聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

国家転覆

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「サンクレアの聖騎士が私に願いだと?私の命を救ってくれたことには感謝するが、亡国になろうとしているこの国の王でしかない私に、出来ることなど限られておるぞ」


ユーライ王は渋面して言った。
彼はサンクレアの聖騎士については顔を知っていたのでカイのこともすぐにわかった。聖騎士は魔王討伐の最大の功労者たちであるだけに、世界的に有名なので当然だった。



「いえ、今のユーライ王であればこそ出来ることなのです」


「なんと・・・?」


カイはこの時を待っていた。
サンクレアが魔族との二面戦争を避けるために、遠からず後回しにしていたユーライ侵攻計画を実行することは読んでいた。そのタイミングでどうにか王のピンチに駆け付ける体で恩を売ろうと考えていたのだ。
普通に考えればそうそううまくいくはずもない計画であり、アテが外れたら外れたで違うプランを考えていたが、いずれ排除せねばならぬクリスを排除できるタイミングと丁度重なってユーライ王に近づくことが出来たのは、まさにこれ以上ない僥倖であると言えた。


「俺はサンクレアを転覆させるつもりです。そのためには、ユーライ王とユーライ軍の力が必要なんですよ」


「なっ・・・」


サンクレアの元聖騎士の口から出たとは思えない言葉を聞いて、ユーライ王は硬直する。


「その代わり、俺はユーライ軍が首都を奪還するのに手を貸しましょう」


続けて言うカイの言葉に、さらにユーライ王は驚愕した。


「事情は知らぬが、其方はサンクレアの聖騎士ではないのか?どうして祖国を転覆させるなどと言う?」


ユーライ王のイメージとしては、サンクレアの騎士・・・特に聖騎士と聖女は女神ラビスに対し狂信的なイメージがあった。実際はカイとクリスが異端なだけで、本来は概ねその通りなのだが、とにかくカイの言動が突拍子もなさ過ぎて信じがたいところがあった。しかし、実際に他の聖騎士から自分の身を守ってくれたカイのことを、信じたいと言う気持ちもあり、複雑であった。


「愛するの人のため・・・というのが一番のところなんですがね。それと、サンクレアは尽くしてきた俺に報いてくれなかった。その恨みってのもありますが・・・どうですか?これで信じてもらえますか?」


ユーライ王は話がよくは見えなかったが、結局のところ「亡国の王がこれ以上失敗を重ねたとて何が変わる?」と考え、カイの申し出を受けることに決めた。
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