わせて喜びを表現している。


「まさかまさか、本当にカイが生きていたなんて。いえ、ワタクシは信じていましたわ♪流石ワタクシの運命の人・・・」


クリスはうっとりした表情で熱い視線をカイに向ける。そんなクリスの様子に国王は唖然としてただ見ていることしか出来なかった。
カイはというと「はぁ」と呆れたように溜め息を洩らす。


「運命の人じゃねぇって何度も言ってるだろ?ったく」


そしてカイは腰を落とし、自分の聖剣に手をかける。


「あら、こうして異郷の地で唐突に出会えたことが何よりの証拠ではなくて?」


カイが戦闘態勢を見せているのに、クリスは大剣を手に取ろうともしない。完全に隙だらけだった。だが、カイは動かない。国王はそんなカイの様子を怪訝な目で見ていた。


(何故だ?何故攻撃しない?何かの不文律か?・・・それとも、攻撃できない何かが?)


何にせよ、国王では例え隙だらけでもクリスを倒す武器を持たない。なので彼は見ているしかなかった。

・・・が、そうではない人間もそこにはいた。木々に潜み、攻撃の機会を伺っていた他の近衛騎士達だった。


(勝機!)


どうしてカイが攻撃しないのかは置いておいて、近衛騎士達は息をひそめ、思い立って一気にクリスに斬りかかった。クリスは動かない。大剣に手も付けない。勝った!そう思った。


「なっ・・・」


だが、近衛騎士達はクリスに斬りかかることが出来なかった。気が付いたら、彼らの体が胴から真横に真っ二つになっていたのだ。

ズシャッ


近衛騎士達は自分の体に何が起こっているのかも理解できず、そのまま地面に転がって絶命した。


「あらあら、野暮は嫌われますことよ♪まぁ、強引な殿方も嫌いではありませんが・・・」


ペロッと舌なめずりとして怪しく微笑むクリス。
クリスの手には大剣は握られていない。だが、まるで見えない何かを掴んでいるようにクリスの手は何か握りしめている形になっている。


「ったく、厄介な女だ。お前がユーライに派遣される情報をキャッチできて良かったよ。サンクレアで戦って、他のやつに邪魔されたら流石に勝てるかわからねぇからな」


カイは冷や汗を滲ませてそう言った。
カイが警戒した聖騎士クリス。カイはクリスがユーライ王家残党狩りに派遣されたという情報を聞き出し、有利な条件で彼女を排除しようと、悟られぬよう気を遣いながら尾けまわしていたのだ。
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