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反逆
挑まれた聖戦
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首都においてカイによる攪乱工作が行われたその日、ジーミルは本国に至急状況説明するために伝令を出した。
だがその返事が来るどころか伝令がサンクレアに到着する間もなく、ジーミルの元に嫌な報告が上がった。
「首都近郊に反乱軍が集結している模様です!数はおよそ2000!『これより横暴たるサンクレアの蛮族どもに鉄槌を下す聖戦を挑む』と、前ユーライ国王が声明を出しております」
部下のその報告を聞いて、ジーミルは血の気が引いた。
二日前に首都で起きた怪文書がまき散らされた事件・・・あれによって現地民は多いに混乱していた。前王の復活を求める者がいまだに多い中、その機会がもうすぐ訪れると仄めかされたことによって、各所で進駐軍に対して反抗的な態度を取る者が増えてきたと報告を受けていた。
「数は2000か・・・それ自体は大したことはないが・・・」
今首都に駐在している騎士の数は6000。周辺の各占領地を集結させれば20000すら超える。どう考えても圧勝できる。問題は、可及的に速やかに反乱軍を始末しなければならないことだ。現段階でこの首都には反乱分子がくすぶっている状況であり、攻め入ってくる反乱軍に感化されて一気に暴徒化する恐れもあった。そうなると最終的に防衛線に勝ち、暴動を鎮圧することが出来るとしても、その被害は想像もつかないほど膨大なものになると考えられる。
「首都に最低限の兵だけを残し、一気に畳みかける。すぐに迎撃の準備をいたせ。多少無理をしてでも敵軍全てを駆逐するつもりで臨むのだ」
「はっ!」
部下は敬礼をして部屋を出て行った。
ジーミルはこの一戦をたった一日で終わらせるほどの覚悟を持って挑もうとしていた。反乱軍を一瞬でやり込めてしまえば、首都にいる反乱分子も大人しくなるだろうと考えたのだ。
このときジーミルは忘れていた。
先日の攪乱作戦の際、元聖騎士のカイの名があったことを。もし彼が戦に加われば、どういうことが起きるのかを忘れていたのだ。
このことに気付いていれば、今立てたような作戦などジーミルは実行はしなかっただろう。
だがその返事が来るどころか伝令がサンクレアに到着する間もなく、ジーミルの元に嫌な報告が上がった。
「首都近郊に反乱軍が集結している模様です!数はおよそ2000!『これより横暴たるサンクレアの蛮族どもに鉄槌を下す聖戦を挑む』と、前ユーライ国王が声明を出しております」
部下のその報告を聞いて、ジーミルは血の気が引いた。
二日前に首都で起きた怪文書がまき散らされた事件・・・あれによって現地民は多いに混乱していた。前王の復活を求める者がいまだに多い中、その機会がもうすぐ訪れると仄めかされたことによって、各所で進駐軍に対して反抗的な態度を取る者が増えてきたと報告を受けていた。
「数は2000か・・・それ自体は大したことはないが・・・」
今首都に駐在している騎士の数は6000。周辺の各占領地を集結させれば20000すら超える。どう考えても圧勝できる。問題は、可及的に速やかに反乱軍を始末しなければならないことだ。現段階でこの首都には反乱分子がくすぶっている状況であり、攻め入ってくる反乱軍に感化されて一気に暴徒化する恐れもあった。そうなると最終的に防衛線に勝ち、暴動を鎮圧することが出来るとしても、その被害は想像もつかないほど膨大なものになると考えられる。
「首都に最低限の兵だけを残し、一気に畳みかける。すぐに迎撃の準備をいたせ。多少無理をしてでも敵軍全てを駆逐するつもりで臨むのだ」
「はっ!」
部下は敬礼をして部屋を出て行った。
ジーミルはこの一戦をたった一日で終わらせるほどの覚悟を持って挑もうとしていた。反乱軍を一瞬でやり込めてしまえば、首都にいる反乱分子も大人しくなるだろうと考えたのだ。
このときジーミルは忘れていた。
先日の攪乱作戦の際、元聖騎士のカイの名があったことを。もし彼が戦に加われば、どういうことが起きるのかを忘れていたのだ。
このことに気付いていれば、今立てたような作戦などジーミルは実行はしなかっただろう。
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