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反逆
騎士団の蛮行
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ユーライ国の首都はサンクレアの進駐軍によって占拠されている。
暫定政府の設立、首都の治安維持、そして異教徒の矯正など、進駐軍の仕事は多い。
祖国から離れて年単位は任地から帰って来られぬこの進駐軍ではあるが、意外とこの任務に就くことを希望する騎士は多い。その理由は・・・
「きゃあああああ!離して!」
「おい!暴れるんじゃあない!!」
街で一人の少女を進駐軍の騎士達が囲う。少女は無理矢理に体を騎士に引き寄せられ、その柔肌をまさぐられていた。
「痛い目に遭いたくなければ大人しくしてな」
下品に笑いながら、男はそのまま少女を人気の無い路地へ連れて行く。周囲にいるユーライ国民は、その光景を見て見ぬふりをしていた。下手に口を出せば、騎士達にその場で斬り殺されるからだ。法が進駐軍となってしまったこの首都では、サンクレアの騎士達には誰もが逆らえない。
財は略奪さえ、良い酒は飲まれ、女は犯される、これが進駐軍が占拠するユーライ首都の日常であった。
祖国に帰れば妻子ある騎士とて、ここでは野獣のように欲望に忠実になる。
異教徒には何をしても良いーー それが進駐軍の、否、ラビス教の意思だからだ。この占拠地では、サンクレアの騎士が現地民に何をしたところで咎める者はいない。
進駐軍はこうして占領地で非道の限りを尽くし、現地民をとことん疲弊させた頃にラビスの教えを説く。
ラビスの教えに恭順な者には優しくするようにすると、どれだけ頑固な異教徒も概ねラビス教に傾倒するようになるのだ。これがサンクレア騎士団の布教・・・いや洗脳方法であった。
ちなみに、ユーライを一足早く離れ、祖国で戦勝パレードに出ることになったハルトは、占領地でのこの有様を知らない。ハルトを英雄として称えるためという政治的な意味合いもあったが、何よりハルトは純粋過ぎて融通の利かないので、進駐軍の行いを知ると怒りで何をし出すかわからないーーーというアドル騎士団長の判断もあった。
ーーーーー
「で、どうだ?町のほうは」
かつてユーライ王が使っていた王城の政務室で、進駐軍の最高司令長官のジーミルは椅子にふんぞり返って机に足を乗せて部下の報告を聞いていた。
「はい。やはり先代国王が今だ健在であるという希望があるからか、国民の反発は強く、反乱分子も残っている模様です。到底布教出来る段階にありません」
「ふん!やはりろくな文化を持たぬ土人というやつだな。おい、多少手荒にしても良いから、もっと早く布教が出来る状態に持っていけるように各責任者に伝えろ!」
不機嫌そうにジーミルが言うと、部下は「承知しました!」と言い、敬礼をして部屋を出ていった。
それと入れ違いに、別の騎士が部屋に訪れた。
その騎士の報告は、進駐軍の最後の訪れを示すものであった。
暫定政府の設立、首都の治安維持、そして異教徒の矯正など、進駐軍の仕事は多い。
祖国から離れて年単位は任地から帰って来られぬこの進駐軍ではあるが、意外とこの任務に就くことを希望する騎士は多い。その理由は・・・
「きゃあああああ!離して!」
「おい!暴れるんじゃあない!!」
街で一人の少女を進駐軍の騎士達が囲う。少女は無理矢理に体を騎士に引き寄せられ、その柔肌をまさぐられていた。
「痛い目に遭いたくなければ大人しくしてな」
下品に笑いながら、男はそのまま少女を人気の無い路地へ連れて行く。周囲にいるユーライ国民は、その光景を見て見ぬふりをしていた。下手に口を出せば、騎士達にその場で斬り殺されるからだ。法が進駐軍となってしまったこの首都では、サンクレアの騎士達には誰もが逆らえない。
財は略奪さえ、良い酒は飲まれ、女は犯される、これが進駐軍が占拠するユーライ首都の日常であった。
祖国に帰れば妻子ある騎士とて、ここでは野獣のように欲望に忠実になる。
異教徒には何をしても良いーー それが進駐軍の、否、ラビス教の意思だからだ。この占拠地では、サンクレアの騎士が現地民に何をしたところで咎める者はいない。
進駐軍はこうして占領地で非道の限りを尽くし、現地民をとことん疲弊させた頃にラビスの教えを説く。
ラビスの教えに恭順な者には優しくするようにすると、どれだけ頑固な異教徒も概ねラビス教に傾倒するようになるのだ。これがサンクレア騎士団の布教・・・いや洗脳方法であった。
ちなみに、ユーライを一足早く離れ、祖国で戦勝パレードに出ることになったハルトは、占領地でのこの有様を知らない。ハルトを英雄として称えるためという政治的な意味合いもあったが、何よりハルトは純粋過ぎて融通の利かないので、進駐軍の行いを知ると怒りで何をし出すかわからないーーーというアドル騎士団長の判断もあった。
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「で、どうだ?町のほうは」
かつてユーライ王が使っていた王城の政務室で、進駐軍の最高司令長官のジーミルは椅子にふんぞり返って机に足を乗せて部下の報告を聞いていた。
「はい。やはり先代国王が今だ健在であるという希望があるからか、国民の反発は強く、反乱分子も残っている模様です。到底布教出来る段階にありません」
「ふん!やはりろくな文化を持たぬ土人というやつだな。おい、多少手荒にしても良いから、もっと早く布教が出来る状態に持っていけるように各責任者に伝えろ!」
不機嫌そうにジーミルが言うと、部下は「承知しました!」と言い、敬礼をして部屋を出ていった。
それと入れ違いに、別の騎士が部屋に訪れた。
その騎士の報告は、進駐軍の最後の訪れを示すものであった。
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