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反逆
もう一つの目的
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「クリス様ぁぁぁぁぁ!!」
半狂乱になったアルマが、魔法障壁を解いてクリスの元へ駆けつけようとする。
絶対に敗れるはずがない、死ぬはずがないと信頼を寄せ仕えていたクリスがカイの刃に倒れたことで、完全に取り乱していた。
すぐに助けなければならない、アルマは自身の全聖力を使い、クリスの治療を試みようと彼女の元に駆け寄ろうとした。
だが、それをカイがみすみす許すはずもない。
カイは無情にも戦意のないアルマに向けて剣を振るうと、アルマは実にあっけなく血を流し地に伏した。
「クリスと一緒にいたってことは、イリスに呪いをかけさせたのも何もかも見て見ぬふりしてたんだろ?ま、同罪ってことで」
カイはそう吐き捨てると、ジッとアルマを見下ろした。
「よくも・・・クリス様を・・・!」
体を斬られ、大量の出血をして今まさに死の淵にいるアルマは、なおも気丈にカイを睨みつけていた。
憎しみに染まった、射貫いてくるようなアルマの目を見ながら、カイは倒れたクリスのとどめを刺そうと向き直った。
首さえ刎ねてしまえば、いかに聖女といえど蘇生させることはできない。万が一のことも懸念し、カイは倒れ伏したクリスに向けて歩き出す。
「カイ・・・地獄へ・・・落ちろ・・・」
絞り出すような呪いの言葉を吐くと、それっきりアルマの声は何も聞こえなくなった。
愛する者のために進み続けると決めたカイは、かつての仲間の死を知っても一切振り返ることはない。ただただ無言でクリスの元へ歩み寄る。
「ちっ・・・」
倒れているクリスの顔を見て、カイは舌打ちをする。
クリスの顔は笑っていた。苦痛や怒りに歪めることなく、ただクリスは楽しそうに口角を上げたままこと切れていた。
クリスは誰から見てもわかるくらい、カイに執着していた。
そんなクリスにとっては、カイの手によって葬られたとしてもそれはそれで本望なのだろうとカイは思った。
別に今のカイにとっては復讐が主目的ではないが、それでもイリスを陥れたクリスが死のその瞬間まで幸せそうにしているのはどうにもひっかかってならなかった。
「ま・・・とりあえずは目的の一つのほうは達成・・・と」
カイがそう言った次の瞬間、躊躇うことなくクリスの首を落とした。
「さて」
剣についた血を拭き取ると、カイはもう一つの目的のほうへ向き直る。
カイの視線の先には、呆然としているユーライ国の国王がいた。
「王様。これで一つ借りが出来たと思って、一つだけ俺の願いをかなえてはくれませんかね?」
カイの言葉を聞いて、ユーライ国王はキョトンとした。
半狂乱になったアルマが、魔法障壁を解いてクリスの元へ駆けつけようとする。
絶対に敗れるはずがない、死ぬはずがないと信頼を寄せ仕えていたクリスがカイの刃に倒れたことで、完全に取り乱していた。
すぐに助けなければならない、アルマは自身の全聖力を使い、クリスの治療を試みようと彼女の元に駆け寄ろうとした。
だが、それをカイがみすみす許すはずもない。
カイは無情にも戦意のないアルマに向けて剣を振るうと、アルマは実にあっけなく血を流し地に伏した。
「クリスと一緒にいたってことは、イリスに呪いをかけさせたのも何もかも見て見ぬふりしてたんだろ?ま、同罪ってことで」
カイはそう吐き捨てると、ジッとアルマを見下ろした。
「よくも・・・クリス様を・・・!」
体を斬られ、大量の出血をして今まさに死の淵にいるアルマは、なおも気丈にカイを睨みつけていた。
憎しみに染まった、射貫いてくるようなアルマの目を見ながら、カイは倒れたクリスのとどめを刺そうと向き直った。
首さえ刎ねてしまえば、いかに聖女といえど蘇生させることはできない。万が一のことも懸念し、カイは倒れ伏したクリスに向けて歩き出す。
「カイ・・・地獄へ・・・落ちろ・・・」
絞り出すような呪いの言葉を吐くと、それっきりアルマの声は何も聞こえなくなった。
愛する者のために進み続けると決めたカイは、かつての仲間の死を知っても一切振り返ることはない。ただただ無言でクリスの元へ歩み寄る。
「ちっ・・・」
倒れているクリスの顔を見て、カイは舌打ちをする。
クリスの顔は笑っていた。苦痛や怒りに歪めることなく、ただクリスは楽しそうに口角を上げたままこと切れていた。
クリスは誰から見てもわかるくらい、カイに執着していた。
そんなクリスにとっては、カイの手によって葬られたとしてもそれはそれで本望なのだろうとカイは思った。
別に今のカイにとっては復讐が主目的ではないが、それでもイリスを陥れたクリスが死のその瞬間まで幸せそうにしているのはどうにもひっかかってならなかった。
「ま・・・とりあえずは目的の一つのほうは達成・・・と」
カイがそう言った次の瞬間、躊躇うことなくクリスの首を落とした。
「さて」
剣についた血を拭き取ると、カイはもう一つの目的のほうへ向き直る。
カイの視線の先には、呆然としているユーライ国の国王がいた。
「王様。これで一つ借りが出来たと思って、一つだけ俺の願いをかなえてはくれませんかね?」
カイの言葉を聞いて、ユーライ国王はキョトンとした。
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