聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

開戦!・・・前

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「ほぉ、随分と盛大にお出迎えだな」


小高い丘の上から、双眼鏡を使って首都の様子を監視していたカイはそう漏らした。
現状でユーライ国王軍の倍以上の数を展開し、続々と向かってきていた。首都には最低限の警備だけ残し、全力で反乱分子を叩き潰すつもりであることを察し、カイは口角を上げる。


「概ねそなたの狙い通りになったか」


カイの横に立つユーライ王が言った。


「前のめりに歓迎してくれるとは思っていたが、予想以上ですなぁ。よっぽど先日やった攪乱作戦が効いたようで」


カイは姿を消す薬を使い、好き放題首都全域に決起を促す文書を人目につくようにばら撒いてきた。
首都を緊張状態にしたうえで、目の前にユーライ国王軍が出現すれば必ず籠城せず叩き潰しに来るだろうと予測していたが、まさか警備を手薄にしてまで征討に騎士の数を割くとまではカイも考えていなかった。
首都近郊は見渡しの良い平地なので、伏兵が潜んでいる可能性はないと踏んでの采配だろう。


「では行きますので手筈通りに」


カイはそれだけ言って、馬に乗ってサンクレア軍の方へと向かって行った。




ーーーーー


カイはユーライ国王軍の先頭に立っていた。
馬から降り、聖剣を鞘から抜く。
たった一人。されど一人。
聖騎士の戦闘力は、それこそ1000の騎士に・・・否、それ以上に相当する。
剣の腕そのものは確かに並みの騎士よりもはるかに強い。だが、聖騎士とただの騎士の差はそれだけではない。差を圧倒的につけるもの・・・それはもちろん、聖剣の存在だ。

カイは腰を落とし、聖剣を構える。

「はぁーーー・・・」


深く深呼吸をして、神経を集中させる。
するとやがて、カイの持つ聖剣に青白いオーラが纏わり始めた。

聖騎士の持つ聖剣・・・ それはただの切れる剣ではない。クリスの聖剣が変幻自在に形を変えたように、それぞれに特徴を持つのが聖剣の長所だ。
そしてカイの持つ聖剣は、剣にオーラを溜めることで、ことが出来るのである。


「はぁっ!!」


カイが聖剣を真一文に大振りする。
瞬間、巨大な青白い刃の形になったオーラが、進行するサンクレア軍に向かって飛んでいった。
それは一瞬のこと。その刃に触れたサンクレア軍は、皆何が起こったのか理解も出来ずに体を真っ二つにされた。

斬撃を飛ばす・・・ 隙が多いからレベルの高い相手と対峙するにはまったく使えない技だが、有象無象の集団を片付けるには極めて効率の良い技であった。
カイの斬撃飛ばしを受け、サンクレア軍は接敵する前から一瞬にして数百の兵が命を落とした。
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