聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

クリスの聖剣

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聖騎士クリス。

ラビス教の司教を父に持ち、生まれたときから高い聖力を持っていた彼女は、両親から将来は聖女になれると強い期待を背負って育ってきた。

が、しかし自由奔放なクリスは、両親の期待に添うことなく騎士団に入団してしまう。
これには両親も落胆したが、結果としてクリスは騎士団でもトップに近い成績を叩き出し、聖騎士に任命されるに至った。ちなみに騎士団に入ったのは、男漁りが用意であるためという理由があった。

普通なら性に奔放なクリスが聖騎士に選ばれることなどあり得ない。聖騎士は純潔を失うと聖力を失う・・・と言われていたからだ。だが、クリスは聖騎士に選ばれた。それは、元よりある高い聖力のために、純潔を失って損なれてなお高い聖力が残った・・・と言われている。
まぁ、面と向かってクリスに対して性に奔放であることを突きつけた者はいないので、あくまで噂レベルのことではあるのだが。


だが実際のところ、クリスの素質は本来聖女も聖騎士のものを併せ持つ。
貞淑でさえあればどれだけ名の残る偉人となっていたか、と悔やまれるほどに、現在のクリスも強かった。

そしてその強いクリスの持つ聖剣・・・幼い頃よりクリスの侍女として仕えたアルマが聖女として作り上げた大剣は、まさにクリスという人間を表すに相応しい聖剣だった。
大胆豪胆圧倒的な力、まさにクリスそのものだと誰もがそう思った。


だが、実際は違う。大剣を振り回しているのはあくまで世間に向けている仮の姿なのだ。あまりにイメージが合い過ぎていて誰も疑問には思わない・・・これを知るのは実際に戦場で共に戦う聖騎士と聖女くらいだ。

クリスの本当の聖剣・・・それは、形の無い聖剣ーーである。
大剣はフェイク。その実、槍にも鞭にも弓にもある変幻自在なそれこそが彼女の真の聖剣であった。
見た目も形も自由なので、目に見えない『糸』にすることもクリスの意志一つで可能だ。近衛騎士団はの姿になった聖剣に気付かぬまま、見えないそれによって体を切り裂かれることになった。


自由奔放ーー

まさにクリスぴったりだとカイは以前彼女に皮肉めいて言ったことがある。それに対して「流石運命の人、カイですわね。ワタクシのことをわかっておられますわ」と返されてカイは苦い顔をした。

カイはクリスが聖剣を目に見えない糸の形にしていたことを察し、動かないでいたのだった。
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