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反逆
サンクレアの心臓
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「ハルト。お前に教えねばならぬことがある」
ある日、アドルがハルトを呼び出してそう言った。
サンクレアは再びユーライ国に突入し、反乱軍を殲滅させるための準備をし、市井は神都を脱する者がいまだに絶たずに、国内が騒がしくなっていたそんな中のことである。
そんな状況の中で、改めてアドルがそんなことを言ってくることにハルトは何かを感じた。
「ついてこい」
そう言ってアドルは騎士団庁舎を出て、法王城へと入城する。
そして、やがてこれまで聖騎士であるハルトですら入ったこともないような、教会のごく一部の高位者のみが立ち入ることを許される領域へと足を踏み入れた。
それは法王城の地下。
認識阻害の魔法がかかっており、見た目は普通の壁にしか見えないそこに通路があった。その通路を進んでいくと、幾重もの結界が張られた場所にたどり着き、その結界の前でアドルはようやく立ち止まった。
「この先には法王様しか持っておらぬ鍵を使ってしか入ることのできぬ扉がある。何人も寄せ付けてはならぬ、このサンクレアの心臓がここにあるのだ」
アドルはハルトの振り返り、そう言った。
ハルトは首を傾げる。
「サンクレアの心臓とは一体・・・?」
聞きなれぬ言葉にハルトが当然の疑問を投げかける。
「詳しくは知らぬ・・・が、その防御を突破され、そのサンクレアの心臓が奪われたとき、この国は女神ラビスの加護を失い、滅ぶと言われている」
「なっ・・・」
アドルの言葉に、ハルトは絶句する。
サンクレアは世界の中枢と言って良い存在だ。そのサンクレアが滅ぶということは、世界の秩序が滅び、再び魔族殲滅前の混乱した世界へと戻ることを意味する・・・ハルトはそう考えていた。
「騎士団では私しかここを知らぬ。故にカイもここの存在を知らぬはずだ。とはいえ、何か予感めいたことを感じずにはおられぬこの状況では、万が一の事態も想定の一つに入れておくべきだと思ったのだ」
機密性の高い事案であったが、アドルは迷った末にハルトにこのサンクレアの心臓の間について教えることにした。カイならば自分の想像の一つも二つも上を超えてやってくる・・・そんな確信めいた予感があったのだ。
「有事の際には、ここを死守することを最優先に考えよ。お前には知らされておらぬが、『最後の抵抗』の際もこの場には教会騎士の精鋭が待機していたほどだ。ここを突破されたら世界が滅ぶ。そのつもりで考えよ」
アドルの言葉にハルトは緊張のあまり言葉が出なかった。
そんなときなど来なければ良いがな、とアドルは笑ったが、その時は来るのであった。
ある日、アドルがハルトを呼び出してそう言った。
サンクレアは再びユーライ国に突入し、反乱軍を殲滅させるための準備をし、市井は神都を脱する者がいまだに絶たずに、国内が騒がしくなっていたそんな中のことである。
そんな状況の中で、改めてアドルがそんなことを言ってくることにハルトは何かを感じた。
「ついてこい」
そう言ってアドルは騎士団庁舎を出て、法王城へと入城する。
そして、やがてこれまで聖騎士であるハルトですら入ったこともないような、教会のごく一部の高位者のみが立ち入ることを許される領域へと足を踏み入れた。
それは法王城の地下。
認識阻害の魔法がかかっており、見た目は普通の壁にしか見えないそこに通路があった。その通路を進んでいくと、幾重もの結界が張られた場所にたどり着き、その結界の前でアドルはようやく立ち止まった。
「この先には法王様しか持っておらぬ鍵を使ってしか入ることのできぬ扉がある。何人も寄せ付けてはならぬ、このサンクレアの心臓がここにあるのだ」
アドルはハルトの振り返り、そう言った。
ハルトは首を傾げる。
「サンクレアの心臓とは一体・・・?」
聞きなれぬ言葉にハルトが当然の疑問を投げかける。
「詳しくは知らぬ・・・が、その防御を突破され、そのサンクレアの心臓が奪われたとき、この国は女神ラビスの加護を失い、滅ぶと言われている」
「なっ・・・」
アドルの言葉に、ハルトは絶句する。
サンクレアは世界の中枢と言って良い存在だ。そのサンクレアが滅ぶということは、世界の秩序が滅び、再び魔族殲滅前の混乱した世界へと戻ることを意味する・・・ハルトはそう考えていた。
「騎士団では私しかここを知らぬ。故にカイもここの存在を知らぬはずだ。とはいえ、何か予感めいたことを感じずにはおられぬこの状況では、万が一の事態も想定の一つに入れておくべきだと思ったのだ」
機密性の高い事案であったが、アドルは迷った末にハルトにこのサンクレアの心臓の間について教えることにした。カイならば自分の想像の一つも二つも上を超えてやってくる・・・そんな確信めいた予感があったのだ。
「有事の際には、ここを死守することを最優先に考えよ。お前には知らされておらぬが、『最後の抵抗』の際もこの場には教会騎士の精鋭が待機していたほどだ。ここを突破されたら世界が滅ぶ。そのつもりで考えよ」
アドルの言葉にハルトは緊張のあまり言葉が出なかった。
そんなときなど来なければ良いがな、とアドルは笑ったが、その時は来るのであった。
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